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【知足と満足】 ヨガとリハビリテーション -理学療法士(PT)堀川ゆき先生連載#3- 

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ヨガの教え「サントーシャ」(Santosa)とは

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2~3世紀頃に著されたインド哲学の古典経典である「ヨガ・スートラ」には、ヨガの思想について大切なことがたくさん書かれています。

私がヨガを好きで教えているといっても、何せヨガの歴史は4000年前のインダス文明までさかのぼってしまうので、あまり宗教的なことや哲学的な内容となると私もお手上げなのですが、その「ヨガ・スートラ」に書かれている、私の好きな言葉を一つ紹介します。
 

「サントーシャ」(Santosa)

「サントーシャ」とはサンスクリット語ですが、日本語でいうと「知足(ちそく)」と表現されます。つまり、「足るを知る」ということです。

今の自分自身で足りていることを認識し、それ以上に求めないという意味です。「知足」とよく似た言葉で、「満足」という言葉があります。「満足」とは、十分に満ち足りていることであって、足りていることに気付く「知足」とは似て全く非なるものです。

生きていく上で本当に必要なものって、実はとてもシンプルなはず。「Simple is best.」という言葉がありますが、まさにその言葉の通りで、本当はもっともっと身軽になれるはずです。

あれもこれもと不必要なものまで抱え込み過ぎて、本当は満たされているはずが逆に自分を窮屈にしてしまっていませんか?

思い切って手放す勇気を持ってみましょう。

雑誌に載っているあの服が欲しい、

仕事で認められて出世したい、

あの人みたいにお金持ちになりたい、

カッコよくなってキレイになってモテたい、

もちろん、夢や目標を持つことは生きていく上でとても大切です。でもそれに執着し過ぎたり、周りに優しくなれなかったり、自分自身を苦しめていたり、大切なことを見失ってしまってはいませんか?

「あれもこれも足りない!あれもこれも欲しい!」ではなく、「あれもこれもある!あれもこれも要らない!」へ、ちょっと意識を変えてみましょう。

綺麗なものを綺麗と感じたり、

美味しいものを美味しいと感じたり、

家族や大切な人を愛おしいと感じたり、

季節の風の匂いに懐かしさを感じたり、

笑ったり怒ったり悲しんだり喜んだり、

こんなふうに心が感じて動く瞬間「感動」があるのは、今こうしてここで生きているから。何気ない日常の中で、ふとした幸せを見つけてみてください。

「サントーシャ」を見直すことで、自分とって本当に大切なものが何かを気付かせてくれます。それに気付いた時、自然と感謝の気持ちが込み上げてきます。自分自身が何だか愛おしくなる、そんなヨガの教えです。

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「病気を診ずして病人を診よ」

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先日、私が勤務している整形外科クリニックの整形外科医の先生と、勉強会のあとお話する機会がありました。その先生は診察していて患者さんに時々こんなことを言われるそうです。

「何だかここ(クリニック)に来たとたん痛いのがなくなりました」

「先生のお顔を見たら、急に楽になりました」

「(先生が患部に触れると)あれ、何だか治ったかも?」

医師に限らず、理学療法士と患者さんとの間でも、嘘のようでたまにある話です。

「病気を診ずして病人を診よ」。これは、海軍軍医総監として当時海軍を苦しめた脚気の撲滅に貢献したことで「ビタミンの父」とも呼ばれる、東京慈恵医科大学の創始者、高木兼寛医師の有名な理念です。医療従事者ならだれもが耳にしたことがあると思います。

各々の解釈があるかもしれませんが、病名に気を取られて、患者さんの姿を見失わないこと、病気の治療のみではなく、患者さんの抱える背景や精神など、その人自身をみることを意味しています。

