令和7年1月29日(水)に開催された中央社会保険医療協議会 総会(第603回)において、医療DX推進に関する進捗状況や今後の課題について議論が行われました。本総会では、マイナ保険証や電子処方箋を中心とした医療DXの進展が報告されるとともに、現場の課題に対する対応策が示されました。また、総会の結果を受け、厚生労働大臣宛に答申書が提出されました。
医療DX推進の進捗状況
議事資料では、医療DX推進に関する工程表が提示され、以下の主要施策について報告がありました。
1. マイナ保険証の利用促進
・2024年12月末をもって健康保険証を完全廃止し、マイナ保険証の利用を基本とする体制の構築を進行中。
・令和7年10月以降の実績要件については、利用率の基準を15ポイント引き上げ、目標値を明確化する方針。
・小児科外来患者への対応など、特定の診療分野での利用促進が課題として示されました。
2. 電子処方箋の普及
・令和7年度夏を目途に評価基準の見直しが行われ、病院への重点的な導入が進められる予定。
・導入を促進するための支援措置や患者負担軽減策についても検討が進められています。
3. 医療情報の共有基盤整備
・電子カルテ情報や処方情報を共有可能とする全国医療情報プラットフォームの整備が進行中。
・医療機関や薬局に加え、自治体や介護事業所との情報連携を拡大する計画が示されました。
現場の課題
医療DX推進における現場の対応力について、以下の課題が報告されました。
医療機関の対応負担:小規模医療機関や地方の診療所では、電子処方箋やマイナ保険証システム導入における経済的・技術的負担が重い状況。
患者のデジタル対応力:高齢者やデジタル弱者に対するマイナ保険証普及の課題が依然として残っており、資格確認書などの代替手段が注目されています。
データ連携の課題:電子カルテ情報や処方情報の共有において、システム間の相互運用性やセキュリティ対策が不十分との指摘。
今後の対応策
総会では、次回の診療報酬改定に向けた対応策として、以下の方向性が示されました。
1.マイナ保険証利用率向上のための国民への周知活動と現場支援の強化。
2.電子処方箋の評価基準見直しにより、病院での普及を重点的に推進。
3.医療情報プラットフォームを活用し、自治体や介護事業所とのデータ連携を加速。
4.小規模医療機関への経済的支援や技術的サポートの充実。
一方、中医協での議論が進む中、立憲民主党は1月28日(火)に従来の健康保険証の発行を復活させるための法案を国会に提出しました。今後、国会での法案審議と中医協での医療DX推進議論がどのように進展するか、引き続き注目が集まります。