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教材開発は学びを深める機会【言語聴覚士 三好純太】

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25年以上前から、言語・学習指導室を開設されている言語聴覚士の三好純太さん。三好さんは、指導室運営の傍ら、これまで30種類以上のオリジナル言語教材を開発し続けておられます。本日は、三好さんのキャリアのお話を通じて、オリジナル教材開発の意義や目的について伺います。

開業STとしての歩み

ーこれまでのご経歴と、現在のお仕事内容について教えてください

三好 STとして働きはじめてから、おおよそ35年くらいになります。最初は、千葉県にある総合病院で勤務し、そこを退職してからは、民間のクリニックとして葛西ことばのテーブルという言語・学習指導室を開設・運営しています。

 

ー当時珍しかった、開業という形態に不安はありませんでしたか?

三好 現在の指導室をひらく前に、病院勤務と並行して、数年間、いまよりも小さな指導室を開設し、子どもの言語指導をしていました。そのときの経験がパイロットスタディーのような役割を果たしてくれたように思います。費用的な負担があっても、子どもにことばの学習を受けさせたい、という家族の方が多いことが実感され、開業という形態が成り立っていくのではないか、と思いました。

 

ーそもそも、開業された理由は?

三好 公的な施設や病院では、組織の性格上、ひとりのこどもをずっと見続けていく、ということができません。言語治療の経験を重ねる中で、長いスパンの中で子どもをみていきたい、と考えるようになったことが、理由のひとつです。

 

ーでは、現在も就学以降のお子さんをみることが多いんですか? 

三好 ことばのテーブルでは、対象となる人の年齢制限を設けていません。結果的に、指導開始時には子どもだったけれど、現在は社会人として通い続けているという方がたくさんいらっしゃいます。

 

ー成人で通える言語指導室は、あまり多くないと思いますが。

三好 ことばのテーブルを開設当初は、社会人になってからも学習を続けたいという人が多いとは考えていませんでした。ことばや学習の感受性の高い時期は過ぎていると思いますが、生活のリズムの1つとして、またコミュニケーションの機会として、大切に思っていてくださるのかな、と思います。

 

成人に限らず、ことばは本来、自然に身につくものであり、人工的な学習での成果や効果は、ごく限られたものにすぎません。だから、ことばのテーブルでの時間が、せめて娯楽として役立ってくれていたらいいなと思います。

 

自ら手がける教材開発

ー教材の種類や難易度も、長いスパンで調整する必要がありそうですね。

三好 同じものを繰り返しやるというのを、子どもはあまり好まないので、どうしても新しいものを日々増やしていく必要があります。そのことが、教材開発につながったという一面はあると思います。現在、ことばのテーブルから市販している教材は、もともとは通われている方の学習教材として作ったものです。市販化する場合は、作りためた教材を整理し、編集しなおして形にしていっています。

 

ー形にしていくというのは、どのような作業ですか?

三好 日々作っているプリントは、レイアウトが不統一だったり、文字に誤りがあったり、あとから考えて内容がわかりにくかったりする場合が多いので、市販化の際は、それらを正し、また他の人が使いやすいように、一般化していく必要があります。また、家庭で使っていただくことを一義に考えて作っているものなので、一定のボリュームがあるものを、できるだけ購入しやすい価格で、ということを心がけています。

 

ー教材開発の中で大切なことはありますか?

三好 一般化のハードルを超えていくためには、不特定多数の人にとってわかりやすい構成やレイアウトの工夫が不可欠です。また取説や問題リストも作っていかなければなりません。どうやったら見やすいか、使いやすいかを考えることは、デザインや認知モデルの勉強にもなります。

 

ーご自身で教材開発を手掛けてよかったことはありますか?

三好 多くの人に使っていただく教材を作るためには、自分自身の経験だけでなく、そのテーマについての幅広い知識が必要になります。自分でわかっていると思っていたことも、教材制作に当たって改めて勉強しなおすと、自分の知見の浅さに気づかされることが度々です、そのような点で、教材制作は、自分自身の学びを深めていくための貴重な機会になっていると思います。また使っていただいた家族の方や学校の先生から、子どもが楽しく取り組んでいる、お話を楽しく読んでいる、といった感想を寄せていただくことが、自分にとって、いまは一番の娯楽になっています。

 

最後に

ーS Tの後輩たちに、キャリアについて伝えたいこと

三好 今いる職場やこれから入る職場には、さまざまな制約があると思います。自分が思ったようなことができない、という思いもあるかもしれませんが、まずは、その制約の中で、どのような活動を行うのが治療や学習にいちばん効果的か、を考えることが大切だと思います。教材制作もそうですが、制約の中で問題解決を図ることが、新しいことの創出につながると思っています。

 

またSTとしての仕事を続けていく上で、わからないこと、困っていることを指導してくる、それぞれの分野のスーパーバイザーを見つけてほしいと思います。

 

三好先生、お話を聞かせていただきありがとうございました!

(ライター:三輪桃子)

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ことばのテーブルオリジナル教材

ことばのテーブル学習会資料

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