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リハ料が+7.2%の伸び、損傷系疾患は+10.7%|令和6年11月「最近の医療費の動向(MEDIAS)」より

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厚生労働省は、「最近の医療費の動向(MEDIAS)」令和6年11月分を公表しました。本記事では、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士(以下、PTOTST)および医療機関の経営者向けに、リハビリテーション(以下、リハ)に関連する主要な動向をファクトに基づいて解説します。

リハ料、+7.2%の大幅な伸びを記録

診療行為別医療費のうち、リハ料は前年同期比+7.2%と、全体の医療費伸び率(+2.2%)を大きく上回る水準で推移しています【注1】。これは、回復期リハ病棟や高齢者医療を中心に、療法士による介入が継続的に需要を得ていることを反映しています。

入院医療費は+4.9%、入院外は▲0.7%と明暗分かれる

診療種類別の医療費では、医科入院が+4.9%の伸びを示す一方で、医科入院外(外来)は▲0.7%と減少しています【注2】。この二極化は、急性期~回復期における入院リハの重要性と、外来需要の減退傾向を同時に浮き彫りにしています。

PTOTSTにとっては、入院中における多職種連携や、退院支援を見据えた継続的な関与がより重視される局面にあるといえるでしょう。

疾病分類別では「損傷・中毒・外因」が+10.7%で最大の伸び

疾病分類別の医科入院医療費を見ると、「損傷・中毒・外因の影響」に分類される疾患群が、前年同期比+10.7%と最も高い伸び率を記録しました【注3】。このカテゴリには、転倒・骨折・交通外傷などの整形外科疾患が多く含まれ、PT・OTの主要な介入領域と重なります。

また、この疾患群の平均在院日数は23.9日とされており、比較的短期間で集中的なリハビリ介入が求められる構造となっています【注4】。

後期高齢者医療制度の医療費が+7.3%に拡大

令和6年度4月~11月の制度別医療費の伸び率では、後期高齢者医療制度が+7.3%と高い伸びを示しています【注5】。特に、現役並み所得者層の伸び率は+9.7%に達しており、活動性が高く医療サービスの利用頻度が高い高齢者層でリハニーズが高まっていることが示唆されます。

医療機関種別での傾向:診療所は減少、200床以上病院は微増

施設種別の医療費では、医科診療所が▲3.2%、公的診療所が▲12.0%、個人診療所が▲7.0%と減少傾向が見られます【注6】。一方で、200床以上の病院は+0.8%の微増を記録しており、病院中心の入院医療体制が一定の維持・拡大を見せていることが分かります。

この構造的変化は、PTOTSTの勤務場所の偏重や再配置の必要性にもつながり得るため、経営者にとっては戦略的な人員設計が求められます。

平均在院日数は27.8日、疾患別の偏りに注目

全疾患を対象とした医科入院の推計平均在院日数は27.8日でした【注4】。中でも、「精神及び行動の障害」は340.2日と長期にわたる一方で、「新生物(がん)」15.5日、「感染症」18.3日、「損傷・外因」23.9日と比較的短期な分類もあり、疾患特性に応じた介入計画が重要となっています。

まとめ|療法士・経営者が注視すべきポイント

◯リハビリテーション料は+7.2%と高成長

整形外科系疾患の入院リハ需要が拡大(+10.7%)

高齢者(後期高齢者制度)関連の医療費が増加中

診療所中心の外来体制は縮小傾向にあり

在院日数や疾患別特性に合わせた支援体制構築が鍵

療法士としての専門性を活かしつつ、今後の医療提供体制において「どこで、誰に、どのように介入するか」という視点がより一層求められる時代になりつつあります。

【出典:ファイル・シート・位置情報付き】

【注1】リハビリテーション料の伸び率(+7.2%)
 出典:最近の医科医療費(電算処理分)の動向(令和6年度11月号)  シート名:「2」
 位置:セル範囲 C35~D36(診療行為別 医科 入院医療費 令和6年4月~11月の伸び率)

【注2】医科入院医療費(+4.9%)、入院外医療費(▲0.7%)の伸び率
 出典:最近の医科医療費(電算処理分)の動向(令和6年度11月号)  シート名:「2」
 位置:入院医療費は C6、入院外医療費は C17 付近
 補足:いずれも「診療種類別 医療費の伸び率(令和6年4月~11月)」セクション内

【注3】「損傷・中毒・外因」疾患分類の入院医療費伸び率(+10.7%)
 出典:medias_11.pdf
 ページ:p.6(PDF内「疾病分類別 入院医療費の動向(令和6年4月~11月)」)

【注4】疾病分類別 平均在院日数(例:損傷23.9日、精神340.2日)
 出典:medias_11.pdf
 ページ:p.9(「疾病分類別 入院推計平均在院日数(令和6年4月~11月)」)

【注5】後期高齢者医療制度の医療費伸び率(+7.3%)
 出典:202411-1.xlsx シート名:「1」
 位置:セル C13~E14 付近(後期高齢者医療制度の集計項目)

【注6】医療機関種類別の医療費動向(診療所:▲3.2%、▲12.0%など)
 出典:最近の医療費の動向[概算医療費]excel
 シート名:「表3」→ 医療機関種別別医療費伸び率(セル B13~E20 など)
 シート名:「表4」→ 病床規模別(200床以上の病院)伸び率(セル B20~C25 付近)

リハ料が+7.2%の伸び、損傷系疾患は+10.7%|令和6年11月「最近の医療費の動向(MEDIAS)」より

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