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父との別れから学んだ“その人らしさ”を尊重する看護【看護師|上原優】

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訪問看護ステーションspito-スピット-は熊本県熊本市北区に拠点を構え、Spin tommorrow「明日につむぐ」という名前の由来を持つ地域に根差した訪問看護ステーションです。従来の看護ケアに加え、PT /OT/STとの連携やアロマケアなどの特色のあるサービス提供を行なっている事業所です。今回はspitoに勤めている看護師の上原さんにお話を伺いました。

インタビュアー
本日はインタビューにお越しいただきありがとうございます。まず、上原さんのご経歴についてお聞かせください。看護師としてのキャリアの始まりから教えていただけますか?

 

上原さん
私は20歳で看護学校に入学し、資格を取得しました。少し遅めのスタートでしたが、子育てをしながらの勉強だったので、両立はなかなか大変でしたね。

 

上原さん
資格取得後は、手術室の看護師として10年以上勤務しました。手術室の現場は非常に忙しく、特に急性期の医療においては、患者さんとじっくり向き合うというよりは、効率よく処置を進めることが求められました。

 

上原さん
その後、訪問看護の実習に参加する機会があり、それが私にとっての大きな転機になりました。「自分が本当にやりたい看護はこれだ」と強く感じ、訪問看護の道を選びました。

インタビュアー
訪問看護の実習が転機となったのですね。手術室での勤務から訪問看護にキャリアをシフトする際に、特に魅力を感じた部分は何ですか?

 

上原さん
手術室での勤務では、どうしても時間に追われがちで、患者さん一人ひとりと深く関わることが難しかったんです。急性期の医療は命を救うという重要な役割を持っていますが、その中では、患者さんの生活背景やその人らしさに寄り添う機会が少ないと感じていました。

 

上原さん
一方で、訪問看護はその方の生活そのものに触れ、その人がどのような人生を送ってきたのか、どのようにこれから生きていきたいのかを理解しながらケアを提供できる点に大きな魅力を感じました。それが私にとって、「看護師としての本当のやりがいを感じられる場所」だと思えたんです。

 

インタビュアー
訪問看護では、患者さんとの信頼関係が深く築かれる場面が多いと思います。上原さんが特に大切にされている看護のアプローチについて教えてください。

 

上原さん
訪問看護では、何よりも「その方の本当の気持ちに寄り添うこと」を大切にしています。病院勤務の頃は、時間的な制約の中で、患者さんとの対話が限られていましたが、訪問看護ではその方が抱える悩みや思いをじっくり聞くことができます。

 

上原さん
中には、感情的になったり、頑固な態度を取られる方もいますが、それはその人の本心を隠しているだけのことが多いです。だからこそ、表面的な言葉や態度にとらわれず、その方の奥底にある気持ちに寄り添うことを常に意識しています。

インタビュアー
患者さんとの信頼関係が築けた瞬間、看護師としてのやりがいを感じるのではないでしょうか。特に印象に残っているエピソードがあれば教えてください。

 

上原さん
一番印象的だったのは、やはり私の父との経験ですね。父は白血病の末期と診断されましたが、最後まで「自分らしく生きたい」という強い意志を持っていました。

 

上原さん
父が「自分らしさ」を最後まで貫いた姿を見て、私は看護師として「その人の人生にどれだけ寄り添えるか」が非常に重要だと感じました。

 

インタビュアー
ご自身の家族との経験が、看護師としての信念に大きな影響を与えたのですね。父との最期をサポートすることで、どのような気づきがあったのでしょうか?

 

上原さん
父が最期まで仕事にこだわり、作業着を着て現場を見に行く姿は、彼の生き様そのものでした。その生き様を支えるために私たち家族ができたことは、彼の人生を尊重し、彼の思いを大切にすることでした。

 

上原さん
それは、訪問看護でも同じです。利用者さんが望む形で生きられるようにサポートすることが、私の使命だと思っています。

 

インタビュアー
父との経験が、今の訪問看護の仕事にも大きな影響を与えているのですね。訪問看護の現場で、上原さんが特に大切にしていることは何でしょうか?

 

上原さん
やはり、「傾聴」と「共感」ですね。利用者さんが抱える不安や悩みをしっかりと聞くことで、その方の本当の気持ちを理解し、どうサポートすべきかを考えます。

 

上原さん
時には、利用者さんが表に出せない感情や、家族にも話せない本心を引き出すこともあります。それは、看護師として非常に重要な役割だと思っています。単に体のケアだけではなく、心のケアも看護の一部です。

 

インタビュアー
上原さんが訪問看護の現場で大切にしている「その人らしさを尊重するケア」がよくわかりました。今後の目標やビジョンについて教えていただけますか?

 

上原さん
私はこれからも「その人らしさを尊重する看護」を実践し続けたいと思っています。また、利用者さんだけでなく、スタッフ同士が支え合い、安心して働ける環境を整えていくことが大切だと思います。

 

上原さん
訪問看護の現場は時に孤独になることもありますが、チームでサポートし合えるような組織を作り上げていきたいですね。そして、利用者さんやスタッフが「この場所にいて良かった」と感じられるような環境を提供できるようにしていきたいです。

 

インタビュアー
スタッフ同士が支え合い、利用者さんも安心できる環境作りを目指していらっしゃるのですね。本日は貴重なお話をありがとうございました。

 

上原さん
こちらこそ、ありがとうございました。こうした機会をいただけて、自分自身の目指す看護について改めて考える良い時間となりました。

今回は、EMIASグループの訪問看護ステーションspito-スピット-で活躍している上原さん看護を行う上で、大切にしている「その人の本当の気持ちに寄り添うこと」、「その人らしさの尊重」、「傾聴と共感」などについてのインタビューをお届けしました。「地域の明日を笑みに変える」をテーマに地域に根付いた活動をしているEMIASグループ。今後もEMIASで活躍するスタッフに聞いてみた「ありたい姿」についての内容を発信していきます。

父との別れから学んだ“その人らしさ”を尊重する看護【看護師|上原優】

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