退院計画、退院時リハビリテーション指導、地域ケアとの連携など、すべての退院支援サービスは退院直後の再入院に対して抑制効果が認められなかったーー。
今月5日、東京都健康長寿医療センター研究所の石崎達郎研究部長、光武誠吾研究員らの研究グループは発表した。
▶︎ <プレスリリース>「退院支援サービスの退院直後の再入院抑制効果の検証」
医療保険制度では、退院後の生活がスムーズに送れるように退院計画や患者・ご家族へのセルフマネジメント指導などの退院支援サービスが提供されているが、このサービスが退院直後の再入院発生に及ぼす効果については明らかではなかった。
今回、急性期病院でリハビリテーションを受けた後に自宅などへ退院した75 歳以上約 3 万名分のレセプト(診療情報明細書)情報を分析。その結果、退院直後に再入院した退院患者は 974 名(2.8%)で、特徴として、入院前に在宅医療で治療を受けていた人、入院中に一日あたり多くのリハビリテーションを受けていた人、フレイルのリスクが高い人が退院直後の再入院発生率が高いことが分かった。
また解析の結果、医療保険制度で提供された退院支援サービスは退院直後(30 日以内)の再入院の再入院に対して抑制効果を認めないことを示した。
この研究成果は、リハビリテーション医学分野におけるトップジャーナルである「Archives of Physical Medicine and Rehabilitation」に掲載されている。
欧米では、退院計画・セルフマネジメント指導・地域ケアとの連携・退院後のフォローアップなどを組み合わせた「移行期ケアプログラム」の退院直後の再入院抑制効果が報告されている。
研究者らは、「今後、わが国の医療保険制度においても、個々の退院支援サービスをパッケージ化した移行期ケアプログラムの開発し、退院直後の再入院への抑制効果を検証していくことが必要です。」と述べている。