心筋虚血時にケトン体利用率が低下する|熊本大

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熊本大学大学院生命科学研究部 循環器内科の有馬勇一郎助教、辻田賢一教授らは、心臓におけるケトン体の利用率を測定し、心臓の血流が減少した状態(心筋虚血時)において、ケトン体利用率が低下することを確認した。

 

▶︎ 心筋が虚血状態になるとケトン体利用率が低下することをヒトの心臓で確認

 

脂肪は胃液などから分泌されるリパーゼによって、脂肪酸とグリセリンに分解され、脂肪酸の一部は、肝臓でケトン体という物質に変わり、エネルギーとして用いられる。通常、エネルギーに用いられるのはまず糖質で次いで脂肪、タンパク質の順番で消費される。しかし、糖尿病の人でインスリンの作用が不足していると、糖分からエネルギーを作れないため、代替的に脂肪が利用される比率が増えルため、その分ケトン体も多く発生する。

 

そんな代替エネルギーと知られるケトン体であるが、今までは心筋においてケトン体がどのように用いられるかは知られていなかった。

本研究では、心臓カテーテル検査を行なった患者様を対象に、心臓を動かすための血液を供給する大動脈基部と冠静脈洞から採取した血液サンプルを解析して、ケトン体が心臓でどの程度取り込まれているかを調べた。

 

解析の結果、通常状態において冠循環を血液が通過する間に、およそ35%のケトン体が消費されていることが確認され、 心筋虚血状態においては、ケトン体の利用率が著しく低下することを確認された。この変化は、わずか数分の間で生じるダイナミックな変化であり、心臓が絶えず動きながらも、エネルギー源を速やかに切り替えていることを示している。

 

今後はこの特徴を理解した上で、心臓が効率よくエネルギーを使うための研究や、心臓病の新たな治療法の開発が期待される。

 

心筋虚血時にケトン体利用率が低下する|熊本大

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