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治療前後のイラストや写真を掲載するのは禁止!? 資料・HP作成の上で必須の【医療広告】の知識

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前回、著作権に関してまとめましたが、今回は医療広告についてお伝えしたいと思います。

 

全国どこの養成校でも授業で習うことはないと思いますが、リハビリ専門職にとって、切っても切れない内容です。

 

知らなかったが故に犯罪者になってしまわぬよう、要点を抑えていきましょう。

 

医療広告の定義について

 

まず始めに、「医療広告とはそもそも何か」ということを知らないといけませんね。

厚生労働省が出している”医療広告ガイドライン”では、次の3つを”医療広告”と定義付けられています。

①患者の受診等を誘引する意図があること(誘因性)

②医業若しくは歯科医業を提供する者の氏名若しくは名称又は病院若しくは診療所の名称が特定可能であること(特定性)

③一般人が認知できる状態にあること(認知性)

引用元:医療広告ガイドライン

 

また具体例は以下の通り。

 

広告とみなされる媒体

・チラシ、パンフレット

・FAXによるダイレクトメール

・ポスター、看板

・不特定多数の説明会、相談会、キャッチセールス

・説明会等で使用されるスライド

・インターネットのバナー広告

・ホームページ

etc...

広告とみなされない媒体

・FacebookやTwitterなどのSNS

・学術論文、学術発表、専門誌での発表 ※ただし学術論文と装い、患者を集めた場合は広告とみなされる。

・個人の体験談や手記によって、医療機関を勧める記事

・院内及び現時点で受信している患者さんに対して配布するパンフレットやカタログ、メールマガジン

etc...

 

広告とみなされない媒体に関しては、以下の内容は適応されません。ただし、あくまで「現在は」です。今後、悪質な内容による被害が報告されれば適応される可能性があります。

 

以前は「ホームページは医療広告に含まれない」とされていましたが、2017年6月から改正医療法により対象内となりました。これに関しては後述致します。

 

禁止されている広告は?基本となる4つの考え方

 

それでは次に、どのような広告が禁止されるのか見ていきましょう。医療広告ガイドラインには以下のように記載されています。

 

(ⅰ) 比較広告 (ⅱ) 誇大広告 (ⅲ)広告を行う者が客観的事実であることを証明できない内容の広告 (ⅳ)公序良俗に反する内容の広告 さらに、薬事法(昭和35年法律第145号)等の他法令やそれら法令に関連する広告の指針に抵触する内容について広告しないことは当然のことであり、それら の他法令等による広告規制の趣旨に反する広告についても、行わないこととする。おって、品位を損ねる内容の広告等、医療に関する広告としてふさわしくないものについても、厳に慎むべきものである。

引用元:医療広告ガイドライン

比較広告とは、他の病院や会社と効果や性能などを比較し、自分の方が優れているとうたう広告のことで、誇大広告とは、事実を不当に誇張して表現していたり、人を誤認させる広告のことです。以上を踏まえて、次は例を元に解説していきたいと思います。

 

医療広告違反はいくつある?

POST病院が作成した地域の高齢者向けたチラシです。チラシは上で述べた通り、医療広告に分類されますので規制の対象になります。

この中には医療広告ガイドラインに反する表現をいくつも散りばめてあります。みなさんも一緒に考えてみてください。

 

 

それでは次に順に説明していきますね。

まず、① チラシ右上に「手術件数No.1」と書かれていますが、このように「世界最高」「No.1」「どこよりも直せる」といった他院と比較する表現は禁止されています。比較広告にあたりますね。ただ、病院の手術件数を具体的に明記することは「採取したそのデータの明確な機関を記載する場合に限り」許可されています。

 

次に、② チラシ中央に「絶対、膝の痛みがなくなる」と書かれていますが、「絶対」というのがアウト。医療に「絶対」はありませんよね。効果は人それぞれ。虚偽広告ということになります。

 

また、③ チラシ中央に「運動前」と「運動後」を比較して、膝関節が伸びたような写真が載っていますがこれも違反。このような治療効果の比較は以下の理由で禁止されています。

 

Q2-19 治療の前後のイラストや写真を掲載することは可能でしょうか。(法第6条の5第1項第11号関係)

A2-19 治療の効果に関する表現に該当するため広告できません。治療効果については、個々の患者の状態等により当然にその結果は異なるものであり、効果について誤認を与えるおそれがあることから、広告することはできません。

引用元:医療広告ガイドラインに関するQ&A

 

続いて④ チラシ下方の「芸能人のTATSUYAも来院」とありますが、これもNG。つい自慢してしまいたくもなってしまいますが、チラシを見た側が、「TATSUYAさんが通っている病院なら他の病院より優れているのではないかしら」と優良誤認するおそれがありますので、芸能人が受診している旨は、決して事実であっても広告できません

 

また、⑤「運動をするとすぐに痛みもなくなり膝も180度まで伸びるようになりました!」という記載も、③でも述べた通り、個々の患者の状態によって効果が異なり誤認する可能性もあるので禁止です。

最後に、チラシ下部に記載されている理学療法士の紹介文。これは驚くかもしれませんがほとんどアウトです。

 

