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これから先進国で働くことを考えている療法士・学生へ |岡田瞳先生

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先進国で就労するきっかけ

 

 実際にドイツのスポーツ現場で学びながら経験を積みたいと思ったことがきっかけです。私は日本の大学を卒業した後にドイツに留学し、そちらで理学療法を学びました。

 

養成校では実技を学ぶ機会も多く、臨床実習に割かれる時間も日本のおおよそ2倍となる1,600時間以上が義務づけられています。もちろんスーパーバイザーの存在はありますが、最終学年になると、学生でも理学療法士の先輩方同様に患者様を担当することになります。

 

しかしながら、やはり養成校を卒業しただけでは知識も経験も浅く、実際の社会経験を積まずに日本に帰国するということは考えられませんでした。

 

ドイツに永住するつもりはなく、いつかは日本に帰国したいと思っていましたので、現地にいる間に少しでも多くのことを学びたいと、迷わず就職活動を始めました。

 

 私はもともとトレーナー志望で、スポーツ現場で活動することを望んでいましたので、就職先はスポーツクリニックを中心に探しました。

 

しかし、外国人であるということ、ドイツで働くためには厳しい審査を要する就労ビザを取得しなければならないということから、就職活動は難航しました。

 

より良い環境で最新の情報に触れなくてはと、大都市を中心に履歴書を送りましたが、立て続けに43の医療機関からお断りの回答がありました。そして就職活動に希望が見出せなくなり、学生ビザの期限もあと数ヶ月となり、これ以上ドイツに滞在することが難しくなってしまったときに、何の反応もなく忘れかけていた『スポーツリハ=ベルリン』というクリニックから電話をいただいたのです。

 

それは、まさか通るはずがないと思いながら記念にでもと履歴書を送っていた首都ベルリンの有名なクリニックでした。「一度、見学と面接に来ませんか?」という内容でしたが、電話の段階でビザについての問題を説明したら、やはり残念ですがということになりました。

 

ところがその数日後に、「ビザに関して我々は知識がないから、もう一度詳細を説明してくれませんか?」という電話をいただきました。驚きましたが、どちらにせよ何もせずにこのまま帰国というのは避けたかったので、「臨床実習のような形で、お給料は求めませんので働かせてもらえませんか?とにかく経験を積みたいんです。」と咄嗟にお願いをしました。

 

それでいいのなら、という前向きなお返事をいただけたのですが、なんと一ヶ月後にボスが、「ここで一緒に頑張ろう。」と力強い言葉をかけてくれたんです。

 

ビザに関してもスムーズにはいきませんでしたが、クリニックやその周囲の力強い協力を得て、無事にドイツでの就労が許可され、社会人としての生活が始まりました。

 

そして、クリニックで多くのアスリートのリハビリやコンディショニングに関わりながら、様々なスポーツチームとのご縁にも恵まれ、選手やチームに帯同するようなスポーツ現場での経験も積めるようになりました。

 

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