健康保険は、「全国健康保険協会(協会けんぽ)」と「健康保険組合」の2種類が存在するが、今、全国の「健康保険組合」は次々と解散している。
今回、解散が決まったのは国内で第2位の健康保険組合「人材派遣健康保険組合」。「日生協健康保険組合」も解散を決定しており、厚生労働省はこの2健保組合の加入者が協会けんぽに移った場合、国費負担は年120億円増えると試算されている。今後、社会保険料を取り巻く環境はさらに悪化していくことが容易に予想される。
これらは加入者の高齢化に伴い、医療費を賄うための支出が大きくなり、経営が赤字となったのが原因だ。健康保険組合は、大企業やそのグループ、業界単位で組織されている自立の公法人で、協会けんぽは、都道府県単位で運営されている。この2種の保険の大きな違いは、「保険料」と「付加給付」だ。
保険料は、給料などの収入額に対しての割合で決定されている。協会けんぽは、その割合を都道府県単位で決定している。しかし、健康保険組合は、それぞれの組合で割合を決定できるため、協会けんぽに比べ低く設定している傾向にある。その為、月に払う保険料が少ないというメリットがある。
さらに、健康保険組合は「付加給付」と言われる、独自の保障を備えている。例えば、病気にかかり医療費が100万円かかったとする。協会けんぽも健康保険組合も「法定給付」として医療費の7割が健康保険から負担されるため自己負担額は30万円となる。さらに高額療養費制度が適用されるため、収入によって異なるが、一般的な収入であれば自己負担額は月約8万円となる。
2025年には全体の4分の1以上の健康保険組合が解散の危機に陥ると言われている。リハビリテーションという医療を提供していくうえで、切っても切れない深い保険業界の動向にも、今後注目していく必要がありそうだ。