褥瘡(床ずれ)ケアに関わるPTOTにマストな「問診力」【森田智之先生】

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第329回のインタビューは褥瘡予防・管理ガイドライン第四版の改訂委員会委員の理学療法士森田智之先生。臨床現場で日々褥瘡と向き合いながら、エビデンス構築にも努めてきた森田先生に褥瘡予防・管理の最前線を伺いました。

褥瘡は再発率が非常に高い

 療法士が褥瘡をみる上で大切なポイントについて教えてください。

森田 脊髄損傷者にとって褥瘡は非常に再発率が高い疾病です。

 

ゆえに、原因に対して的確にアプローチを行うことが求められます。問診で患者さんの24時間の生活パターンと照らしあわせていくと、真の褥瘡の原因が分かったりします。

 

褥瘡は非常に再発率が高い疾病です。ゆえに、原因に対して的確にアプローチを行うことが求められます。

 

創の原因が違えば、正しい生活指導が行えないため、また再発してしまいます。日常生活を細かく聞いていくための問診技術は他の職種にない大事な視点だと思います。

 

ー 「実際にこんなことがあった」とか事例はありますでしょうか。

 

森田 褥瘡は、座位で臀部に褥瘡が発生することが多いのですが、車椅子座位で座圧(座った時に殿部にかかる圧力のこと)が高くなっている部分と実際の創傷部位が一致しない時があったとします。

 

例えば、脊髄損傷の人って、排便するのにも、かなり時間がかかることをご存知ですか?だいたい30分から1時間くらい、長い人だと2時間3時間かかったりするので、非常に負担がかかります。

 

数日おきに長時間、トイレで過ごすことになるので、車椅子ではなくて、もしかしたら便座によって褥瘡ができているかもしれない、と問診から原因を探っていきます。

 

患者さんの日常生活は、僕らの想像を超えたところにあるケースも多いです。つい先日も、お風呂にバスマットすら敷いていないということで驚かされたことがありました。

 

患者さんが在宅で過ごしている姿を、正確に把握できるよう問診していくことはとても大切だと思います。

 

Whyを突き詰める

ー 褥瘡の原因って、本人が気づきにくいものなんですか?

 

森田 脊髄損傷の方の場合ですと、受傷してから10年、20年経ってから、初めて褥瘡ができるケースも多いです。なので、それまで何も問題が生じないで暮らしてきているわけですから、今までの生活様式にはなかなか疑問を持ちません。

 

ただし、年月が経てば身体は老化してきますし、ちょっとした環境の変化がトリガーになって褥瘡ができてしまうこともあります。

 

だからこそ、まず問診をして、この人がどういう生活を送っているのか、何を考えているのか、どういう風に過ごしてきたのかを聞き出し、真の原因を聞き出していくことが大切です。

 

「お風呂に何にも敷かないのは危険なことなんだよ」、「トイレでそのまま座っていると便座に大転子のところが当たってるんだよ」と、患者さんと情報を共有して、まず気付いてもらうことが褥瘡ケアのスタートです。

 

ー 問診からその人個人の生活をちゃんと評価していくことが、大切なんですね。

 

森田 そうですね。「クッションは今のものよりもこっちの方がいいですよ。こんな最新グッズが出たんですよ。」と、こちらから一方的にオススメするのは、あまり良くないと思っていて、なぜ今までそのクッションを使っていたのか、なぜそのような生活をしているのかを知ってからアドバイスをすることを大切にしています。

 

ボロボロのクッションでも「いや、これが1番良いんだよ」と言う人もいます。その場合、そのクッションを気に入っている理由は何なのか、教えてもらうことでヒントが得られることがあります。

 

物理療法の進歩

ー 褥瘡に関して、別の理学療法士の関わり方として、最近は物理療法の技術も進んできているとお伺いしました。

 

森田 物理療法の技術はかなり進んできています。僕らは創ができる前後の再発予防と発生予防の臨床と研究を行っていますが、創がある間の治癒促進に関しては物理療法に関しては神戸の理学療法士が中心に進めています。

 

微弱な直流電流を流すと繊維芽細胞の形成が促されて治癒が促進されるっていうエビデンスが確立されてきていて、褥瘡予防・管理ガイドライン(第4版)でも、電気刺激療法は創の縮小に対して行うよう勧められています。 (推奨度B)

 

ただ、いざ物理療法機器を導入するとなると、まず理学療法士が治癒促進に関わることに病院内のコンセンサスが得られている必要がありますし、創傷部位の管理に看護師さんとの協力も不可欠です。

 

当然、使用する際に主治医の許可も必要ですから、理学療法士単独で扱うというよりは、医療チームのコミュニケーションがやっぱり必要なんだろうと思います。

 

次のページ>> 褥瘡ケアとチーム医療 いい連携を生み出す工夫

 

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