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災害時のリハ職配置基準、届出不要に──厚労省が"事前ルール"を通知、個別対応から脱却へ

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厚生労働省保険局医療課は3月31日付で、災害発生時の保険診療・診療報酬の取扱いを包括的に定めた通知(保医発0331第2号)を発出しました。従来は災害ごとに個別通知で対応してきた運用を改め、DMAT自動待機基準の発動を起点に一連のルールが自動適用される仕組みへ転換。PT・OT・STの配置数が一時的に1割以上変動しても届出不要とする措置や、回復期リハ病棟への基準外患者入院時の算定ルールなど、リハ専門職の現場運用に直結する内容が盛り込まれています。

「災害のたびに通知を待つ」時代の終わり——適用基準の枠組み

今回の通知が従来と決定的に異なるのは、災害発生後に個別通知の発出を待たず、あらかじめ定めた基準に該当すれば自動的に特例措置が適用される点です。

適用の3要件は以下の通りです。

①対象災害: 「日本DMAT活動要領」に定める「DMAT自動待機基準」が適用される災害であること。

②対象地域: 被災者受入れ・職員派遣に関する措置は、DMAT指定医療機関が待機を行う地域(対象地域)。被災地における保険診療等の取扱いは、災害が実際に発生した地域または特別警報が発出された地域(被災地)。

③対象期間: 災害発生月とその翌月。ただし、仮設医療機関での保険診療継続など一部の措置は「災害による事情が終了するまで」適用されます。

リハ職の配置変動、1割超でも届出不要——現場への影響

臨床現場にとって最も実務的な意味を持つのが、人員配置基準の弾力化です。

通知の2条(4)項は、被災者の受入れによる入院患者の急増、または被災地への職員派遣による人員不足が生じた保険医療機関について、「理学療法士、作業療法士、言語聴覚士」を含む職種の配置数に1割以上の一時的な変動があっても、変更届出を不要とすることを明記しました。対象には管理栄養士、臨床検査技師、精神保健福祉士、公認心理師も含まれます。

看護要員の数と入院患者の比率、看護師比率についても同様の措置が適用されます。

この規定が意味するのは、例えば急性期病院のPTが災害支援のためDMATや独自の派遣チームとして被災地に赴いた場合でも、派遣元の病院が施設基準の届出変更に追われずに済むということです。従来であれば、派遣による人員減少が施設基準に抵触するリスクを管理者が個別に判断し、厚労省の個別通知を待つ必要がありました。

「専従」要件の維持——派遣だけでは失われない

もう一つ見逃せないのが、通知2条(7)項の規定です。

施設基準上「専従」として配置されている職員が被災地に派遣され、災害支援業務に従事した場合、そのことのみをもって専従要件を満たさなくなるものではない、と明確にされました。

リハビリテーション分野では、回復期リハ病棟や地域包括ケア病棟などで専従・専任のPT・OT・STが配置要件となっている場面が多く、災害派遣への参加をためらう一因にもなり得ます。今回の明文化は、こうした制度的な障壁を取り除く意義があります。

回復期リハ病棟——基準外患者の入院時はどう算定するか

災害時には、回復期リハビリテーション病棟に本来の施設基準を満たさない患者が入院するケースが想定されます。通知はこの場面の算定ルールを明確に定めました。

対象地域の医療機関が被災地から転院患者を受け入れた場合(2条(8)): 回復期リハ病棟に回復期リハを要する状態でない患者が入院した場合、当該患者を除いて施設基準の充足を判断します。算定は、一般病床の回復期リハ病棟であれば15対1の看護配置に基づき「15対1一般病棟入院基本料」を適用。

被災地の医療機関における同様のケース(3条(8)): 被災地内でも同じ考え方が適用され、要件外の患者を除外して施設基準の判断を行います。

被災地で許可病床数を超過して入院させた場合(3条(4)): 原則として実際に入院した病棟の入院基本料・特定入院料を算定。会議室等の病棟外に入院させた場合は、必要な診療が行われていることを条件に、入院すべき病棟の入院料を算定できます。この場合、診療録・看護記録への具体的な記録が求められます。

在宅・訪問分野の取扱い——避難所での訪問診療・訪問看護

在宅医療に携わるリハ専門職にも関係する規定が盛り込まれています。

避難所にある程度継続して居住する患者に対し、定期的な診療が必要と判断され患者の同意を得た場合、在宅患者訪問診療料(Ⅰ)の算定が認められます。ただし、通院可能と判断される患者は対象外です。同一避難所内の複数患者への訪問は「同一建物居住者」の取扱いとなります。

訪問看護については、災害発生前に主治医の指示書交付を受けている利用者で、被災により主治医と連絡が取れず新たな指示書の交付が困難な場合、訪問看護ステーションの看護師等が必要と判断すれば、指示書の有効期間を超えても訪問看護基本療養費を算定できるとされました。

まとめ・今後の展望

今回の通知(保医発0331第2号)は、令和8年3月31日付で発出され、即日適用されています。従来の「災害ごとの個別通知」から「事前ルールによる自動適用」への制度転換であり、対象期間は原則として災害発生月とその翌月。その後も継続が必要な場合は、個別に取扱いが定められます。

リハ専門職にとっての実務上のポイントは3つ。第一に、災害派遣や被災者受入れに伴うPT・OT・STの配置変動は1割超でも届出不要。第二に、専従職員の派遣は専従要件の喪失事由にならない。第三に、回復期リハ病棟への基準外入院時の算定ルールが明文化された。

なお、データ提出加算等に係るデータ提出が困難な場合の期限については「都度事務連絡を行う」とされており、今後の続報に注意が必要です。災害ごとに本通知とは別に追加通知が発出される可能性もあるため、厚労省の事務連絡を継続的に確認することが求められます。

▶︎災害発生時における保険診療関係等及び診療報酬の取扱いについて

災害時のリハ職配置基準、届出不要に──厚労省が"事前ルール"を通知、個別対応から脱却へ

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