介護事業者の経営環境が厳しさを増しています。東京商工リサーチ(TSR)によると、2025年の介護事業者の倒産は176件で、2年連続の過去最多となりました。倒産に至る前に事業をたたむ「休廃業・解散」も653件と4年連続で最多を更新しています。倒産の中心は訪問介護ですが、リハビリ専門職の職場に近い通所系でも、2026年1〜5月の倒産が前年同期を大きく上回っています。生活期リハビリを担うPT・OT・STにとって、自らの職場の経営環境を映す数字です。
倒産統計は、官庁統計ではなく、信用調査会社のTSRと帝国データバンク(TDB)がそれぞれ公表しています。両社は集計の定義が異なるため件数も一致しませんが、いずれも「高止まり・過去最多水準」という方向で一致しています。本記事では両社の数字を、それぞれの定義に沿って整理します。
倒産176件・休廃業653件、ともに過去最多(TSR)
TSRの集計(負債1,000万円以上)では、2025年の介護事業者の倒産は176件で、前年(172件)から2.3%増えました。2019年の111件と比べると約6割の増加です。倒産に至る前段階の休廃業・解散は653件で、前年比6.6%増。統計を取り始めた2010年以降、4年連続で最多を更新しています。
TSRは、赤字が積み上がる前に休廃業・解散を選ぶ事業者が増えていると分析し、倒産と休廃業は「紙一重」の状況にあると指摘しています。
倒産した事業者の規模は小さく、資本金500万円未満が128件(構成比72.7%)、従業員10人未満が142件(同80.6%)を占めました。形態別では破産が160件(同90.9%)で、再建型ではなく清算に至るケースがほとんどです。

倒産の主役は訪問介護 背景に人手不足
業態別にみると、倒産の中心は訪問介護です。2025年は91件(前年比12.3%増)と3年連続で最多を更新しました。倒産全体(176件)の半数を超えます。一方、通所介護を含む「通所・短期入所」は45件で、前年比19.6%減と通年では減少していました。有料老人ホームは16件、認知症グループホームは前年の2件から9件へ増えています。






