令和3年度介護報酬改定の主な事項について1月18日、第199回社会保障審議会介護給付費分科会にて発表された。
シリーズ第9回目の記事となる今回は通所リハビリテーションの概要部分のみとしてまとめていきたい。
大枠は以下の通り。
引用元の文書はコチラ:第199回社会保障審議会介護給付費分科会(Web会議)資料
【基本報酬・加算及び特例】
・基本報酬・移行支援加算
・事業所規模別の報酬特例
【自立支援・重度化防止の取り組みの推進から】
リハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養の取り組みの強化・リハビリテーションマネジメントの強化
・入浴介助の取り組みの強化
・口腔衛生管理や栄養ケア・マネジメントの強化
・生活行為向上のためのリハビリテーション提供の促進
介護サービスの質の評価と科学的介護の取り組みの推進・CHASE・VISIT情報の収集・活用とPDCAサイクルの推進
基本報酬・加算及び特例
基本報酬
【通所リハビリテーション】
要介護3:基本報酬は全てにおいてプラス改定(36〜45単位)
【介護予防通所リハビリテーション】
要支援1:現行 1,721単位/月 → 改定後 2,053単位/月
要支援2:現行 3,634単位/月 → 改定後 3,999単位/月
※利用開始日の属する月から12月を超える長期利用の場合
要支援1…20単位/月減算(新設)
要支援2…40単位/月減算(新設)
移行支援加算
・移行支援加算(旧:社会参加支援加算)→12単位(変更なし)
【算定要件】
・評価対象期間においてリハビリテーション終了者のうち、指定通所介護等を実施した者の割合が、100分の3を超えていること。
・リハビリテーションの利用の回転率 《 12月/平均利用延月数≧25% 》
・評価対象期間中にリハビリテーションの提供を終了した日から起算して14日以降44日以内に、リハビリテーション終了者に対して、電話等により、指定通所介護等の実施状況を確認し、記録すること。
・リハビリテーション終了者が指定通所介護等の事業所へ移行するにあたり、当該利用者のリハビリテーション計画書を移行先の事業所へ提供すること。
事業所規模別の報酬特例
通所介護等の報酬について、感染症や災害の影響により利用者数が減少した場合に、状況に即した安定的なサービス提供を可能とする観点から、以下の見直しを行う。
【単位数】
<改定後>
【ア】
・通所リハの大規模型Ⅰについて、通所リハの通常規模型の基本報酬
・通所リハの大規模型Ⅱについて、通所リハの大規模型Ⅰ又は通常規模型の基本報酬
【イ】
基本報酬の100分の3の加算(新設)
イメージ図(通所介護のイメージを流用)
注) 「新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス事業所の人員基準等の臨時的な取扱いについて(第12報)」(令和2年6月1日事務連絡)で示している請求単位数の特例は、上記の対応が実施されるまでの間とする。
【自立支援・重度化防止の取り組みの推進から】
リハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養の取り組みの強化
・リハビリテーションマネジメントの強化
【リハビリテーションマネジメント加算】
<改定後>
リハビリテーションマネジメント加算(A)イ
同意日の属する月から6月以内:560単位/月
同意日の属する月から6月超 :240単位/月
リハビリテーションマネジメント加算(A)ロ(新設)
同意日の属する月から6月以内:593単位/月
同意日の属する月から6月超 :273単位/月
リハビリテーションマネジメント加算(B)イ
同意日の属する月から6月以内:830単位/月
同意日の属する月から6月超 :510単位/月
リハビリテーションマネジメント加算(B)ロ
同意日の属する月から6月以内:863単位/月
同意日の属する月から6月超 :543単位/月
・入浴介助の取り組みの強化
【入浴介助加算】
<改定後>
入浴介助加算(Ⅰ) 40単位/日
入浴介助加算(Ⅱ) 60単位/日(新設) ※(Ⅰ)と(Ⅱ)は併算定不可
・口腔衛生管理や栄養ケア・マネジメントの強化
① 栄養スクリーニング加算
【単位数】
<現行>
栄養スクリーニング加算5単位/回
<改定後>
口腔・栄養スクリーニング加算(Ⅰ)20単位/回(新設)
口腔・栄養スクリーニング加算(Ⅱ)5単位/回(新設)(※6月に1回を限度)
②口腔機能向上加算
【単位数】
<現行>
口腔機能向上加算150単位/回
<改定後>
口腔機能向上加算(Ⅰ) 150単位/回(現行の口腔機能向上加算と同様)
口腔機能向上加算(Ⅱ) 160単位/回(新設)(※原則3月以内、月2回を限度)
(※(Ⅰ)と(Ⅱ)は併算定不可)
③栄養改善加算
【単位数】
<現行>
栄養改善加算150単位/回
<改定後>
栄養アセスメント加算50単位/月(新設)
栄養改善加算200単位/回(※原則3月以内、月2回を限度)
・生活行為向上のためのリハビリテーション提供の促進
生活行為向上リハビリテーション実施加算
【通所リハビリテーション】
<改定後>
6月以内 1,250単位/月
【介護予防通所リハビリテーション】
<改定後>
6月以内 562単位/月
介護サービスの質の評価と科学的介護の取り組みの推進
・CHASE・VISIT情報の収集・活用とPDCAサイクルの推進
【単位数】
<改定後>
・通所系・居住系・多機能系サービス
科学的介護推進体制加算40単位(新設)
【算定要件】
○ 以下のいずれの要件も満たすことを求める。
・入所者・利用者ごとの、ADL値、栄養状態、口腔機能、認知症の状況その他の入所者の心身の状況等に係る基本的な情報を、厚生労働省に提出していること。
・必要に応じてサービス計画を見直すなど、サービスの提供に当たって、上記の情報その他サービスを適切かつ有効に提供するために必要な情報を活用していること。
以上が通所リハに係る改定の概要となる。
通所リハの見通しとして大切な部分は、
【出口戦略の構築】ではないだろうか?
加算等も提供するケアの質の底上げ、在宅での自立度向上に資する部分にスポットが当たった改定となっている。
すでに医師との連携はしやすい環境がある通所リハにおいては、医師が先頭に立って行う加算について包括化が進むと考えられる。
現時点で連携が不十分な事業所は早々に対策が必要になろう。
加えて課題部分として上がっている【自立支援のさらなる推進と長期化】点についてどのように捉えて行くかも検討せねばならない。
CHASE・VISIT(LIFE)を基軸とした改定は通所介護同様、より厳しい評価が求められるようになることは明確と言えよう。
加算が複雑な部分も多い通所リハでは前回の改定からの読み込みが、大切となる。
次回より詳しく加算の要件などを確認していきたい。
【目次】
第九回:令和3年度介護報酬改定案(通所リハビリテーション1)