【5/5:眞田先生講演】競技における外傷後から競技復帰までのリハビリとその後のサポート」
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感謝
どのように競技が運営されているかというと、各競技に定められた強化費というものがあってオリンピック・パラリンピックなどでメダルを狙いやすい種目に関しては、強化費が高く設定されています。
そのため競技によって、合宿や強化試合の数、スタッフの日当含め異なると聞いています。日本選手団として参加するパラリンピックやアジア大会などに関してはどの競技も同じように日当等は支払われています。
またスポンサーの支援も我々には大きく、競技によってスポンサーの数も異なります。車椅子バスケはありがたいことに障害者スポーツの中でも多い方だと思います。
今後、理学療法士が関わって車椅子バスケも世界のトップになっていけることができたら選手・スタッフの環境ももっともっと変わってくると思います。実際、パラリンピック競技もオリンピック競技同様の文部科学省へ移管したことなど、ここ数年でいろいろな変化を感じています。
年間で約3ヶ月は代表活動に時間を取られますが、現在勤務しているクリニックの院長には理解していただいて、常勤として働かせていただいています。
日本代表で活動していることに注目されますが、車椅子バスケに全力で活動できるのは、家族はもちろん理解していただいてくれている職場の院長、スタッフの皆さんのおかげに他ありません。
自分が遠征へ行くことで、スタッフのみなさんにはどのような形であれ負担は必ずかかります。それでもいつも温かい言葉をかけてくれる職場のスタッフのみなさんには感謝という言葉では表すことはできない。
言葉ばかりでなく、職場でその感謝以上のものを今後どれくらい示せるかが自分の課題ですね。
2012ロンドンパラリンピックの話
2012年のロンドンパラロンピックでは、選手村にまず驚きました。24時間マクドナルドがやっていて、注文したら全部タダで頼めます。選手はさすがに大会期間中禁止でしたが(笑)
食事はアジア、ヨーロッパ、アフリカなど各地域によって食事のブースが分かれていましたが、3週間そこで生活することになるので最初は何が食べやすいか、どのようなものがあったなど選手やスタッフで情報共有したりします。
また管理栄養士にアドバイスにアドバイスをいただいたりして食事をしていました。海外遠征ではどうしても慣れていない食事や環境のため食欲が低下しやすい選手もいます。また栄養バランスを整えるため日本から食事を持っていくこともありますし、現地の日本料理屋をリサーチしてお弁当を手配する時もありました。
選手村の宿泊は、選手と一緒にスタッフも宿泊していました。競技によってスタッフが多いところは近くのホテルを借りて選手村に入れるように申請するなどの手配をしています。
この間アジア大会がありましたが、パラリンピックと同じように選手村の中に食堂、ジム、リラックス施設などがあり同じような感じでしたね。
今苦しくても後で「よかった」と気づくもの
日本で車椅子バスケのクラブチームは80〜90チームくらいあると思いますが、どこも理学療法士を必要としている話をよく聞きます。ただ、車椅子バスケットボールという競技ではトレーナーだけで生活していくだけのお金をもらえないのが現状で、職場に勤務しながらが現実的かなと思います。ここを1番変えていけたらいいですね。
理学療法士を取得して、車椅子バスケに関わる上でまず職場に理解してもらう必要がありました。一度院長に千葉の練習現場へ足を運んでいただき、実際に見ていただきました。代表合宿が千葉で行われる際にも来て頂いたりしていました。
その中で、現在の形で勤務できるようにしていただきました。よく「職場に理解してもらえないんです」という相談を受けますが、感謝を忘れずしっかりやるべきことをやることで徐々に見ていただけるのではないかなと、自分がやってみて実感しました。院長には本当に感謝しかありません。
正直、自分がやりたいことであれば何でも苦ではないと思います。その時は、苦しくても後になって「よかった」と気づくものが多く、やりたいこと・気になることはすぐに行動に移すことを勧めます。
私も、海外のチームに興味があって車椅子バスケのイタリア・セリエBのチーム(ベネチア)に自腹で行って、色々と見学をさせていただいたという経験もあります。ヨーロッパには車椅子バスケのプロリーグがあり、今日本人2人がドイツのブンデスリーガでプレーしています。
車椅子バスケのルール
車椅子バスケは、その障害のレベルに応じて競技の中にグループがあります。例えば、主に頸髄損傷では、ツインバスケと呼ばれるものがあります。それ以外の脊損、切断などであれば、普通のバスケットボールのコートで行い、ゴールの高さも同じです。
車椅子バスケで面白いところは、選手に持ち点があることです。この持ち点は、選手の障害の程度によって点数が違って、一人最大4.5点になります。例えば、Th5損傷で腹筋背筋が効かず、障害が重い選手であれば1点、下腿切断でハムストリングスまでが機能する選手であれば4.5点などクラス分けされています。
試合中、常に選手の持ち点の合計が5人で14点以内になるようにメンバー編成するようルールで決められています。これによってある程度、障害からみた平等性を保てています。
ただ上手い5人が試合に出るのではなく、この点も車椅子バスケの醍醐味でもあります。5人の組み合わせは重要かもしれません。
仲間が欲しい
今現在、車椅子バスケで日本代表にもトレーナーとして帯同させてもらって、パラリンピック、世界選手権、アジア大会など全体の流れつかんだ状態です。
ですので、今後は理学療法士としてその中身をもう少し分析していきたいと考えています。例えば選手個人の車椅子操作などのフィットネステスト能力評価をして、代表クラスの選手との差を見やすくするデータがあると面白いと思っています。
その基準値があると、クラブチームの中で数値的側面からも目標が立てやすくなるので、さらにレベルアップできるのではないかなと思っています。障害者スポーツでは、個々において障害の度合いも異なるため難しい部分もありますが2年前位からフィットネステスト等も徐々に行い試行錯誤しています。
あとは、何よりもっと仲間が欲しいと思っています。どうしても一人では難しい部分もあって、考え方も一人より複数で考えたほうがいい案も出ると思います。
ぜひ、やる気があって興味があって、ひたすらやり抜く気力のある方がいたら一緒にトレーナーをやっていきたいなと思っています。自ら行動できる人、是非。
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眞田崇先生経歴
【資格】理学療法士
【職歴・活動実績】
なかやま整形外科 リハビリテーション科 理学療法士
車椅子バスケットボール男子日本代表 トレーナー
千葉ホークス トレーナー
フィギュア・フォー・クラブ(レスリング)トレーナー
コナミスポーツ&ライフ 非常勤 理学療法士
PT養成校 非常勤講師
【出身校】
専門学校東都リハビリテーション学院 AT科→PT科
【車椅子バスケットボール男子日本代表の主な帯同歴】
2011年 ロンドンパラリンピック アジア・オセアニア予選
2012年 ロンドンパラリンピック
2013年 世界選手権 アジア・オセアニア予選
2014年 世界選手権
アジア大会
その他
【執筆】
月刊トレーニング・ジャーナル2013年6月号[雑誌]