再生医療×理学療法|「ハイブリッド整形外科」が拓くPTの新しい働き方

51 posts
株式会社C-FORTE 野口社長インタビュー

「20分という時間の壁」「単位数を取ることが目的になってしまう感覚」――保険診療の現場で働くセラピストなら、一度はぶつかったことのあるもどかしさではないでしょうか。

急性期の病院で13年間、回復期病棟の立ち上げから現場の最前線まで歩んできた理学療法士(以下、PT)・野口慧(のぐち・けい)さんは、「マイナスをゼロに戻すだけでは終われない患者さんがいる」といいます。医師と密に連携し、「医療としての自費リハビリ」を実現する――その理念のもと、株式会社C-FORTE(シーフォルテ)を立ち上げました。

クリニックでの再生医療と理学療法士が連携する「ハイブリッド整形外科」とは何か。それは、一般的な自費リハビリと、どこが違うのか。セラピストの一日、報酬への考え、そして「患者さんのため」と「自分のキャリア」を両立させるモデル。新たな協会構想と、10年後のビジョン。設立の原点から、整形・運動器領域の新しい潮流まで――じっくり伺いました。

なぜPTになったのか ── カラダと心を救われたPTとの出会い

輪違 輪違
まずは野口さんのご経歴からうかがいます。なぜPTになったんですか?
野口さん 野口さん
学生時代にバスケでケガをして、出会ったPTがきっかけです。体だけでなく、心まで救ってくれた、その姿に憧れて、この世界に飛び込みました。
輪違 輪違
これまでどんな現場を経験してきたんですか?
野口さん 野口さん
本当はスポーツ領域で働きたかったのですが、ご縁あって栃木の病院に就職しました。三次救急を担う救命の病院で、回復期病棟の立ち上げから関わり、約13年勤めました。脳卒中の患者さんを中心に、毎日多くの方と向き合いながら、学会発表も含めてリハビリ漬けの日々でした。

患者の一言が、独立の原点に

輪違 輪違
いまの活動につながるターニングポイントを教えてください。
野口さん 野口さん
きっかけは患者さんからの一言です。「こういう地域にこそ、自費リハビリをつくったほうがいい」と。その方の本気度に押されて、自分も必要だと確信したんです。
 
その患者さんに出資していただき立ち上げたのが、株式会社ACTAIDE(アクテイド)です。脳卒中など運動機能の自費リハビリに加えて、就労継続支援B型の作業所とデイサービスを組み合わせた複合型の施設をつくりました。障害があっても、リハビリで体を整えながら、仕事を通じて社会とのつながりを持ち続けられる。そんなサステナブルな環境を目指したものです。
輪違 輪違
そこからC-FORTEの立ち上げにはどうつながっていったのでしょう。
野口さん 野口さん
アクテイドが軌道に乗ってきた頃、ご縁あってひざ関節症クリニックに関わり始めました。そこにはPTが配置されておらず、医師から「PTがいたほうがいい」という声が強くあったんです。私自身、変形性膝関節症(以下、膝OA)に対する再生医療を学びたい気持ちもあり、お手伝いから入りました。
 
そこで痛感したのが、セラピストの価値がまだ認められていないという現実でした。逆に言えば、“病院外に活躍できる可能性が眠っている”“最終的には、保険医療の中に自費リハビリが組み込まれる「ハイブリッド型」の時代が必ず来る”その受け皿をつくりたいと考えて立ち上げたのが、C-FORTEです。

「本質的なリハビリができていない」という違和感

輪違 輪違
「本質的なリハビリができていない」と感じた具体的な瞬間はありましたか。
野口さん 野口さん
現場にいる人なら、誰もが毎日もんもんとする点だと思います。20分という時間制限や単位数の制約──制度の壁ですね。私は、保険診療の役割は「マイナスをゼロに戻すこと」だと考えています。これは医療制度上、必要なものです。
 
ただ現場には、ゼロになった状態から「10、20とよくなりたい」という方がたくさんいます。制度の枠内ではどうしても関わりきれない。もっとやりたいのに、これ以上は関われない。そのもどかしさに何度もぶつかってきましたし、今でも向き合い続けているリアルな葛藤です。

