はじめに:
前回の記事を見ていない方はぜひ記事と動画もご覧ください。
▶︎https://youtu.be/xKqUbT7JCMk?si=Xh76eHi0UdXTlijz
靴のフィッティングは、足部や隣接関節のトラブルの軽減および歩行の初期接地期〜立脚期で重要なアーチ機能を高めることにつながることを前回の記事でお伝えしました。しかし、現状は靴の履き方だけでは改善されない症例も多く存在します。
世の中にある靴は、靴ごとにサイズ(足長)のバリエーションがあっても幅(ウィズ)のバリエーションが非常に少ないのが現状です。
この現状があるため、ピッタリ合う靴はないですが、それでも私たちは靴を選択して履かなければなりません。
靴屋さんはお客さんが選んだ靴がキツければ、どんどん大きいサイズを勧める傾向があるため、多くの人が自分の足サイズより大きいサイズの靴(オーバーサイズ)を選択していることが多いです。
また高齢者や子ども、親御さんでも、足元に痛みがあると痛みを回避するために、大きめの靴を選択してしまう傾向があります。
オーバーサイズを選択することは、靴と足の爪先や踵部に空間が生まれ、足が靴の中で必要以上に動いてしまいます。その状態では、靴の中で足趾の捻れや爪先や踵、足底の皮膚の接触などが起こり、足底筋膜炎やタコ、外反母趾などの痛みや変形を助長する可能性が高まります。
今日はそんなトラブルを改善するための靴の中の環境の整え方、「靴内環境の調整方法」についてお伝えしていきます!
記事を見る時間がない方は、記事を深掘りした内容を動画にしています!
ぜひ耳だけでも聞いてください!
中敷の選択でのポイント:
前回の靴の履き方でもお伝えしましたが、靴ひもを締めることで靴内の空間が埋まりフィット感を増すことができます。フィット感UP=靴の中での必要以上の足の動きを抑えつつ、側面からのアーチサポートにもつながります。しかし、オーバーサイズの靴だとこれだけでは靴内の空間を埋めることが難しいです。
今回は中敷での調整方法について以下の3つのポイントを抑えながらお伝えしていきます!
選択のポイント
①厚み ②形状 ③素材
ポイント①厚みの選択:
中敷きは靴によって、厚みが全然違います。
この中敷きの厚みの違いを活かして足に合わせた靴内環境の調整を行うことができます!
例えば、パンプスや革靴に使用されているものは1mm以下、スニーカーは2〜3mm、ランニングシューズやウォーキングシューズは4〜6mm程度のものが使われていることが多いです。
そこで中敷の厚みを調整することで、靴内の空間が埋まりやすくすることでフィット感を増すことができます。
・オーバーサイズの靴のパターン:
靴と足の隙間が空いているため、できるだけ厚みのあるものを足していく、もしくは中敷きを入れ替えていくことが必要です。厚みを出してしまうと、脱げやすくなる方は靴が大きすぎる可能性もあるので、その際は靴の選び方を見直す必要があります。
・靴のサイズが合っているがもう少しフィットさせたいパターン:
できるだけ薄いものを足してあげてください。もしくはもともと入っている中敷よりも厚いものを選択してください。
※中敷の厚みが増すことによる注意点
・踵が高くなるため、脱げやすくなるリスクがあるので、踵のフィット感の確認やひもでの調整を行ってください。
・先が細いヒールやパンプスは指先がきついこともあるので、短く切るなど調整が必要です。
ポイント②形状:
中敷の形状には、踵やアーチをサポートするものがあります。
・フラット形状
多くの靴はフラット形状の物が多いです。足部のサポート機能はありませんが、厚みを調整するために使用することが多いです。2枚重ねる際はフラット形状が一番下になり、その上にヒールカップ形状やアーチサポート形状の中敷きを重ねていきます。
・ヒールカップ形状
写真のようなヒールカップ形状のものは、歩行の接地期の安定性につながります。カップ形状であることで踵骨の過回内外の抑制のサポートにつながります。
・アーチサポート形状
中足骨の手前まで反り返っている形状は、側面からの厚みが増すことで内外側縦アーチのサポートにつながります。特に外反母趾や扁平足でアーチがつぶれる傾向にある方にこのような形状の中敷を選択することは有効です。
ポイント③反発性:
高反発と低反発の中敷があります。
・低反発素材は接地期の衝撃吸収
・高反発は推進期の蹴り出しのサポート
それぞれ歩行周期のどこに問題があるか評価した上で選択をしていきますが、私たちが考えの軸にしている「バランスケア」では、高反発の素材を選択することが多いです。
理由としては、高反発素材が足趾の屈筋含めた内在筋を反発によりサポートすることで蹴り出しの改善につなげます。また足趾の屈筋が使えるようになると結果としてアーチ機能を高めることになり、歩行時のバランス改善にもつながっていきます。
いかがだったでしょうか?中敷きの厚み、形状、素材を知り、理解するだけでも靴内調整の幅が広がったのではないでしょうか?
今回は一般に売られている中敷きでできる靴内調整の内容をお伝えしていきました。今後もYouTubeや公式LINEでも定期的に勉強会の情報等を流しますので、ぜひ日々の臨床に活かしていただけたらと思います!
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