不調を抱えてクリニックに訪れて、医師や理学療法士と会っただけで不思議と治ってしまう患者さんは、おそらくこの「心」の部分が満たされたからじゃないかと思います。

私は、先ほどお話しした「サントーシャ」を、患者さん自身に見つけてあげたいと思っています。

今の自分自身で足りていることに気付いてもらう。怪我や病気によって不自由なことがあると、どうしてもその「障害」に患者さん自身が、時には理学療法士までもが目を向けてしまいがちです。

「あれができない、これができない」そうではなく、「あれもできる!これもできる!」ことをどんどん見つけてあげて、そしてさらにそれを理学療法士の手で増やしてあげて、患者さんの力になってあげられたらと思います。

理学療法士としてはまだまだ経験の浅い私ですが、それでも患者さんからの「ありがとう」「良くなったよ」の言葉が何よりの励みです。「この仕事をやっていて良かった!」と実感できる瞬間。そんな瞬間をもっともっと増やしていくために、「明日も頑張ろう」と前向きになることができます。

 

【バックナンバー】
▷タレント活動する理学療法士
▷女優から理学療法士へ
▷私が大学院に行く理由
▷ヨガとリハビリテーション −連載第1弾−
▷足への意識で身体は変わる。 −連載第2弾−
 

(記事編集:林)

 堀川ゆき先生経歴

経歴                                                                            

1982年 滋賀県近江八幡市に生まれる。

2002年(20歳)上京して劇団青年座研究所に入所する。

2005年(23歳)テレビ朝日「秘湯ロマン」レポーターとして活動する(~2013年)。

2006年(24歳)単身ニューヨークに3ヶ月間渡り、Michael Gilbert、Debellis Nixa、Horowitz Carlの指導のもと全米ヨガアライアンス認定ヨガインストラクター資格を取得。ニューヨーク中のヨガスタジオを訪れ、約200コマの様々なヨガクラスを受講してまわり、ニューヨークのヨガスタイルに深く影響を受ける。帰国後ヨガインストラクターとして活動。ヨガの聖地インドのリシケシのヨガニケタンアシュラムや、スウェーデン、ドイツ、デンマーク、タイなど各国を旅して現地のヨガを体験する。

2008年(26歳)アンダーザライトヨガスクールにて受付業務を担当する。

2010年(27歳)フィットネスクラブ ウラクアオヤマにてヨガを中心としたレッスンを担当。同時に2011年より自身主宰の都内のスタジオで完全紹介制パーソナルレッスンを開始。ヨガ・マットピラティス・ペアマッサージストレッチを組み合わせたオリジナルのレッスンを行う。

2015年(32歳)都内整形外科にて理学療法士として勤務する。

学歴

2013年(30歳) 日本大学文理学部英文学科卒業

2014年(31歳) 東京メディカルスポーツ専門学校理学療法士科卒業

2015年(32歳) 慶應義塾大学大学院健康マネジメント研究科スポーツマネジメント専修卒業

           慶應義塾大学大学院医学研究科眼科学教室博士課程入学

学位                                             

健康マネジメント修士

所属

慶應義塾大学大学院医学研究科眼科学教室 博士課程            

資格・免許                                                                                      

・理学療法士

・全米ヨガアライアンス200(ニューヨークヨガスタジオTeacher Training Course修了)

・特殊小型船舶免許

・文部科学省認定 色彩検定2級

・京都府洋裁学校正教員資格

所属学会                                            

・公益社団法人日本理学療法士協会

・日本抗加齢医学会

・日本スポーツ産業学会

社会的活動                                            

2011年(28歳)いわき市社会福祉協議会災害支援ボランティアセンター ボランティア

出演・掲載など

2005年 テレビ朝日「秘湯ロマン」レギュラーレポーター出演

2008年 日本文芸社「荷風!」都電のある風景 レギュラーモデル出演

2010年 iPhone& iPadアプリ「堀川ゆき インド・リシケシ・ヨガの旅」ヨガポーズ写真集発売

2015年 日本スポーツ産業学会第24回大会号掲載「メンズヨガ ―男性のヨガに対するイメージとヨガセッション後の変化―」他

 

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