今月26日、東京大学医学部附属病院神経内科坂内太郎登録研究員、間野達雄助教、岩田淳講師らは、高血圧や糖尿病による動脈硬化が慢性的な脳血流低下(慢性脳低灌流)を引き起こし、高齢者のアルツハイマー病を加速させるメカニズムを明らかにした。
▶︎ 慢性の脳虚血がアルツハイマー病を加速させるメカニズムを解明
今回、 アルツハイマー病のモデルマウスに対して持続的に脳血流の低下を生じさせる処置を施し、脳内のアミロイドβの状態がどのように変化するかを検討した。処置を受けたマウスでは、より大きな老人斑がみられるようになりましたが、アミロイドβの総量は変わらなかった。
アミロイドβにはお互いにくっつきやすい性質があります。処置を行ったマウスの脳でも、もともとばらばらに存在していたアミロイドβ分子が集まって、より毒性の高い高分子量アミロイドβオリゴマーを形成していることが判明した。
これは、慢性脳低灌流によって脳の細胞と細胞の間を流れる間質液の動きがゆっくりになった結果、よどんだ間質液の中でアミロイドβ同士がよりくっつきやすくなってしまうことが原因であると考えられる。
本研究は学術誌Scientific Reports(オンライン版)にて発表されている。