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【知らないと怖い】大腿骨前捻角と股関節脱臼の関係

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こんにちは。茨城県水戸市で理学療法士をしています、宮嶋佑です。以前、「ビビる必要ない!人工股関節全置換術後のROM訓練」という記事を書きましたが、今回は、大腿骨前捻角と脱臼について説明していきます。形態的な大腿骨の捻転を頭の中に入れておかないと、見かけ上の股関節の内外旋に騙されて誤った評価をしてしまうかもしれません。これを機に、解剖学・運動学もおさらいしておきましょう。

1.大腿骨前捻角とは

大腿骨前捻角とは、大腿骨頸部と大腿骨内顆と外顆を結んだ線とで測れる、大腿骨頸部と大腿骨体の捻れの角度の事です。平均角度は、15°程でこれよりも前捻角が大きい事を過前捻、少ない事を後捻と言います。

運動学的には、"過前捻"の場合は、正常の前捻角から"外旋方向"に捻れており、"後捻"の場合は、正常の前捻角から"内旋方向"に捻れています。この特徴を把握しておかないと、臨床で評価を誤る原因になりますので、良く理解しておいてください。

2.大腿骨前捻角が違うとどうなるか?

では具体的に、過前捻だったり、後捻だった場合、何が起きるのでしょうか。下の画像をご覧ください。

脛骨も床面と垂直になっており、股関節は中間位になっていると推測されます。この時に前捻角が正常であれば、股関節は内外旋中間位となっています。これが、過前捻の場合どうなるかというと、

先程と同じ様な脚の位置ですので、パッとみた感じでは、内外旋中間位に見えます。しかし、前捻角が強いと正常の前捻角と比較して股関節は外旋方向に捻れていますので、股関節は外旋位になっています。つまり、過前捻の場合、見た目は中間位でも実際には股関節外旋位になっています。逆に、後捻の場合、

後捻の場合は、正常の前捻角と比較して内旋方向に捻れていますので、股関節は内旋位となっています。つまり、後捻の場合、見た目は中間位でも股関節は内旋位となっています。

3.脱臼への影響

ここでクイズです。大腿骨前捻角が"過前捻の人"と"後捻の人"では、どちらが後方脱臼に注意が必要だと思いますか?

正解は、

 

 

後捻の人です。先程説明した様に大腿骨が後捻している人は、見た目は中間位なのに、股関節は内旋位となっています。すると、どうでしょうか。「内旋位にならなければ大丈夫~」と安易な考えを持って、見かけ上の中間位で股関節を屈曲していくと、屈曲+内旋となり脱臼します。同様な理由で、過前捻の人は伸展+外旋で脱臼する前方脱臼に注意が必要です。

 

THA後の前捻角は、基本的には術前と同様の前捻角となります。しかし、S-ROMという前捻角を変化させることが出来るステムを入れた場合、前捻角は変化する為に確認が必要です。

4.前捻角

いかがだったでしょうか?知っているか知らないかで、評価に大きな違いが出ると思います。前捻角は、Craig testという方法で確認ができます。Craig testは、患者さんを腹臥位とし、計測する側の膝を屈曲した肢位を開始肢位とします。そして計測する側の大転子を触診しながら、患者の股関節を内旋させていきます。大転子が最も外側に来たら内旋を止めて、どれ程内旋したかを計測します。


「"大転子が最も外側に来たら"っていつ??」って思う方も多いと思いますが、大切なのは、前捻角が明らかに過前捻なのか?後捻なのか?を見る事です。なので、正確に計測出来なくても問題ないと思います。脱臼リスクがある方は必ず、前捻角はどうか?を確認してみてください。

THA術後の理学療法3つの課題

前回TKA術後理学療法の講習会は大人気となり、アンケートでも特に要望の多かったTHA術後理学療法についてお話しいただきます。宮嶋先生は、全国的にみても非常に多くのTHAを行っている病院に勤務した経験があり、これまで400例以上のTHA術後患者さんを診てきました。THA術後の理学療法で重要となってくるのが、

(1)脱臼に対する対応
(2)脱臼させずに屈曲可動域を向上させる事
(3)跛行に対する治療

だと思います。今回は、その3つについて徹底的に深く且つわかりやすく解説したいと思います。今回のセミナーに参加して頂くと、

・脱臼についての不安が軽減し、自信を持ってADL指導が出来る
・脱臼におびえずに屈曲可動域を向上させられる
・しっかりとプロトコール通りに退院させることができ、医師や上司に信頼される
・「歩き方が綺麗になった」と患者さんに喜んでもらえる

といったことが出来るとようになります。

*1週間限定のアーカイブ配信あり。

プログラム

(1)THAの脱臼について徹底解説
・THAはそもそも何故脱臼するのか?
・脱臼しやすいTHAの条件(侵入方法、カップの前開き、外開き、骨頭径)
・知らないと危ない骨盤と大腿骨前捻角の影響
・脱臼予防方法について

(2)THA後屈曲可動域の改善方法
・脱臼しない股関節屈曲可動域訓練
・股関節屈曲の3大制限因子
・人工関節特有の曲げ方とは?

(3)THA後に多い跛行への評価・治療
・反り腰歩行への評価・治療
・デュシェンヌ歩行への評価・治療
・疼痛への恐怖が強い人への対応

講師:
Confidence代表
宮嶋 佑(理学療法士)

概要

【日時】 7月30日(日) AM10:00~12:00
【参加費】3,300円
【定員】50名 
【参加方法】ZOOM(オンライン会議室)にて行います。お申し込みの方へ、後日専用の視聴ページをご案内致します。

お申し込み▶︎https://tha-physicaltherapy.peatix.com/

【知らないと怖い】大腿骨前捻角と股関節脱臼の関係

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