厚生労働省が公表した「最近の医療費の動向(MEDIAS)」令和7年度6月号によれば、リハビリテーション関連医療費は前年同月比で引き続き高い伸びを示しました。本記事では、診療内容別リハビリテーション料および関連疾患のデータを中心に、事実ベースで最新動向を整理します。
■ 医療費全体の動向(6月)
厚労省「概算医療費の状況(ポイント)」より:
-
概算医療費総額:約4.0兆円(前年同月比+3.8%)
-
令和7年度4〜6月累計:12.1兆円(+3.0%)
-
1日当たり医療費:+3.4%
-
受診延日数:+0.4%
「単価(1日当たり医療費)」は増加し、受診延日数はわずかな増加に留まり、全体として緩やかな増加基調となっています。
■ リハビリテーション料(診療内容別)
電算処理データ(診療内容別 医科医療費(Ⅵ-1))より、「リハビリテーション」項目の対前年同月比を算出すると以下の通りです。
-
診療内容別リハビリテーション料:+6.4%(対前年同月比)
内訳(計算根拠):
-
令和6年6月値:1,028.5(内部値)
-
令和7年6月値:1,094.2
→ (1,094.2 − 1,028.5)÷1,028.5 ≒ +6.4%
リハビリテーション料は6月単月で全体医療費(+3.8%)の伸びを上回っており、前月までの傾向(4月:+4.5%、5月:+4.6%)と比較して伸び率が再び高まりました。
■ リハに関連する外来(入院外)疾患の動向
入院外 医療費(疾病分類別)(表Ⅴ-3-1)より、リハビリテーションと関連性が高い疾患群を抽出すると以下の通りです。
● 筋骨格系および結合組織の疾患(入院外)
-
対前年同月比:約+4.3%
● 損傷・中毒・外因の影響(入院外)
-
対前年同月比:約+5.4%
いずれの分類も、医科入院外全体の伸び(+3.1%)を上回っています。
■ 入院/入院外・診療種類別の変化
6月の対前年同月比(ポイント資料):
-
医科入院:+3.5%
-
医科入院外:+3.1%
-
歯科:+3.6%
-
調剤:+4.6%
令和7年度4〜6月累計では、医科入院外の伸びが**+1%台前半**と比較的抑制的であるのに対し、6月単月は持ち直しが確認されています。
リハビリテーション料と全体医療費の月次推移比較
| 月 | リハ料伸び率 | 全体医療費伸び率 | 差 |
|---|---|---|---|
| 11月 | +7.2% | +2.2% | +5.0pt |
| 12月 | +5.4% | +3.3% | +2.1pt |
| 1月 | +4.8% | +3.8% | +1.0pt |
| 2月 | +4.2% | +3.5% | +0.7pt |
| 3月 | +4.7% | +3.5% | +1.2pt |
| 4月 | +4.5% | +3.4% | +1.1pt |
| 5月 | +4.6% | +3.6% | +1.0pt |
| 6月 | +6.4% | +3.8% | +2.6pt |
6月は4〜5月より伸び率が高く、8か月連続で全体医療費の伸びを上回りました。
出典
-
厚生労働省「最近の医療費の動向(MEDIAS)」令和7年度6月版(概算医療費の状況、診療種類別、入院/入院外別データ)
-
電算処理分データ
・診療内容別 医科医療費(Ⅵ-1)
・入院外 医療費(疾病分類別)(Ⅴ-3-1) -
前月までの確定データ(令和6年11月〜令和7年5月)
【合わせて読む】
・令和7年度6月「最近の医療費の動向(MEDIAS)」
理学療法士としての現場経験を経て、医療・リハビリ分野の報道・編集に携わり、医療メディアを創業。これまでに数百人の医療従事者へのインタビューや記事執筆を行う。厚生労働省の検討会や政策資料を継続的に分析し、医療制度の変化を現場目線でわかりやすく伝える記事を多数制作。
近年は療法士専門の人材紹介・キャリア支援事業を立ち上げ、臨床現場で働く療法士の悩みや課題にも直接向き合いながら、政策・報道・現場支援の三方向から医療・リハビリ業界の発展に取り組んでいる。







