第三回:悩み苦しみ越えろ【八千代病院 総合リハビリセンター技師長 兼 情報企画室長|松山 太士先生】

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遅れた医療・介護分野

 

今の職場環境だと、出世って難しいと思うんですけど、そうなると独立していかなくてはいけないんじゃないかと思うんですが、その辺はどうでしょうか?

松山先生 今ではキャリアの形が多数存在していますよね。昔よりは、はるかに可能性や幅は広がってきていることも間違いないと思います。私はずっと病院で働いていて、900人くらいの中規模な法人で働いていますが、そこでのキャリアというのも昔と変わりつつあります。

 

医療や介護の領域でマネジメントできる人材って、めちゃめちゃ少ないと思うんです。今日も病院経営管理学会に行ってきましたが、諸外国から「海外では、経営を学んできたプロが病院経営をしていますよ」と言われるらしいです。

 

経営の大学院で学んでいた頃、一般のビジネスマンと話しますと、医療や介護分野はすごく遅れていると思われていて、私自身もそう思う部分もあるなと感じています。例を挙げると、凄く生産性が低い状態のまま改善が進んでいない点などですかね。そういう業界だからこそ、PTOTという職種問わず、マネジメントできる人が少ない業界は、逆にチャンスだと思っています。ですから、独立しなくてもいくらでもチャンスはありますよ。

 

私たちの世代や少し下の世代でも事務長をやっている人もいますが、起業だけじゃなく、中・大規模な組織で経営に関わっていくキャリア形成もあると思います。うちのリハの人たちの中にも優秀な子がいて、他職種よりもすごいセンスがあると思う時もあります。医療も介護のこともわかるし、それについて語ることもできます。そういう人たちが、法人の要所に携わるようになってきています。

 

私が入った時は、管理職一人でしたけど、今は10人以上います。若い人たちの中には、理学療法士は給料が安くて不安だ、と思っている人もいるみたいですが、それなりのマネジメントに携わるポジションであれば、決して低くないと思います。まだそういうポストは全国にたくさんあると思うので、チャレンジしてもいいんじゃないかなって思います。普通の企業でも一緒ですよね。

 

 

働き方改革とかされているんですか?

松山先生 私が所属する法人では、規模の割に理解のある病院で、法人の許可をもらうことができれば、所属法人以外の仕事を受けることも可能です。基本的な就業規則では禁止ですが、きちんとしたプロセスを経て許可をもらうことができれば可能なのです。

 

例えば、高校の部活動にスポーツ理学療法として関わっている理学療法士がいますが、その活動は法人にとってもチャンスになるので、許可を貰って時間内に行けるようにしています。

 

あとは予防事業に関わる時も、許可が出ています。フィットネスジムなどから講演の依頼があった時も、許可を貰っていくようにしています。案外許可もおりやすく、恵まれた環境だと思います。就業規則ガイドラインの見直しで、原則副業解禁という流れもありますので、本業で実績が出せている能力の高い人たちはこれから可能性が広がっていくのではないかと思います。ただし、きちんとした承認プロセスを経る、コンプライアンスを遵守することが大切だと話しています。

 

批判的に吟味する能力を身につける

 

松山先生みたいなポジションを目指している若い理学療法士はいると思うんですけど、その人たちがやっておいた方がいい事とかありますか?

 

松山先生 これまでの経験上、ざっくりしていますが、“すごく悩む辛い経験”を若い時にしておいた方がいいと思います。普段何もなければ深く考えず、毎日が過ぎていきますけど、辛い事にぶち当たるとすごく悩むと思うんです。順調にいっているときにはない経験なので、それはしっかり経験したほうがいいと思います。

 

すぐに辛いことがあっても逃げず、その壁を乗り越えられるよう成長していくことが大切だと思います。それを経験していると、自分の軸というものが見えてきます。

 

マネジメントをする立場になると答えが無い状況での決断が増えます。その時に、決断できる人間か否かは、これまで壁を乗り越えてきたか否かが問われます。マネジメントとは、日々矛盾に向き合い決断することの連続ですが、自分の軸がブレていると、全く決断できません。

 

この他で、やっていたほうがいいと思うことは、異文化に触れる経験です。理学療法士、作業療法士のいる世界は、すごく狭い世界です。そこだけで体験できることは限られていますからね。異業種の人たちと交流してみたり、私は出来ませんでしたが海外に行ってみたりすることも良いのではないかと思います。

 

こうした異文化の経験と、理学療法士・作業療法士としての経験とをかけ合わせていくと、いいアイデアが生まれてくるんじゃないかと思います。私自身、経営大学院に行ったというのがすごく良かったと思います。

 

例えば、グロービス経営大学院で最初に衝撃を受けたのは、クリティカルシンキングという科目でした。ここでは、物事を批判的に吟味するという思考を鍛えるのですが、これは我々の業界でも必要な科目だなと感じました。マネジメントをする立場であれば必須ですね。

 

臨床をやるにしても、“批判的に吟味する”能力は非常に重要です。先輩や研修会の講師から習ったことを鵜呑みにし、そのまま臨床で実践している、という姿勢はプロとして失格です。一方、自分自身の考え方や経験のみに固執し、異なる意見や解釈を受け付けない人もいますが、これでは建設的な議論になりません。

 

「無知の知」という言葉があります。「私には知らないこと、見えていないことがある。そのことを私は知っている。」という意味です。「無知の無知」という言葉があるかどうかはわかりませんが、「私には知らないことがある、ということすら知らない。」という人は、他者からの意見やフィードバックを遮断して思考停止してしまう。これでは、臨床も独善的となり建設的な議論ができる組織にはなりません。

 

クリティカルシンキングは、「人はだれしも身近なこと・自分自身の経験などの影響を受け、思考が偏るものである」という前提に立ち、他者の意見だけでなく自分自身の見解に対しても批判的に吟味する姿勢を大切にします。こうした姿勢が無いと、異文化に触れる経験をしたとしても、それを活かすことは難しいかもしれませんね。

 

職場では、コメディカル向けにクリティカルシンキングの研修を約1年間のコースで主催しています。クリティカルシンキングは、私がグロービス経営大学院で学んで本当に良かったと実感したことのひとつなので、それを少しでも伝えたいという想い、そして異なる考え方を尊重し多様性を許容できる組織を創りたい、と考えて始めました。

 

リハ系の学部でも是非やるべき内容ではないかと思っています。そして、できればグロービスのクリティカルシンキングを1科目だけでも受講することをお勧めします。

 

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続くー。

 

【目次】

第一回:100名の頂へ

第二回:進撃のマネジメント

第三回:悩み苦しみ越えろ

第四回:臨床でもマネジメントを活用できる理学療法士へ

番外編:マネジメントで悩む療法士へおすすめの17冊

 

松山 太士 先生プロフィール

理学療法士

社会医療法人 財団新和会 八千代病院

総合リハビリセンター技師長 兼 情報企画室長

急性期・回復期・生活期を有する医療法人財団新和会八千代病院の総合リハビリセンター技師長として、幅広い領域のマネジメントを担当する傍ら、新規開設の病棟や通所介護の企画も担当。

安城地域リハビリネットワーク代表(2011~2017)として地域課題の解決にも取り組む。現在は、情報企画室長を兼任し、法人経営全般の企画にも携わっている。

教育に関する取り組みとして、診療参加型実習(クリニカルクラークシップ)の導入やe-learningを活用したアクティブラーニング形式の卒後教育、ディスカッション形式の課題解決力研修など、新たな育成の仕組みづくりにも挑戦している。

理学療法士、保健学修士、経営学修士(MBA)

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