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堀 敦志先生 -福井医療短期大学 リハビリテーション学科 作業療法学(OT)専攻 教授-

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表面だけでなく生活の中で、本当に出来るのかということに着目する。

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インタビュアー:先生が作業療法士を目指したきっかけを教えてください。

堀先生:最初のきっかけは、叔母が小学校の頃に、脳卒中になったんです。その時に利き手交換訓練で、左手で字を書く練習を見させてもらいました。

そして手紙を書いてくれた相手が私だった。それも含めてこのような仕事があるんだなと思ったのが、きっかけですね。その後、自分の進路を決める時に、家の近くに養成校があると知り、受けてみようと思ったんです。

 

インタビュアー:作業療法士になり、その後養成校の教員になられるまでの経緯を教えてください。

堀先生:6年くらい老人保健施設で働きまして、その間に認知症病棟の開設や訪問リハビリテーションの開設などを経験させて頂きました。その後、学校に来ました。学校の方では、今15年くらいですかね。

 

インタビュアー:今、「活動と参加」という側面がPT・OT・ST問わず言われていると思うのですが、以前のOTの役割と現在のOTの役割では、変化はありますか?

堀先生:老人保健施設で働いた頃は、昭和63年に老健制度が制度化されて、私は平成5年から働いているのですが、その頃は老人保健施設というものが全然わからない状況でした。

本来であれば、家庭復帰に向けてということで、ADLを中心にやると言われているにも関わらず、実際やられていることは、病院と同じような内容でした。

私も、老人保健施設に一人で働いていたので、求められることは歩行であるとか移動が中心でリハビリを行っていました。 その後、訪問看護ステーションからのリハビリに携わってきたときに、家に実際に行くという形になりますよね。そのときには、訓練というわけではなく、生活に密着したリハビリになってきます。

介護保険が出来る少し前くらいから、訪問リハビリテーションがメジャーになりだして、その頃から”活動”というところに直接介入していきました。しかし、まだ”参加”にまでは至らなかったと思います。

それがしばらく続いたんですが、今度は診療報酬が改定されて、日数制限が付くようになった頃に、機能中心的、もちろんADLはやるが、機能面を集中的にやっていくという形になっていったんじゃないかと思います。

今2015年ですが、2025年には高齢化率が30%を越えてくると言われ、予防的なことが必要だと言われている。障害も持ったとしても、機能訓練ではなくて、生活の中でなんとかしていくということを新たに言われたわけですから、これからもっと”活動と参加”が今まで以上に充実してくるところなんじゃないかなと思います。

 

インタビュアー:では、今は業界としての転換期で、今をどう生きるかで変わってくるということですか?

堀先生:そうですね。

 

インタビュアー:これからは機能訓練と言うよりも生活と言われていて、作業療法士が活躍を広げていく時代が来るのではないかなと思うのですが、実際は作業療法士さんはどういったところに入ろうとしているのですか?

堀先生:これは作業療法の原点なんですが、リハビリテーションという言葉を考えると、語源は機能訓練ではないですよね。 そこの原点に戻るというだけだと思いますので、機能訓練がまったくダメと言っているわけではなく、機能訓練なく活動と参加をやっていくというわけでもない。

理学療法士の方に気をつけて頂きたいことは、生活行為向上リハビリテーション加算が介護保険で入りましたが、実際に掃除の訓練をすればいいんでしょ?というわけではないんですよ。

実際の生活の中で、本当に出来るのかということに着目しないと。表面だけでやっているとダメなわけで。OTも一緒でただやればいいのではない。

本当にその人がやりたいことを捉えて、形にしていくということですので、それはPTの先生方もやっています。PTは理学療法の手段を使い、OTは作業療法の手段を用いて、お互い得意分野があるわけですから、共同してやっていくということが非常に重要だと思います。

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インタビュアー:話は変わりますが、先生が教員を目指そうとしたきっかけはなぜですか?

堀先生:それは恩師です。ものすごく学生や患者さんに熱く一生懸命な先生で、その先生に惹かれて、こういう先生になりたいなと思ったのがきっかけです。その先生から、老年期障害の分野の教官がほしいとお声をかけて頂いた。

 

インタビュアー:実際には恩師の先生にどのようなことを教えていただいたのですか?

堀先生:もちろんOTのことは教えてもらいましたが、人間的なことや、一般常識的なこと、飲み会などもたくさんさせて頂いて、人とのコミュニケーションの取り方など教えて頂きましたね。

 

インタビュアー:現在の学生さんって、「今の若い人は〜」と聞いたりしますが、実際はどうですか?

堀先生:今のやつらってのは、僕らの時代でも言われていましたしね。その前の時代でも言われていると思うんですが。まぁその前の世代と違うからと言われているだけだと思うんですけどね。

話をしていけばわかるし、素直なんじゃないかなと思います。ただ自分で何かをしていこうとか、自分で工夫をしてトライしていこうという気持ちは少ないのかなと思いますね。教科書に載ってない何かを考えることなどは、なかなか出来ず、手本がないと難しいという時代ですかね。

 

インタビュアー:そうなると臨床に出るときびしいですか?

