軽い運動で記憶力が高まる脳活動のメカニズムを解明

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筑波大学体育系  征矢英昭教授、諏訪部和也研究員、邊坰鎬(ビョン・キョンホ)助教、筑波大学システム情報系  山海嘉之教授、鈴木健嗣教授、米国カリフォルニア大学アーバイン校 Michael A.Yassa教授(筑波大体育系教授)らの共同研究グループは、ヨガや太極拳のような軽運動を模した超低強度運動が海馬を中心とした記憶システムを活性化し、記憶力を向上させることをヒトにおいて初めて明らかにした。

▶︎ 短時間の軽運動で記憶力が高まる! ~ヒトの海馬の記憶システムが活性化されることを初めて実証~

 

 征矢教授の研究グループはこれまで、独自に開発した動物でのトレッドミル運動モデルを用いて、ストレスフリーな軽運動でも学習・記憶を担う海馬を刺激し、新しく生まれる神経細胞の数を増やすなどの効果をもつことを明らかにした。しかし、海馬は脳の中心部に位置する小さく複雑な脳部位であるため、ヒトでの検証は進んでいなかった。

 

 本研究では、超低強度運動を10分間行った直後と安静後に記憶課題に取り組んだ際の脳の活動を、最先端の機能的MRI技術を駆使して高解像度で可視化し、比較した。その結果、超低強度運動が海馬を活性化し、特に、海馬歯状回を中心とした記憶システム全体を上方制御することで、記憶能の向上に資することが明らかになった。

 今後、本研究成果を足がかりとして、高齢者や低体力者でも行える海馬をターゲットとした軽運動プログラムの開発が期待される。

 

 本研究成果は、米国科学アカデミー発刊の総合科学誌「PNAS(Procee dings of the National Academy ofSciences of the United States of America)」で9月24日付で公開されている。

軽い運動で記憶力が高まる脳活動のメカニズムを解明

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