「この働き方、もっと知りたい」と思った方へ

C-FORTEの現場や採用について、お気軽にお問い合わせください。

C-FORTEに話を聞いてみる >

一般的な自費との決定的な違い ── 医師と連携する「医療としての自費リハビリ」

輪違 輪違
自費リハビリと聞くと「高い」「少し怪しい」という先入観を持つ方もいると思います。一般的な自費リハと、C-FORTEが目指すものはどこが違うのでしょうか。
野口さん 野口さん
一般的な自費リハビリは、医療から少し切り離された構造になりがちです。もちろん、そうした入り口も必要な領域だと思っています。ただ、医師の診断がないまま、セラピストの経験や腕だけで進めるのは、患者さんにとってリスクを伴います。
 
C-FORTEが提供しているのは、クリニックと密に連携した、医療クオリティの自費リハビリです。医師とセラピストが同じカルテ、同じビジョンを共有し、エビデンスに基づいてアプローチをする。医療機関というバックボーンがあるからこそできる関わりが、私たちの強みだと考えています。

ハイブリッド整形外科とは ── 再生医療×理学療法という新しい設計

輪違 輪違
連携しているひざ関節症クリニックでは、どのような治療を行っているのですか。
野口さん 野口さん
完全自費診療の整形外科クリニックで、膝OAに対する再生医療を提供しています。具体的には、患者さんの血液から成長因子を取り出して用いるPFC-FD™や、脂肪由来幹細胞を用いた治療などです。これらは保険適用外で、自費診療となります。
輪違 輪違
PFC-FD™というのは、セルソース社の仕組みを使っているそうですね。仕組みとしてはどういうものなのでしょう。
野口さん 野口さん
採血した血液をセルソース社に送り、成長因子という良い成分だけをフリーズドライ化して院内に戻します。つまり院内で培養はしません。たとえるなら、すべてを自分のキッチンで仕込むのではなく、セントラルキッチンで整えてもらった素材を使うイメージですね。クリニックを開業する側としては、設備や手続きの負担を抑えられるメリットがあります。

なぜ再生医療とリハビリの相性が良いのか

輪違 輪違
再生医療とリハビリを組み合わせると、なぜ効果が高まるのでしょうか。基礎の部分をわかりやすく教えてください。
野口さん 野口さん
前提として、私たちは再生医療後だからといって特別な手技を使っているわけではありません。膝OAに対する運動療法のエビデンスは、世界的に確立されています。しかし、関節炎や構造的な変化がある場合、理学療法だけでは生物学的な炎症そのものにアプローチすることはできません。これが、痛みの負のサイクルに陥りやすかった従来の課題でした。
 
そこに再生医療を組み合わせると、組織の修復や抗炎症の働きがより強く期待できるとされています。いわば、関節内が最も良い状態に整った「チャンスタイム」の中で、私たちの運動療法を掛け合わせる。環境が整った関節内では、運動療法のパフォーマンスも私たちの関わりの効果も大きく上がる、という設計です。
 
注入後のどのタイミングで、どんな安静度・どんなプロトコルで運動療法を進めるか。メカニカルストレスを痛みのない状態でどう減らしていくか。そこを段階的に設計して、再生医療の効果を最大化し、再発しにくい状態へ持っていく。プロトコルの体系化はまだ道半ばですが、研究を進めながら論文の投稿も始めているところです。

ハイブリッド整形外科の現場でPTに求められるスキル

輪違 輪違
この現場で働くセラピストには、従来の病院勤務とは違うスキルが求められるのでしょうか。
野口さん 野口さん
繰り返しますが、特別な手技が必要なわけではありません。ただ、再生医療のメカニズムを正しく理解し、医師と対等にディスカッションできる知識は必須です。注入後のどのタイミングで、どのプロトコル・安静度で関わるか。リスクヘッジも含めて、患者さんが「どうなりたいか」という目標に合わせて、主体的に伴走管理していく力が求められます。
 
エビデンスに基づく関わりと、患者さんの人生に伴走するマインド。この両輪が一番求められると思います。自分の知識や技術がダイレクトに結果へ反映される自費の領域だからこそ、セラピストとしての臨床IQが間違いなく問われる。それが、この現場のやりがいでもあります。

