骨盤底筋は大臀筋を働かせなくても収縮できるが、その逆は…
POSTインタビュアー 先生がメンズヘルスの中でメインにやっている研究はなんですか? What is your main research in men’s health?
Daniel Kirages先生 私は、大学院の臨床研究のリーダーで、研究室には、骨盤底の痛みを研究している人もいるし、なぜそんなに筋が収縮するのか、なんで痛くなるのかということを研究している人もいます。
TMJ(顎関節)と骨盤底の痛みはもしかしたら相関があるかもしれない。座る時間が長い人はそれも問題かもしれない。ストレスが溜まっている人も。そういう様々なことが、もしかしたら痛みと関連しているかもしれないということを研究もしていますね。
大臀筋が、骨盤底筋とリンクしていて、大脳皮質の同じ分野で働いている。骨盤底筋を収縮して大臀筋がそのまま働かずにいられるのかも調べました。骨盤底筋は大臀筋を働かせなくても単独で収縮できるんです。ただ大臀筋を働かせると骨盤底筋が収縮してしまうんです。
これをみてください、普通の人にのどのように痛みが生じるのでしょうか?大脳皮質からのシグナルがどうなっているのか、筋のどの辺が大脳皮質とコネクションがあるのかを研究しています。
なので大臀筋の過収縮が骨盤底筋の痛みを誘発しているのかもしれない。仙腸関節障害と骨盤底筋の障害を分けないといけない。
人生を変える
POSTインタビュアー 最後に、学生や若手の理学療法士に対して、メッセージをいただけますか?
Daniel Kirages先生 骨盤底は誰にでもある器官ですよね。理学療法士があまり関わらないところ、治療していないところだと思います。アメリカ人男性の約18%は痛みがあり、1/6は前立腺癌になっています。
痛みや前立腺癌で尿漏れをしていることで困っている人はたくさんいると思います。助けを必要としているし、我々はそれが出来るようになるはず。特別なことをしているわけではなく、筋骨格系と同じようなことをしています。
教育や徒手療法、運動を教えて、筋骨格系を再教育して、姿勢調整をして患者さん達を助けています。QOLの問題に直結してくる問題になるので、非常に大事な分野だと思っています。
この辺を助けるなんてことは考えたこともないかもしれません。尿を止めたり、出したりは日常すぎて考えたこともないと思いますが、ただ一つのシンプルなことを少し行うだけでその人の人生を変えることができるのでとても楽しい分野だと思います。
誰も助けてくれず困っている患者さんを助けるということは素晴らしいことですし、その人を助けたことで下り坂だった人生を登り調子にしてあげて、後々お礼のお手紙やメッセージをもらえるということはとてもやりがいがありますよ。
通訳:一色史章先生
【目次】
第一回:メンズヘルス領域との出会い
第二回:リラックスしたほうが良い方も、収縮させる方法も教えます
第四回:女性医学の中の男性医学?
第五回:骨盤底筋は大臀筋を働かせなくても収縮できるが、その逆は…
Daniel Kirages先生経歴
資格
PT, DPT, OCS, FAAOMPT
Dr. Kirages is an Instructor of Clinical Physical Therapy. He has a hybrid schedule of both clinical practice and academic teaching. It is within the private practice of the Division, USC Physical Therapy Associates, where he attends to a diversified patient load, addressing orthopedic and pelvic health disorders. While in the classroom he serves as course coordinator for Basics of Patient Management and as a primary instructor for Clinical Management of Musculoskeletal Dysfunction within the first year of the DPT program.
Dr. Kirages is a Board Certified Orthopaedic Clinical Specialist (OCS) as well as a Fellow of the American Academy of Orthopaedic Manual Physical Therapists (FAAOMPT). He is significantly involved with advanced professional education through his teaching and clinical mentorship within the USC Residency in Orthopedic Physical Therapy. He is also the primary faculty member of theUSC Orthopedic Boot Camp Series which is a comprehensive series of seminars that enables the participant to attain high level skills in examination and treatment procedures for common musculoskeletal conditions.
Dr. Kirages may also be found researching topics associated with pelvic health, teaching continuing education courses or giving lectures at a variety of academic institutions or healthcare facilities nationally and internationally.
Professional Affiliations
Member: APTA, Orthopaedic and Women's Health Sections Fellow: American Academy of Orthopaedic Manual Physical Therapists Member: International Pelvic Pain Society
Faculty Positions
Instructor of Clinical Physical Therapy, University of Southern California Clinical Faculty - Riverside Physical Therapy Orthopaedic Residency and Spine Fellowship Programs, Grants Pass, OR