まず、⑥ 認定理学療法士(運動器)とありますが、認定理学療法士は医療広告ガイドラインというよりも、そもそも標榜することを日本理学療法士協会が禁止としています。平成26年1月24日に協会から通告が出ており、標榜はリハビリテーション室内などに限られいるようです。

 

本会が要望していた本会の認定理学療法士及び専門理学療法士の名称使用について、厚生労働省『医療広告ガイドライン』※の条件をクリアしてはいない が、院内に限って、認定理学療法士及び専門理学療法士の名称を掲示すること等は了とする。ただし、病院所管理者との意思の疎通は欠かさないことと する。

引用元:認定及び専門理学療法士の呼称に関する使用制限について(報告)

 

次に、⑦ ◯◯テクニックAdvance講習会まで終了という記載も実は禁止されています。

 

Q2-15 医療従事者の略歴として、研修を受けた旨は広告可能でしょうか。(法第6条の5第1項第7号、広告告示第1条第1号関係)

A2-15 研修については、研修の実施主体やその内容が様々であり、医療に関する適切な選択に資するものとそうでないものとの判断が困難であることから、広告することはできません。

引用元:医療広告ガイドラインに関するQ&A(事例集)

 

理学療法士・作業療法士の方ならボバースやPNF、入谷式足底板等の講習会などコースに参加されている方も多く、それを経歴として書いている方も多いですが、"医療広告”であれば違反となります。

 

⑧ 所属学会に関しても、名簿が一般公開されていない学会は明記することができません。患者側からすると公開していなければ、その人が本当にその学会に所属しているかどうか分かりませんよね。リハビリに関する学会の多くは、役員のみの公開が多いと思いますので気をつけなければいけませんね。

 

Q2-14 医療従事者の略歴として、学会の役員又は会員である旨は広告可能でしょうか。(法第6条の5第1項第7号、広告告示第1条第1号関係)

A2-14 略歴として記載する事項は、社会的な評価を受けている客観的事実であってその正否について容易に確認できるものであることが必要です。例えば、地域医師会等での役職、学会の役員である旨については、現任であれば広告は可能ですが、当該法人又は当該学会のホームページ上等でその活動内容や役員名簿が公開されていることが必要です。また、学会の役員ではなく、単に会員である旨は、原則として広告できません。

引用元:医療広告ガイドラインに関するQ&A(事例集)

 

以上となります。あなたはいくつ見つけられましたか?

 

ホームページに関する規制の流れ。最近の動向も踏まえた注意点

もともとホームページは情報を得ようと目的を有する者が、URLを入力したり、検索サイトで検索した上で閲覧するものであり、従来より情報提供や広報という扱いであり医療広告には当てはまりませんでした。

 

しかし、ホームページが医療広告に当てはまらないのをいいことに、脱毛や脂肪吸引などの「美容医療」に関する虚偽広告・誇大広告のトラブルが頻発しまし、これを受けて、平成24年に「医療機関のホームページの内容の適切なあり方に関する指針(医療機関ホームページガイドライン)」が策定されました。

これには、ホームページに掲載すべきでない事項・掲載すべき内容が具体的に示されています。

 

掲載すべきでない事項

・内容が虚偽にわたる、又は客観的事実であることを証明することができないもの

・他との比較等により自らの優良性を示そうとするもの

・内容が誇大なもの又は医療機関にとって都合が良い情報等の過度な強調

・早急な受診を過度にあおる表現又は費用の過度な強調

・科学的な根拠が乏しい情報に基づき、国民・患者の不安を過度にあおるなど して、医療機関への受診や特定の手術・処置等の実施を不当に誘導するもの

・公序良俗に反するもの

・医療法以外の法令で禁止されるもの

 

掲載すべき事項

・通常必要とされる治療内容、費用等に関する事項

・治療等のリスク、副作用等に関する事項

 

また今年07月20日には改正医療法で正式に医療広告の規制対象に、8月24日から厚生労働省は医療機関のホームページ(HP)上の虚偽・誇大広告を取り締まる「ネットパトロール」を開始しました。

 

受託事業者が、医療機関のHPを監視し、不適切な記載を認めた場合に表示を見直すよう促す。その後改善指導や追跡調査も実施する予定だ。

 

また、一般からの情報提供を受け付ける電話や専用サイトの通報窓口も開設し、情報提供を呼びかけている。

 

詳細を読む(引用元):http://iryoukoukoku-patroll.com

 

インターネット上の医療情報の取り扱いに関しては、特定非営利活動法人日本インターネット医療協議会が出している「e ヘルス倫理コード2.0」にても基準が設けられていますので、作成に携わる方はこちらも一度確認することをおススメします。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?「そんなことまで規制されているのか」と驚かれた方も多いと思います。

医療に関する情報は、受けて側の命にも関わります。取り扱いには十分に気をつけなければいけませんね。(自戒を込めて)

最後に、記事執筆にあたり貴重なご助言を賜った株式会社リンクアンドコミュニケーション所属 藤本修平先生に心から御礼申し上げます。

 

参考文献

医療法

医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関して広告し得る事項等及び広告 適正化のための指導等に関する指針(医療広告ガイドライン)

医療広告ガイドラインに関するQ&A(事例集)

医療機関のホームページの内容の適切なあり方に関する指針

医療機関のウェブサイト等の取扱いについて(とりまとめ)

 

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