信頼と実績の亀田リハビリテーション病院
本書は、亀田リハビリテーション病院が実践する回復期リハビリテーションの全貌を解説しています。亀田メディカルセンターが2009年にJCI(Joint Commission International)認証を取得した経緯や、質の高いチーム医療の実践方法が詳細に記されています。この認証は、国際的な医療機能評価の基準を満たしていることを証明するものであり、亀田リハビリテーション病院の高い医療品質を物語っています。
実践的なフローチャートとチェックリスト
各章では、診療プロセスをフローチャートで示し、各プロセスにおける重要なポイントや注意事項をチェックリスト形式で提供。これにより、臨床現場で直面する具体的な課題に対処するための明確なガイドラインが示されています。例えば、患者の転院後のケアプランや、ADL(Activities of Daily Living)向上のための具体的なアプローチが詳細に解説されています。
ケーススタディの充実
第4章では、回復期リハビリテーション病棟で頻繁に担当する疾患を対象に、典型的な経過を示す症例や難渋症例を通じて、質の高いリハビリテーションの実践例が豊富に紹介されています。これにより、読者は現場での応用力を高めることができます。具体的には、脳卒中後の患者に対するリハビリテーションの進め方や、重症度別のリハビリテーション戦略が示されています。
若手スタッフの育成と標準化された診療プロセス
亀田リハビリテーション病院では、若手スタッフの育成に力を入れており、ローテーション教育を実施しています。本書は、その教育体制を支える診療管理マニュアルの詳細を含んでおり、若手セラピストが診療プロセスを迷わず進められるようサポートしています。この教育体制は、多様な臨床経験を積む機会を提供し、セラピストとしての成長を促進します。
本書の特徴
1. 囲み記事「亀田式のポイント」
亀田式のリハビリテーション医療の特徴を詳述した囲み記事が多数収録されています。これにより、質の高い医療提供のための具体的なポイントが理解しやすくなっています。例えば、効果的なチーム医療の進め方や、患者とのコミュニケーションの取り方などが具体的に説明されています。
2. 科学的根拠に基づく視点
科学的根拠に基づく視点から、リハビリテーションの進め方や効果的なアプローチが紹介されています。これにより、エビデンスに基づいた実践が可能になります。例えば、最新の研究結果を踏まえたリハビリテーション技術や、具体的なエクササイズの方法などが紹介されています。
3. 外部審査で求められる視点
JCIやISOの認証を取得している亀田リハビリテーション病院の経験から、外部審査で求められる視点が解説されています。これにより、読者は自身の施設での品質向上に役立てることができます。例えば、外部審査で評価される具体的な項目や、審査に向けた準備方法などが詳述されています。
まとめ
『亀田式 回復期リハビリテーション』は、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士にとって、日々の業務を支えるための頼もしいパートナーです。質の高いリハビリテーション医療を追求する方々にとって、本書は必読の一冊と言えるでしょう。ぜひ、この機会に手に取って、亀田式の回復期リハビリテーション医療の真髄を学んでみてください。
▶︎https://www.medicalview.co.jp/catalog/ISBN978-4-7583-2262-1.html
【目次】
第1章 回復期リハビリテーション総論
回復期リハビリテーション病棟の概要
1 回復期リハビリテーションに求められる役割 永田智子
2 回復期病棟の適応疾患と診療報酬(入院料) 松田 徹
3 回復期リハビリテーションに求められる医療の質 村永信吾
4 第三者評価 加藤俊明
5 チーム医療におけるBalanced Scorecard(BSC)の活用 彦田 直
地域の医療機関等との連携とリハビリテーションの継続
1 急性期病院との連携 白石哲也
2 入院判定会議 松田 徹
3 回復期リハビリテーションと生活期との連携 佐伯考一
第2章 回復期リハビリテーション病棟における診療の流れと関連業務
リハビリテーション診療プロセス
1 リハビリテーション基本診療フロー 松田 徹
2 予後予測①脳卒中 小澤里恵
3 予後予測②脊椎・脊髄疾患 宮越浩一
4 予後予測③運動器疾患 伊勢真人
5 病棟ADL練習①食事 滝口智子
6 病棟ADL練習②更衣 小林由佳
7 病棟ADL練習③整容 小林由佳
8 病棟ADL練習④トイレ 小林由佳
9 病棟ADL練習⑤入浴 上村尚美
