足首のねんざと後遺症

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捻挫後の”背屈制限”だけでも解決できれば多くの選手が後遺症に泣かされずにすみます。「捻挫後に背屈可動域制限を解消するまで練習には戻れない」というルールを作れるものなら作りたいくらいに、重大な問題と考えるべきだと考えています。

■ 足首のねんざと後遺症の問題

 

ねんざをすると足首が腫れたり、痛みによって筋力が低下したりします。痛いので足首の可動域を制限しながら生活し、場合によっては治る前にテーピングを巻いて無理に復帰したりします。その結果、どういうことになるのかを説明したいと思います。

 

①足首の捻挫をすると、一旦可動域を失います。特につま先を膝に近づける方向(背屈)を失いやすく、またこれはスクワットやしゃがみ込む際の足首の柔軟性を失うことにもなります。

 

②足首の外側と内側を比べると、外側のほうが背屈方向の可動域の回復が起こりやすく、内側は回復しにくいという特徴があります。このため、徐々に可動域が広がっても、それは外側だけの可動域改善が得られており、内側はほとんど変化がないことがしばしばです。

 

③外側のみ背屈可動域が回復すると、すねに対してつま先が外に捻じれます。つまり、内側は背屈せず、外側のみが背屈するようないびつな運動が癖になってしまいます。その結果、下の動画のようにつま先を内側にひねるようにすると、ガクッとねんざのような不安定な状態が再現されるようになります。これはストップのときにつま先を内に向けるような場面で起こるねんざと同じ現象と思われます。

 

④内側の可動域制限は、内くるぶしの後方にある3本の腱とアキレス腱の癒着によって起こります。これらの癒着は一回起こると、運動などで自然に剥がれることはまずありません。一度起こった癒着は、高度な治療技術でしか剥がせないのです。

 

⑤つま先が外向きにねじれるといろいろと問題が起こります。主な問題として、「足首の前が詰まる」、「内側アーチがつぶれて扁平足になる」、「着地などで足首で衝撃吸収ができなくなる」、「かばって歩くうちに膝がねじれる」、「ねじれた結果膝に痛みが出やすくなる」、「膝がねじれると足の裏の外側に体重が乗りやすくなり、更にねんざしやすくなる」、など。

 

⑥足首の前の詰まりは骨の衝突によって起こるため、この状態で何年かプレーしているうちに「骨に棘ができる」、「足首の前の骨に疲労骨折や骨挫傷が起こる」、「その結果数ヶ月間の練習離脱になる」、「さらにその原因である内くるぶしの癒着が解消されなければ再発を繰り返す」といったことになります。これはまさに選手寿命に関わります。

 

上記の問題は解決可能ですが、簡単ではありません。コーチ、トレーナー、選手、医療関係者が一体となって、捻挫後遺症を防ぐように努力しなければなりません。その具体策については、下記の通りです。

 

■ 足首のねんざ後遺症予防・対策について

 

足首のねんざ後遺症として、最悪足首まわりの疲労骨折を繰り返したり、手術を受けてもすっきりしない骨の棘(とげ)ができたりといった問題が生じます。これらはいずれも選手生命を脅かします。簡単に治療法について説明したいと思います。

 

①足首が硬くなる原因は、筋肉や腱の癒着です。くっついたものは、運動や自分で行うセルフリリースなどでは剥がれません。確実に剥がすにはとても高度な治療テクニックを必要とします。

②捻挫後に硬くなる場所は、内くるぶしの後ろを通る三本の腱とアキレス腱、その間にある脂肪などです。治療の上では、これらの腱が正常に滑るように、一本ずつ丁寧に剥がしていくことが必要となります。

③ゴルフボールやツボ押し帽で押してもこれらは絶対に剥がれません。むしろ炎症を起こし、癒着をより頑固にします。またテーピングを長期間巻き続けると皮膚も癒着してしまい、さらに頑固な可動域制限が生じます。

④したがって、一度つまりが発生したら、自分で解決しようとせず、必ず高度な治療技術を持ったセラピストを探してください。参考までに、蒲田が講師を務める講習会では、このような問題に対する治療法を実技も含めて教えています。

 

では具体的な治療はどのようにすればよいでしょうか? 以下は、専門の技術を持った方のみができるものです。

 

①まず後脛骨筋を内果および脛骨内側縁から丁寧にリリースします。これだけで背屈におもなう距骨の後方への滑り込みが改善します。

②後脛骨筋と交差する長趾屈筋を後脛骨筋から丁寧にリリースします。

③次に背屈に伴って長趾屈筋は内果に近づくように移動し、距骨後突起は関節包とともに後方できるよう、長趾屈筋を関節包から前方に向けてリリースします。

④距骨の真後ろにある長母趾屈筋を内側から探り、関節包からリリースします。

⑤外側では、長母趾屈筋を後脛腓靭帯および長腓骨筋からリリースします。

⑥ヒラメ筋の前面で、長趾屈筋、腓骨筋、長母趾屈筋をこするようにしてヒラメ筋をこれらの屈筋群から開放します。ヒラメ筋の前には屈筋群意外に脛骨神経が挟み込まれているので、この神経とヒラメ筋との間、また神経と屈筋群との間を丁寧にリリースします。

⑦アキレス腱自体の柔軟性を獲得させるため、腓腹筋とヒラメ筋との間のリリース、またアキレス腱とその前の脂肪体との間のリリースを行います。腓腹筋とヒラメ筋との間には足底筋が挟み込まれているので、この腱を丁寧に両筋から開放します。

⑧アキレス腱周囲、脛骨内側縁周囲、腓骨周囲の皮下組織をリリースし、皮膚が滑る状態を確保します。

 

上記のように、一度できてしまった内くるぶしの周辺の癒着を組織間リリースで解決するには、とても多くの高度な治療技術を必要とします。しかし,スポーツ現場で活動するトレーナーなどが習得すると、最も早期に癒着に対する治療ができるようになり、アスリートにとっては100%の機能回復を得る上で、とても強力な武器を手にすることになります。

 

■ 筆者・セミナーご紹介

筆者:蒲田和芳

・広島国際大学総合リハビリテーション学部 リハビリテーション学科 教授

・株式会社GLAB(ジーラボ) 代表取締役

・一般社団法人日本健康予防医学会 副理事長

・株式会社リベラシオン 代表取締役

 

セミナーご紹介:蒲田和芳が講師を務める~全身の関節疾患の治療法を学ぶためのセミナーシリーズ~CSPT2018 クリニカルスポーツ理学療法セミナーの受講者お申込み受付中です。

https://realine.info/seminar/cspt

 

長期間の「拘縮」や「可動域制限」に対しても、確実に可動性を回復させるための徒手療法技術ISR(組織間リリース®)セミナー2018も受講者お申込み受付中です。

https://realine.info/seminar/isr

 

■ 関節疾病の治療と進行予防のスペシャリストになるためのサイト

 

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関節疾病を解決へ導くためには、一時的な症状改善ではなく、根本から治療が必要です。そして、効果を長続きさせること、再発させない状態へと戻すことが重要です。

 

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