C-FORTEで働くPTの一日

野口さん 野口さん
働き方は大きく2つ。再生医療と連携するクリニック勤務と、じっくり向き合う自費リハビリ勤務です。どちらも「数をこなす」より「一人に向き合う」ことを軸に組まれています。

 

① クリニック勤務

医師と同じカルテで連携しながら、再生医療を受ける患者さんを担当。1枠30分 / 1日6〜8名

9:00

出勤・カルテ確認

その日に担当する患者さんの状態を、医師の診断と合わせて確認する

午前

リハビリ(30分 × 数名)

再生医療を注入する前後の患者さんを評価し、プロトコルに沿った運動療法を提案・説明する

休憩

午後

リハビリ(30分 × 数名)

1日あたり合計6〜8名。注入直後の経過確認から、目標に向けた運動療法まで

夕方

空き時間 = 自己研鑽・症例検討

書類業務やカンファレンスに追われず、学びや症例検討の時間にあてられる

② 自費リハビリ勤務

一人ひとりにじっくり向き合う、60分単位のリハビリ。1枠60分 / 1日5〜6名

午前

60分のリハビリ(数名)

再生医療の注入直後の方から、何年も通われている方まで。

休憩

午後

60分のリハビリ(数名)

1日あたり合計5〜6名。回すのではなく、ただただ患者さんと向き合う時間

随時

経過のフォロー・次回設計

施術後の経過を見ながら、その人の目標に合わせて次の関わりを組み立てる

※時刻はイメージの一例です。1枠の長さ・1日の担当人数・業務内容・空き時間の使い方は取材内容に基づきます。

保険診療との一番の違い ── 「回す」のではなく「向き合う」

輪違 輪違
保険診療との一番の違いは、どこにあると感じますか。
野口さん 野口さん
一人の患者さんに完全に向き合えることです。保険診療でも、皆さん真剣に向き合っています。ただ、単位数を取らなければいけないという制約の中では、どうしても「回す」という感覚が生まれてしまう。私たちは時間を確保して深く関わる。継続していただくことに集中できます。
 
保険診療では書類業務やカンファレンスに時間を取られることも多いですよね。私たちの現場では、空いた時間を自己研鑽やスタッフ同士の症例検討に使えます。個人の裁量をもって、自立して働ける環境だと思っています。
輪違 輪違
自費の世界では、継続して通っていただくことも大切になりますよね。マネタイズの面で、保険診療とは違う感覚が必要になるのではないですか。
野口さん 野口さん
お金に対する価値観は、一定必要になります。それは恐怖心を煽って通わせるという話ではありません。むしろ逆で、「よくなったから、もっとこの人に診てもらいたい」「何かあったら、まずこの人に相談したい」と思っていただける関わりをしましょう、と教育で徹底しています。
 
一回数百円だから、ではなく、数万円を払ってでも診てもらいたい。そう思われる関係性を築けると、セラピストとして強いんです。担当医ではないけれど、体のことを一番知ってくれている存在として頼られる。その付加価値が、自費の現場では何より大事だと思っています。いかにその人にコミットできるか。そこに尽きます。

「自分も、こんな関わり方がしたい」と思った方へ

C-FORTEの現場や採用について、お気軽にお問い合わせください。

C-FORTEに話を聞いてみる >

スタッフに起きている変化 ── 臨床力とビジネス感覚の両輪

輪違 輪違
スタッフに、「ここに来てよかった」という変化はありますか。
野口さん 野口さん
私がいうのも変ですが、みんな表情が明るくなりました。何よりプロの目つきになったと感じます。最年少スタッフは、頼りない印象でしたが、1年でセラピストとしてもビジネスパーソンとしても成長しました。お金の管理や患者さんへの考え方、会社の一員としての視点が育っています。
 
シビアな世界なので、プレッシャーや責任は当然あります。その中でも、「目の前の患者さんがよくなることだけに、自分の脳みそを100%使えるのが本当に幸せです」と言ってくれました。成果が報酬として還元される仕組みもつくっているので、これまでの現場とは違います。
輪違 輪違
病院ではなかなか育ちにくい力が、ここでは育つということでしょうか。
野口さん 野口さん
単にリハビリをするだけでなく、施設をよくする視点や、連携医療機関との関わりも経験します。企業への根回しが必要な場面もあり、ビジネスパーソンとして成長できる場所です。病院以外のフィールドでこそ活きる力だと思っています。