10 病棟ADL練習⑥移動 上村尚美
11 退院・転院援助①退院前訪問指導 松田 徹
12 退院・転院援助②退院時指導 松田 徹
13 退院・転院援助③社会資源の紹介 速水真紀江
14 退院・転院援助④介護指導 滝口智子
15 退院・転院援助⑤福祉機器紹介 髙橋友親
16 退院・転院援助⑥社会制度 速水真紀江
17 退院・転院援助⑦診療情報提供書の作成 松田 徹
18 退院・転院援助⑧退院後のリハビリテーション継続 松田 徹
19 運転再開 永田智子
20 復職・復学支援 永田智子
21 医療安全,患者参加の医療,人生会議 永田智子
22 栄養管理 小堀咲枝里
23 薬剤管理 阿部誠也
診療録および各種報告書の作成・管理
24 診療録および各種報告書の作成・管理 松田 徹
診療関連業務
25 義肢装具作製 永田智子
26 書類・計測 永田智子
27 診療記録チェック 加藤俊明
リハビリテーション治療の効果判定とリスクの予防・対応
28 リハビリテーション治療の効果判定 松田 徹
29 緊急時の対応①苦情・クレームへの対応 松田 徹
30 緊急時の対応②インシデントへの対応 清水まみ
31 緊急時の対応③体調不良時の対応 須貝尚樹
32 リハビリテーションにおけるリスクと予防①運動負荷を伴う訓練を実施するための基準 須貝尚樹
33 リハビリテーションにおけるリスクと予防②リハビリテーション中のリスク管理 須貝尚樹
34 リハビリテーションにおけるリスクと予防③転倒・転落スクリーニング評価 清水まみ
35 リハビリテーションにおけるリスクと予防④疼痛管理 髙橋友親
第3章 チーム医療による回復期リハビリテーションの実践
入院時の多職種による評価
1 入院時の多職種による評価 加藤俊明
総合実施計画書の作成と患者・家族への説明
2 総合実施計画書の作成と患者・家族への説明 永田智子
カンファレンス・各種回診によるコミュニケーション
3 リハビリテーションチームカンファレンス 苗井祐士
4 栄養サポートチーム(NST)カンファレンス・回診 小宅綾希
5 ADLカンファレンス・回診 上村尚美
6 装具カンファレンス・回診 清水まみ
7 リハビリテーション病棟回診 加藤俊明
医療の質・安全管理委員会,チームの活動
8 転倒・転落防止対策チーム 清水まみ
9 骨粗鬆症リエゾンチーム 清水まみ
10 急変時対応チーム 山本昌範
11 感染対策チーム(ICT) 髙橋友親
12 防災対策チーム 苗井祐士
院内感染対策・COVID-19への対応
13 院内感染対策・COVID-19への対応 永田智子
院内での情報共有ツールの活用など
14 院内での情報共有ツールの活用など 永田智子
第4章 ケーススタディ
疾患別・重症度別のリハビリテーションの進め方
1 脳卒中①短下肢装具を作製し家屋環境評価後に
訪問リハビリテーションへ継続した症例 加藤俊明,永田智子
2 脳卒中②長下肢装具療法で介助量軽減し気切孔閉鎖後
経口摂取可能となった症例 須貝尚樹,伊勢真人
3 脳卒中③片麻痺・高次脳機能障害がある転倒反復症例―チームアプローチの実際― 湯澤優美,伊勢真人
4 脳卒中④入院中から院外諸機関と連携し運転再開・復職した症例 永田智子
5 大腿骨近位部骨折①二次性骨折予防の実際と計画的な家屋環境調整を行い在宅復帰した症例 小宅綾希,永田智子
6 大腿骨近位部骨折②下肢腫脹から深部静脈血栓症診断につなげた症例-リスク評価と2チャレンジルール- 須貝尚樹,永田智子
7 大腿骨近位部骨折③COVID-19院内対応下でリハビリテーションを実施した症例 苗井祐士,永田智子
8 脊椎圧迫骨折①保存的治療:コルセット作製,装着指導した症例 苗井祐士,小山照幸
9 脊椎圧迫骨折②再骨折例の疼痛観察とリスク管理,指導を行った症例 田中幸輝,小山照幸
10 脊髄損傷①家事動作練習を強化した不全四肢麻痺症例―訪問・外来リハビリテーションとの連携― 小宅綾希,永田智子
11 脊髄損傷②摂食動作を獲得した四肢麻痺症例-食器・食具の工夫とポータブルスプリングバランサーの活用- 小林由佳,永田智子
12 下肢切断:糖尿病性足壊疽による切断症例―下腿義足作製と復職支援― 清水まみ,永田智子
13 廃用症候群①肺炎後に心不全を合併した症例―リスク管理・観察のポイント― 小山照幸
14 廃用症候群②脳梗塞後の急性膵炎,サルコペニア症例―栄養管理と運動負荷調整― 小宅綾希,小山照幸
社会的因子に即した退院支援の進め方
15 経済的困窮者への支援事例:生活保護受給者に対する行政との連携 上村尚美
16 家庭介護力不足症例への退院支援―在宅支援者との協業・包括的アプローチ― 湯澤優美