江原です。引き続き、性自認・性志向と慢性疼痛との関係についてです。前回の記事は医療へのアクセス制限についてでした。LGBTの成人が受診において精神的な苦痛を多く経験していることと、経済的な負担により受診機会が制限されていました。十分な医療ケアを受けられないことが医学的な管理の低下につながり、慢性疼痛の治療や管理に影響します。
受診したくてもできない、日常の中で心の葛藤を抱えながら生活していることが分かります。
電通ダイバーシティ・ラボが2020年に行った調査では、LGBTという言葉の浸透率が2018年調査の68.5%から80.1%にまで上昇したことが報告されており、(株式会社電通広報局広報部 (2021). 電通、「LGBTQ+調査2020」)数十年前に比べて LGBT の認知度は大きく上がっています。
しかし、日本財団が2021年に報告した社会的マイノリティに対する調査では、全体の約95%が偏見や差別があると感じており、各個人や社会全体での努力が必要な状況であります。
他者や社会全体から偏見や差別(スティグマ)を繰り返し経験すると、本来は向けられていたネガティブな態度やイメージを当事者自身も抱くようになってしまいます。