「患者のため」と「自分のキャリア」は両立する

輪違 輪違
医療の世界では、「お金や待遇の話をするのは悪」「奉仕の精神こそすべて」という風潮が根強くありました。「患者さんのために本質的なケアをしたい」という思いと、「自分のキャリアや収入も大切にしたい」という思いは、両立できるのでしょうか。
野口さん 野口さん
奉仕の精神そのものは、決して間違っていないと思いますし、私も同じです。いまは、自分が豊かでないのに、他人の幸せを支えることはできないんじゃないか、と考えています。関わる人たちが、まず豊かであるべきなんです。
 
だからC-FORTEでは、最高水準のリハビリを提供して患者さんに感動してもらい、その正当な対価として高い報酬を受け取れる仕組みをつくりたいと考えています。これは両立というより、むしろ直結しているイメージです。「あなたに担当してもらえてよかった」と感謝されながら、自分の生活もキャリアも上がっていく。この循環こそが、私の理想です。

自分の足で立つセラピストを育てたい ── 協会構想と、10年後に描く未来

輪違 輪違
構想されている協会では、既存の資格や学会と、何が違うのでしょう。
野口さん 野口さん
まだ構想段階で、実装まではいくつかステップがあります。既存の学会や資格は、学術的な研究や技術のインプットがメインです。私自身もたくさん学ばせてもらいましたし、素晴らしいものだという前提です。そのうえで私たちが目指すのは、自分の足で立って現場を変え、その価値に対する対価を受け取れるセラピストの育成です。
 
そのためのビジネススキルやマーケティング、マインドセットまで包括して学べる環境にしたいんです。既存の枠組みに守られるのではなく、自ら新しい市場を切り開いていく次世代型のリーダーを輩出していく。そんな形を目指しています。
 
広めたいのは再生医療そのものではなく、「ハイブリッド型整形外科」というモデルです。学んだことがキャリアと紐づくように、修了後の働き先まで私たちがフォローできる。学ぶところから、巣立つ先まで一気通貫で支える。そんな仕組みを最終的につくっていきたいと考えています。
輪違 輪違
最後に伺います。10年後、C-FORTEや協会を通じて、リハビリ業界をどう変えていきたいですか。
野口さん 野口さん
一番の損失は、力のあるセラピストがどんどん別の業界へ出ていってしまうことです。その結果、いちばん困るのは患者さんなんです。真剣に取り組んできた人が報われないまま現場を去り、本当に力のあるセラピストに診てもらえなくなる。これ以上もったいないことはありません。
 
学ぶことを諦めてほしくない。時間を惜しんで理学療法と真剣に向き合ってきた人が、ちゃんと報われる世界。10年後、保険医療の中でセラピストがハイブリッドの働き方をすることが、当たり前の選択肢になっている。C-FORTEのモデルが、世の中に定着している。――そんな未来を目指しています。

今回のインタビューを通じて見えてきたのは、C-FORTEが単なる自費リハビリの会社ではなく、「医療としての自費リハビリ」という新しいスタンダードを、人材育成から行う存在だということでした。患者さんに向き合える時間、成果が還元される仕組み、ビジネスパーソンとしても成長できる環境。「患者のため」と「自分のキャリア」が直結する働き方が、ここにはありました。

「患者のため」と「自分のキャリア」の両立を目指すセラピストは、C-FORTEに話を聞いてみてください。あなたの専門性が、これまで以上に必要とされる場所が見つかるはずです。

C-FORTEで、新しい一歩を

医師と肩を並べる「医療としての自費リハビリ」。
ここで働く。あるいは、ここで学ぶ。
あなたの臨床IQが、患者さんの人生を変える場所へ。

採用・お問い合わせはこちら

※まずは話を聞いてみるだけでも歓迎です

再生医療×理学療法|「ハイブリッド整形外科」が拓くPTの新しい働き方

Popular articles

PR

Articles