第一回：技術が下手で、でも口が上手くてリピートさせる療法士【理学療法士｜波田野征美先生】

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波田野先生はなぜ理学療法士になろうと思ったのか？

ー　理学療法士になろうと思ったきっかけは？

波田野先生：元々は中学教師になろうと思っていました。しかし、野球をやっていたこともあり高校２年生の時にスポーツトレーナーもやりたいなと思って、調べていたら理学療法士という職業を見つけました。

野球部と赤十字の部活（JRC部）をしていて、福祉にも興味はあったで医療・福祉系でトレーナーの道もあるのかと思い、理学療法士を志望しました。

ー　先生は社会医療技術学院出身ということですが、養成校はどのように選ばれたんですか？

波田野先生：実は浪人しているんですよ。高校生の頃は母校のことは知らなくて、浪人時代に医療系専門の予備校に行って知りました。高校で養成校を探していた時は、高校にも資料が３校分くらいしかありませんでした。高校で一学年５００人くらい生徒がいて、５～６人くらいしか理学療法士を志望した人はいない時代でした。

ー　その頃の時代で理学療法士の認識はどの程度ありましたか？

波田野先生：「なにそれ？」という感じでしたよ。でも給料は良かったです。一番初めは整形外科クリニックに入職しましたが、基本給で３０万を超えていて、３０万切っているところは「給料が低いな」という時代でした。２００４年くらいのことですかね。

私の２～３年下くらいから診療報酬が下がったりして、給与が下がったり、国家試験の難易度が上がったりしてきたようですね。

波田野先生にクリニック時代のお給料聞いちゃいまいた。

ー　昇給はどれくらいあったんですか？

波田野先生：１年間で月給が２０００円ずつ上がって行きました。ボーナスは基本＋歩合制で、単位をたくさん取ればボーナスに反映されるという仕組みでした。給料は満足していたけど、ボーナスの査定が納得いかないところがあったんですよね。

技術が下手で、でも口が上手くてリピートさせる療法士は単位が多くなり、査定が高くなるわけですからね。私は結果を出そうと努力していた結果、単位は少ないので、査定は低かったのを覚えています。

ー　その後、別のクリニックに転職しても給料は良かったと聞いていますが？

波田野先生：埼玉（以前は茨城）のクリニックでは１年目で４２０万を提示されました。そこは毎年プロ野球のように契約更改があったんですよ。２年目になる時に「来年は４８０万で」と言われて。最終的には５１０万程度でした。

ー　転職をされた理由はなぜですか？

波田野先生：評価基準じゃないかな。別にお金はそこまで気にしていませんでした。やはり技術職だから、技術を認めてもらいたいという欲求があると思いますが、「患者さんを良くした」ということは評価しづらいですよね。

指名とかを取ったりすると面白いのかなと思いますけどね。

求められていることは何も変わらない。

ー　療法士の質が悪いと言われてきていますが、セミナー団体は増えてきています。先生も講師としてご活躍されていますが、受講生から求められているものはどんなことだと感じますか？

波田野先生：求めていることは昔と変わってないと思います。「患者さんを良くしたい」ということじゃないかな。ただし、以前は東京でセミナーをしても、かなり遠方から受講してきた人がいて「なぜ来たんですか？」と聞いたら、「東京旅行に来て、そのついでにセミナーを受けようと思った」という方もいらっしゃいましたね。

最近は、給料が減っていることもあると思いますが、内容を十分に吟味して、選んで来ていますよね。「勉強しよう」という目的意識があるから、一人一人の意識は前よりも高くなっている気がします。

ー　経験年数での違いはありますか？

波田野先生：やはり５年未満の方が多くて、そこからかなり飛んで経験年数がすごい上の人たちが増えるという印象です。やはりちょうど５～１０年目前後は、結婚して子供が出来て、時間とお金の問題が大きく関わってくるのかなと思います。

だからキャリア１５～２０年目くらいの人に聞くと、「ようやく自分の時間とお金が取れるようになったから、勉強できるようになった」と言ってくるかたがいらっしゃいます。