腰痛対策の’’指南書’’|ホントの腰痛対策を知ってみませんか? (書評)

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 「腰痛」とは最も多く発生しやすい症状であり,リハビリテーション業務を行っていると,周りの職員からも腰痛の訴えが聞こえてきます.厚生労働省も「職場における腰痛予防指針」を発表するなど腰痛を社会問題と捉え,対策に乗り出しています.このように腰痛は生活や仕事に大きな支障をきたし,労働生産性や生活の質に負の影響を与えていることは明白です.それでは,腰痛を改善するためにはどのような対策方法があるのでしょうか?

 

 本書は「これだけ体操」で有名な整形外科医の松平浩先生が手掛けられた1冊です.特異的腰痛 (椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症)の見分け方や治療方法が書かれています.また,原因を特定しきれない腰痛 (非特異的腰痛)を運動器だけの問題として捉えず,脳機能のdysfunction (機能的な変化・異常)も含めて語られています.購入のきっかけとなったのは,これらの内容が充実していたためです.慢性的な非特異的腰痛には脳機能のdysfunctionを改善することが必要であると主張し,その方法が書かれています.総論の解説とこれらを評価するスクリーニング法が紹介されており,臨床場面で実践しやすい形式になっています.それらの腰痛を予防・改善するために1・2・3次予防対策が具体的に解説されています.

 

 理学療法士として運動療法や徒手療法,物理療法を中心として介入を行っていくことは重要です.しかし,対象者の社会的背景を捉え,そこから非特異的腰痛を運動器と脳機能の両面から改善を図っていくことが求められていると感じました.本書を読んで介入方法や自主トレーニング指導を変化させたところ,腰の痛みを主訴としていた対象者が疼痛の改善のみならず,日常生活での行動変容が生じました.このように,非特異的腰痛の改善に対し運動器以外の視点から見られるようになることが,本書の価値であると考えています.

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腰痛対策の’’指南書’’|ホントの腰痛対策を知ってみませんか? (書評)