堀先生:これは考え方の違いですが、例えば新しいことを次から次へとトライしていくことはとても良いことですが、リスクも高いことだと思います。

それであれば、初めは先輩に教わるなど、教科書通りのことをしていて、その後自分のやってきたことをまとめ、変えていくことが出来るんじゃないかなと思います。その頃には、学生や後輩がいて、教える立場になってくると、だんだん変わってくるんじゃないかと思いますね。

ですから、表現は良くないですが、最初はプロとしてお金を取れる最低限までの教育は絶対に必要、ただそれ以上というと求めるところが難しいので、国家試験ということが、最低限なのかなと思います。

 

インタビュアー:教員の中で、PTとOTで話し合うことはあるんですか?

堀先生:原則は、専攻によってPT、OT、STと別々に進めていけるんですが、どうしてもリハビリテーション学科として調整をすることもあります。

一応教員全員で話すのは、月に1度くらいあります。その前に代表者会議がという会議があって、教授の先生が何人か集まって事前に方針を決めたりしますね。教員の人数も多いので、まとまらない話もあるので、ある程度の方針を決めておくということですね。

作業療法とは「相手・対象者が困っていることを助けてあげること」

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インタビュアー:校内でPT、OT、STの教員方で交流会のようなものはあるのですか?

堀先生:ないですね今は。昔は、交流会とかありましたね。今は学校自体が過渡期で、大学化に向けてということで、なかなか交流する機会は個人ではありますが、全体では少ないですね。

 

インタビュアー:学生同士も交流はあまりないのですか?

堀先生:そうですね、学生は交流がというか、学年間の先輩後輩間の交流が少なくなっていますね。実習に行く前に先輩に色々と話を聞いていなかったり、自分の横の繋がりだけで、縦の繋がりがない状態ですね。

 

インタビュアー:学生間の交流は現在のままの方が良いと思われますか?それとももう少しあった方が良いと思われますか?

堀先生:それは、あった方がいいでしょう。なぜかというと、わからなかった時に、人に聞くということは重要ですし、一番聞きやすいわけですから。

あとは、セラピスト数が非常に多いですから、横だけの繋がりだけでなく、縦の繋がりや全然別の分野の人との繋がりがとても勉強になるので、学生のうちから、縦の繋がりがあった方がいいと思いますよね。

 

インタビュアー:作業療法士を目指す学生さんにアドバイスなどがあればお願いします。

堀先生:「相手・対象者が困っていることを助けてあげることが作業療法士の仕事ですよ」と考えてもらえると一番わかりやすいと思います。

凄く純粋な原点なんですが、それを実際に色んなことをアセスメントして、対応していくということが作業療法ですから、困っている人を助けてあげたいなと、そのためには勉強することを厭わない方であれば作業療法は出来ると思います。

あとは、なんでこういう風に助けるんだということを教えられる、説明できればいいと思います。人の役に立ちたいなという思いがある人が、なってもらいたいなと思いますね。

 

インタビュアー:先生は学校の教授であったり、協会のお仕事であったり、多岐に渡りご活躍されていると思いますが、今後先生が考えているビジョンなどを教えてください。

堀先生:今の研究テーマとして取り組んでいるのは、認知症をどのようにしたら予防できるのかを挙げています。私が考える認知症予防というのは、何も考えずにあっさり予防できたというような、普段の生活をしていたら予防できたというものを考えたいと思っています。

デュアルタスクトレーニングが良いとか、こういうのが良いとか話はありますが、そうではなく普段の生活の中でこれを気をつけておけば、認知症にならないというものを考えたい。

わかりやすく言うと、役割とか、その人の演ずるものを継続すれば、ある程度認知症を予防できるのではないかなと思っていまして。それを如何に表現していくかがテーマですね。

 

インタビュアー:最後に、先生のお勧めの書籍があれば、教えていただけますか?

堀先生:葉山 靖明先生の「だから、作業療法が大好きです! 」などですかね。あとは、心理学系ですかね。最近読んでいるのは教科書的なものになっていますね。

 

インタビュアー:漫画でもいいですよ。

堀先生:漫画であれば、「頭文字D」ですかね(笑)

インタビュアー:本日はありがとうございました。

堀先生:ありがとうございました。

【堀先生おすすめ書籍】

 

堀 敦志 先生

福井医療短期大学 リハビリテーション学科 作業療法学専攻, 教授 Fukui College of Health Sciences Department of Rehabilitation Occupational Therapy,Professor

【所有資格】

博士(工学) Doctor of Philosophy in Engineering

認定作業療法士 Authorized Occupational Therapist (AOT)

【経歴】

平成5年3月

福井医療技術専門学校 作業療法学科 卒業

平成5年4月~平成11年3月

介護老人保健施設 シルバーハイツ武生 作業療法士

平成11年4月~平成20年3月

福井医療技術専門学校 作業療法学科 専任教員

平成16年3月

放送大学 教養学部 生活と福祉専攻 卒業【学士(教養)】

平成18年3月

放送大学大学院 総合文化プログラム 環境システム科学群 修了 【修士(学術)】

平成20年4月~現在

福井医療短期大学 リハビリテーション学科 作業療法学専攻 教授

平成22年3月

福井大学大学院 工学研究科 博士後期課程 ファイバーアメニティ工学専攻 修了 【博士(工学)】

現在に至る

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キーワード

♯認知症

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堀  敦志先生 -福井医療短期大学 リハビリテーション学科 作業療法学(OT)専攻  教授-

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