鼠径部痛発症の概念図

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アスリートの鼠径部痛はしばしば復帰まで長期間を要し、これが引退理由となる例も多いという実態があります。この状況をなんとしても解決したいと考えて、リアライン・コンセプトに基づく確実性の高い治療法を広めて行きたいと考えております。

 

複雑で多彩な症状を呈する鼠径部痛症候群

 

複雑で多彩な症状を呈する鼠径部痛症候群について、ドーハ会議のコンセンサス(Weir 2015)やグローイントライアングル(GT)(Falvey 2009)の概念が提唱されてきました。しかし、これらは結果因子をまとめたもので、メカニズムの分析や治療法の立案には不十分でした。

 

歴史的にはドーハ会議の方が最近で、現時点での国際的な疾患概念として用いられています。しかし、疾患概念を整理する上で、多彩な症状をエリアで分割するグローイントライアングルの概念は、メカニズムとの関連性を理解する上で現在でも有用性があります。


■疼痛部位とメカニズムとの照合表

・GT内部:股関節周囲、骨盤底筋の疼痛

・GT内側:恥骨結合、内転筋群の疼痛

・GT上方:鼠径靱帯・鼠径管周囲の疼痛

 

これにリアライン・コンセプトを重ねてみると、マルアライメントと症状との関連性を整理した上で、マルアライメントとその原因因子との関連性を明らかにすることが必要です。

  1. GT内部の疼痛は股関節の異常運動に深く関連するため、大腿骨頭のキネマティクスの異常を引き起こす股関節周囲の軟部組織の癒着、あるいは骨の衝突を引き起こす解剖学的因子などとの関連を明らかにすることが求められます。例えば、小殿筋深層と大腿骨頭外側の関節包との癒着は、屈曲時のインピンジメントの原因となります。
  2. GT内側の疼痛は恥骨結合の異常と深く関連します。寛骨前後傾に伴う恥骨結合の偏位は長内転筋の過緊張を引き起こします。さらに恥骨の衝突による恥骨体の骨髄浮腫、腹直筋のスパズムとも関連します。これらを引き起こす原因因子として、鼡径部の軟部組織の癒着が挙げられます。
  3. GT上方の疼痛は鼠径靱帯の下方偏位と関連します。関節のマルアライメントとは異なりますが、鼠径靱帯が下方に偏位し、鼠径靱帯を下方に引く軟部組織の緊張伝達と腹筋群の緊張が鼠径管前壁や後壁に集中して、鼠径管周囲の損傷が引き起こされると推測されます。

 

これらを発症要因とともに図にまとめてみました。緑色はマルアライメント(軟部組織を含む)、オレンジ色はマルアライメントを引き起こす滑走不全、水色は結果因子としての機能障害を示しています。なお、保存療法で解決できない骨の形態的な因子はあえて記載しておりません。

 

この図を下から上にたどることで、臨床評価の手順とともにメカニズムに関する仮説ができあがります。この仮設に基づき原因因子の治療を進める上での迷いがなくなります。マルアライメント改善後の症状に対しては、通常のリアライン・コンセプトに従い対症療法を行います。

 

この図は、クリニカルスポーツ理学療法(CSPT)で本年度から使用している図となります。今後、股関節および鼡径部周囲の症状に対する治療をされる際に、参考にされると幸いです。

 

■ 筆者・セミナーご紹介

筆者:蒲田和芳

・広島国際大学総合リハビリテーション学部 リハビリテーション学科 教授

・株式会社GLAB(ジーラボ) 代表取締役

・一般社団法人日本健康予防医学会 副理事長

・株式会社リベラシオン 代表取締役

 

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