頚部痛から発生する頭痛・顔面痛『大後頭三叉神経症候群』②

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頚部機能が深く影響する興味深い疾患、大後頭三叉神経症候群について書きます。本日は症例です。

週の真ん中水曜日の江原です。前回より大後頭三叉神経症候群(great occipital trigeminus syndrome:GOTS)を引き続き書いています。今回はGOTSと同じカテゴリに属する頭痛の話と、症例ベースで理学療法士の動き方の1例を提案いたします。

大後頭三叉神経症候群とは結局何?

原著から引用した内容も少しご紹介しましたが、PUBMEDにて大後頭三叉神経症候群について検索してみたところ、「great occipital trigeminal syndrome」で4ヒットのみ(内great occipital trigeminus syndromeで2ヒット)と原著以降ほとんど検証されていないようです。頭痛・顔面痛症例で頚部痛を併発している場合に、この病態に当てはまるような症状を呈する方は比較的多いのにこの検索結果はなぜ?と思いました。

 

私が参考にした国内商業誌に掲載されたレビューでは、GOTSは「頸原性頭痛」に含まれると前回書きました。GOTSと頸原性頭痛は同じ病態だと言われています。つまりGOTSは国際頭痛分類など学術的な位置づけでは頸原性頭痛であり、臨床症状や病態仮説としてのGOTSがと考えた方がよさそうです。

 

従ってPUBMEDで「"cervicogenic headache"」で検索したところ、671件のヒットがありました。学術的にGOTSを調べたいのであれば、cervicogenic headacheもしくは頸原性頭痛での検索を行ってください。

 

GOTSのモデル症例

モデル症例を提示して、GOTSに対して理学療法士ができることを検討してみたいと思います。

・40歳代 女性 事務職 

・診断名:三叉神経痛

・症状・リハ処方までの経過:X-1年Y月右上顎部に疼くような痛みを自覚。X年Y月右三叉神経第ⅠおよびⅡ領域に疼痛を自覚。咀嚼運動でも疼痛が出現し増悪し受診した。

図1 頭痛・頚部痛・顔面痛の部位

・痛み:VAS:70/100mm 部位:図1の通り。持続的な右目周囲・上顎部の痛み 間欠的または動作時の右後頭部の痛み

・治療:週1回の治療を初診から2カ月間実施 上顎神経ブロック1回 眼窩上神経ブロック1回 浅頚神経ブロック 眼窩下神経ブロック2回 星状神経節ブロック2回 

・リハ処方に関して医師より情報提供「三叉神経痛と診断したが、典型的な症状とは全く異なるため理学療法評価が必要と判断し処方した」

 

理学療法評価

頚部痛から発生する頭痛・顔面痛『大後頭三叉神経症候群』②

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