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訪問リハは「2社に1社」が調査対象に──「集合住宅」への提供実態を精緻に把握

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社会保障審議会介護給付費分科会は2月16日、2027年度(令和9年度)介護報酬改定の基礎資料となる「令和8年度介護事業経営実態調査」の実施案を了承しました。リハ分野では、訪問リハの抽出率が「2分の1」と全サービスで最も高く設定され、詳細な経営データの開示が求められます。会議では、効率化を求める厚労省案に対し、委員から「小規模事業所の実態」や「サービス提供の個別性」を憂慮する声が相次ぎました。

訪問リハ抽出率は「50%」、全サービスで最も高水準

厚生労働省の担当課長が説明した実施案によると、調査は2026年(令和8年)5月に実施され、2025年度(令和7年度)の決算額を把握します 。結果は10月頃に公表され、これが次期改定の「改定率」を決める決定的な根拠となります。

リハ職にとって重要なのは、その「抽出率(調査対象になる確率)」の高さです。 経営難が叫ばれる訪問介護は、今回抽出率が「1/10」から「1/8」へ引き上げられましたが 、訪問リハビリテーションは前回同様「1/2(50%)」という極めて高い割合が維持されています。通所リハビリテーションも「1/5(20%)」であり、リハビリ事業所は他サービスに比べ、より詳細な経営データの開示を求められている現状が浮き彫りとなりました。

「同一建物」の移動コストを精緻に把握

今回の調査票における最大の変更点は、効率化の余地があるとされる「集合住宅(サ高住や有料老人ホーム)」に関わる項目の精緻化です。

  • 訪問リハ・訪問看護等:延べ訪問回数のうち、「サ高住等に居住する者への訪問回数」を記載。

  • 通所リハ・通所介護等:延べ利用回数のうち、「サ高住等に居住する者への利用回数」に加え、「送迎にかかった時間」を調査。

これにより、点在する在宅利用者を回るコストと、集合住宅で効率的に回るコストの差を明確にし、次期改定での報酬設定(減算幅の調整など)に反映させる狙いがあります。

「大規模に吸収される小規模の実態」委員から懸念の声

質疑応答では、データの数字だけでは見えにくい「現場のリアル」を危惧する発言が相次ぎました 。

民間介護事業推進委員会の今井準幸氏(代表委員)は、小規模事業者の経営実態について鋭く指摘しました。 「前回改定では、収益性の低い小規模事業者の経営実態が、収益性の高い大規模事業者の経営実態に吸収されて見えなくなったのではないか」と懸念を表明。「訪問サービスとして一括りにすることを避け、実態に即したアウトプットの工夫を」と求めました。

認知症の人と家族の会の志田信也氏(副代表理事)もこれに同調し、「訪問介護の倒産最多は小規模事業所。規模別に経営実態が把握できる調査を」と要望しました。

また、日本慢性期医療協会の田中志子氏(常任理事)は、集合住宅へのサービス提供について言及しました。「有料ホーム等への訪問は、個別在宅との差を見える化できて良い」と評価しつつ、「同一事業所内の移動のようなサービスと、複数の有料ホーム等をきちんと回っている事業所では状況が違う。そこをどう見るかは検討が必要」と述べ、一律の評価に対して慎重な姿勢を示しました。

調査の信頼性となる回答率については、長崎県福祉保健部長の日田氏(参考人)が「回答する余裕がない事業者が回答していない可能性」に触れ、国や自治体による強力な呼びかけを要請しています。

LIFEは「2階建て」へ、訪問・通所への新規導入は見送り

同日、科学的介護情報システム(LIFE)の今後のあり方も報告されました。入力負担軽減のため、加算構造を「1階部分(基礎)+2階部分(専門)」に再編する方針です 。

  1. 1階部分:分野横断的な基礎情報(現在の科学的介護推進体制加算)

  2. 2階部分:リハビリテーションマネジメント加算、個別機能訓練加算、口腔・栄養関連加算など

注目の訪問・通所系サービスへのLIFE導入については、「1人の利用者に複数事業所が介入する」等の特性を踏まえ、2027年度改定での新規導入は「慎重に検討すべき」と見送られる公算となりました。

まとめ・今後の展望

本調査の結果は、本年10月頃に公表予定です。

「移動の効率性」がデータとしてどう可視化されるか。特に田中委員が指摘したような「同一建物内移動」と「複数施設巡回」の違いがデータ上でどう考慮されるかは、訪問リハビリテーション事業所の経営評価を左右する重要なポイントとなります。

▶︎第254回社会保障審議会介護給付費分科会

訪問リハは「2社に1社」が調査対象に──「集合住宅」への提供実態を精緻に把握

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