キャリアコンサルタントが徹底サポート

エビデンスに基づく実践に自信をつけるために|EPIC尺度の可能性と活用法

95 posts

 

はじめに

医療の質向上が求められる現代において、エビデンスに基づく実践(Evidence-Based Practice: EBP)は、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士にとって不可欠なスキルとなっています。しかし、多忙な臨床現場でEBPを実践することは簡単ではありません。技術的なスキルだけでなく、「自分はできる」という自己効力感(self-efficacy)が実践の大きな鍵となるのです。

最近の研究では、EBPへの取り組みを妨げる主な障壁として、知識不足や研究スキルの欠如と並んで、「自己効力感の低さ」が重要な要因として指摘されています。つまり、EBPの普及には、専門職の自己効力感を高めることが不可欠なのです。

この記事では、医療専門職のEBP自己効力感を測定するツール「Evidence-Based Practice Confidence (EPIC) Scale」に焦点を当て、その活用法と日本のリハビリ専門職にとっての意義を探ります。

EPICスケールとは?

EPICスケールは、Salbach & Jaglal(2011)によって開発された11項目からなる自己評価ツールです。このスケールは、EBPの基本的な5つのステップを実行する自信の程度を0〜100%で評価します:

1.知識ギャップの特定と臨床疑問の設定
2.関連文献の検索
3.文献の批判的吟味と解釈
4.患者の価値観・臨床経験と科学的根拠の統合
5.介入結果の評価

各項目は「あなたは〜することにどの程度自信がありますか?」という形式で尋ね、回答者は0%(全く自信がない)から100%(完全に自信がある)の間で自己評価します。

原版の英語からドイツ語(2019年)、そして他の言語への翻訳も進められており、国際的に注目されているツールです。

EPICスケールの特徴と強み

最近発表されたドイツ語版EPICスケールの研究(Elser et al., 2025)によれば、このツールには以下のような特徴があります:

1. 優れた信頼性

内部整合性、テスト・再テスト信頼性ともに高い数値を示し、安定した測定が可能

2. 2つの主要因子の特定

  • 「研究関連スキル」(文献検索、批判的吟味、統計解釈など)
  • 「臨床応用スキル」(知識の臨床応用、患者価値観との統合など)

3. 広範な専門職への適用

理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護師など、様々な医療専門職に活用可能

4. 教育背景による差の検出

学歴やEBP実施頻度とスコアの間に有意な相関が確認され、教育・トレーニングの効果測定に有用

日本のリハビリテーションへの示唆

1. 自己効力感の重要性を再認識する

日本のリハビリテーション医療においても、EBPの重要性は広く認識されていますが、実践レベルでは課題が残ります。その一因として、専門職の自己効力感の不足が考えられます。

エビデンスに基づく実践に自信をつけるために|EPIC尺度の可能性と活用法

最近読まれている記事

企業おすすめ特集

編集部オススメ記事