糖尿病の定義と分類
糖尿病は、インスリン作用不足による慢性の高血糖状態を特徴とする代謝疾患です。この疾患は主に1型糖尿病、2型糖尿病、特定の機序や疾患による糖尿病、妊娠糖尿病に分類されます。ここでは、特に多くの患者が抱え、セラピストの関与も深い2型糖尿病に焦点を当てて解説します。
インスリンの機能とその重要性
糖尿病を理解するためには、インスリンの作用とその不足が引き起こす問題を把握することが重要です。健康な状態では、食後や空腹時に膵臓から分泌されるインスリンが細胞に到達し、GLUT4と呼ばれる「細胞の扉」を介して糖を細胞内に取り込みます。これにより、血液中の糖分は適切に管理されます。
糖尿病患者では、インスリン作用不足が生じます。これは、インスリン分泌不全とインスリン抵抗性という二つの主要因に分けられます。インスリン分泌不全では、膵臓がインスリンを十分に分泌できないため、血糖が過剰になります。一方、インスリン抵抗性では、インスリンの存在にもかかわらず細胞がその作用を十分に受けられない状態にあります。
糖尿病の原因と生活習慣の影響
糖尿病は遺伝、食べ過ぎ、栄養の偏り、運動不足、肥満、ストレスなど、様々な生活環境の要素によって引き起こされることがあります。加齢も影響する要素の一つです。研究によると、糖尿病患者のインスリン分泌は異なるパターンを示し、特に食後のインスリンの分泌が適切に行われません。
インスリン抵抗性の原因には遺伝的素因、老化、糖毒性、内臓肥満、高脂肪食、運動不足などがあります。多くは生活習慣に関連しており、生活習慣の改善によってインスリン抵抗性の改善が期待できます。さらに、炎症、感染症、薬剤反応、内分泌疾患なども影響を与えることがあります。
糖毒性と糖尿病の悪循環
糖毒性は、高血糖が膵β細胞に悪影響を及ぼし、インスリンの分泌を悪化させる現象です。これにより、高血糖がさらに進行し、膵β細胞や筋肉などの標的細胞の機能が低下します。この悪循環を断ち切るため、糖尿病治療では様々な手段を用いて高血糖を是正することが重要です。
まとめ
糖尿病は、インスリン作用不足による高血糖状態を引き起こす複雑な代謝疾患です。インスリン分泌不全とインスリン抵抗性が主な原因であり、遺伝的要素、食生活、運動習慣など多くの生活環境要因が関与します。理解と適切な治療により、糖尿病の進行を遅らせることが可能です。
参考：糖尿病合併症に対する理学療法シリーズ Vol.1（セラピスTV）
【目次】
チャプター1：【糖尿病とは】
チャプター2：【糖尿病とは】糖尿病の合併症について
チャプター3：【糖尿病の治療管理(運動療法を中心に)】糖尿病治療の目標
チャプター4：【糖尿病の治療管理(運動療法を中心に)】運動療法による血糖値低下の効果
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