ー　セミナー団体への意見は色々とありますが、主催者側としてのご意見をお聞かせください。

 

波田野先生：セミナーに関しては、世代間の認識の違いは非常にあると思います。

 

経験年数が多い人の生きてきた時代と若い人が生きてきた時代はまったく違う時代ですので。それぞれの立場や経験された視点で物事を捉えてしまうと、乖離が生じるのは必然だと思っています。

 

もちろん、キャリアのある先生方の話を聞くことは大切だと思いますが、そこは利点も欠点もあると思っています。

 

キャリアのある方々の話は、１０年２０年の経験を積んできたレベルでの話なので若い人には難しすぎてついていけないということも起こります。

 

さらにネームバリューがあるゆえ、ある意味ではその情報だけに縛られてしまう面も少なからずあるのかなと思います。私たちのように若手〜中堅のセラピストのセミナーはそういったレベルに辿り着くまでのステップという点もあります。

 

若い世代での話は、経験が浅い中での話になるので、情報としては少ないように見えるのかもしれませんが、共通言語という意味では話が通じやすいという利点もあると思います。

 

そこからベテランの先生方の話が理解できるようになって、ベテランの先生方のセミナーへ行くきっかけになればいいと思いますし、私たちなりの発展のさせ方も提示していますので、そちらに来ていただいてもいい。

 

とにかく大事なことは受講生のレベルに合わせてステップを踏んでいくということですね。

 

なので、本来はお互いを尊重して協力することが必要だと思いますが、この問題に対する意見は、立場の違いや、目的の違いによってばらつきがあるので、意見を一致させることは難しいでしょうね。

 

ただ主催者側として、その目的はブラさずに、常にブラッシュアップした内容を、わかりやすく伝える努力は怠らないように考えています。

 

自己投資は、未来への貯金

ー　院内での勉強会と外の勉強会の違いはどこにあると思われますか？

 

波田野先生：勉強に対する意識という上では、違いがあるかもしれません。外のセミナーはお金を払っていくわけで、明確な目的があります。

 

院内勉強会では、自分の興味とは違う内容であることも多く意義を感じにくくなります。

 

なので、私の場合は、あまり真面目に聞いてなかったなという経験があります。これに関しても賛否両論あると思いますが、自己投資で学ぶということの覚悟は、勉強の質に現れるのだと思います。

 

ー　お金を投資することの価値観の違いがあると思うんですが、セミナーに出て、未来へ貯金することはどんな意味があると思いますか？

 

波田野先生：なぜ投資しなければいけないかといえば、単純に「仕事だから」ということでしょう。仕事だから患者さんを良くしなければいけないし、それが遂行できなければ、仕事として成り立ちません。

 

医療従事者として、という志も重要ですが、単純に技術職の仕事として、自分の技術を高めるのは当たり前ではないかなと思っています。

 

医療従事者だからではなく、一般企業でも自分に投資している人としていない人では差が出てきますよね。なので「投資をした方がいい」とか「投資をしなきゃダメだ」ということは考えたことはないです。

 

考えるまでもなく、「当たり前のこと」だったので。

 

 

ー　先生が行なわれている「トリガーポイント療法」では、どのような考えを伝えているのですか？

 

波田野先生：よくセミナーで言っていますが、トリガーポイント療法は痛みに確実にアプローチできるものだし、確率の高いものだからとりあえずやってみることをススメいています。

 

評価が大事と言う話もありますが、評価が多いということは迷いの多さにつながると思っています。

 

トリガーポイントというのはリスクが極めて少ない上に、確率が高い手技なので、「まずは試してみる」という点での価値は非常に高い手技だと思います。

 

トリガーポイントをやってみて、痛みが取れなければ、では何が問題か？と考えれば良いのです。

 

例えばトリガーポイントは筋肉だから、「じゃあ神経系かな？関節かな？」と考えて評価や治療をすれば良いと思いますね。

 

治療技術も、評価だということですよね。評価と治療は分ける必要はないということです。