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若年者の外側円板状半月板損傷治療に光明 後節半月板の亜全摘は軟骨変性が最も進行 ~形成縫合術による半月板温存がカギ~ 

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<ポイント>

○外側円板状半月板損傷に対する半月板の形成縫合術と亜全摘手術の術式間比較を行い、術後の軟骨変性の違いについて検証

○亜全摘手術の方が形成縫合術よりも軟骨変性が多く出現

○特に後節半月板を亜全摘手術すると軟骨変性が進行

 

<概要>

大阪公立大学大学院医学研究科整形外科学の橋本祐介講師、中村博亮教授らの研究グループは、外側円板状半月板損傷に対して、後節半月板を亜全摘手術した場合、術後の軟骨変性を最も進行させることを明らかにしました。

外側円板状半月板とは、半月板の通常の形態である三日月型ではなく、円板状の形をした外側半月板のことで、日本をはじめアジア系の人種に多いといわれています。

また、若年者の半月板損傷の多くは円板状半月板が原因であるともいわれています。これまでの治療として半月板の痛んでいる部分を亜全摘する手術方法が普及していましたが、近年では辺縁部を縫合する半月板温存手術が普及しはじめています。

本研究では、半月板の形成縫合術と亜全摘手術での術後の軟骨変性の違いについて比較したことで、亜全摘手術をした方が軟骨変性を進行させることを明らかにし、若年者であれば半月板の変性が少々強くても、縫合して半月板を温存する方が軟骨を保護できることを示しました。

本研究成果は、2023年1月3日、国際学術誌「Archives of Orthopaedic and Trauma Surgery」にオンライン掲載されました。

 

橋本祐介講師

「本邦でしばしばみられる外側円板状半月板損傷に対して過去は大きく切除することが多かったですが、我々はできるだけ温存する手術方法を行ってきました。その結果、半月板を温存する方法、特に後節を残存させることが膝機能を保ち、加齢的変化を進行させないために重要であることが分かりました。今後は残存させる手術手技の普及をしていきたいと思います。」

 

<研究の背景>

半月板は一旦損傷すると修復されません。しかし、損傷した半月板を取ってしまうと膝の変形が進行し、痛みがひどくなる時があります。日本で頻度の高い外側円板状半月板の多くは半月板の質が悪く、治る見込みがないと考えられていました。そのため、痛んでいる部分を切除する方法(亜全摘)が普及していましたが、近年では痛んでいる半月板でも縫合の工夫をすることで温存することができると報告されています。しかしながら、辺縁部を縫合した方が辺縁部まで切除した亜全摘より成績が良いか、軟骨保護作用があるか、また前方、後方の辺縁部のどちらを残す方が大事なのかなど、不明な点が多くありました。

 

<研究の内容>

本研究では、15歳以下の外側円板状半月板損傷患者41名を対象に、半月板辺縁部分が損傷しているために半分以上半月板を切除した亜全摘群と辺縁部を縫合する形成縫合群の軟骨変性を比較したところ、亜全摘群の方が術後に軟骨変性が進んでいることがわかりました。さらに損傷部位(前方、後方)の部位別で亜全摘群と形成縫合群の軟骨変性を比較したところ、前方の亜全摘群は縫合群とそれほど差がありませんでしたが、後方の亜全摘群は縫合群に比べて軟骨変性が強く出ることがわかりました。

図1術式の違い

図2術後の軟骨変性の結果

 

<期待される効果・今後の展開>

本研究によって、若年者であれば半月板の変性が少々強くても縫合して温存することにより、軟骨を保護できることがわかりました。今後はこの方法を全国的に広めていくことを目標としています。また縫合方法や切除量などまだまだ課題がありますので、それらの課題に取り組む予定です。

 

<掲載誌情報>

【発表雑誌】

Archives of Orthopaedic and Trauma Surgery

【論文名】

Posterior subtotal meniscectomy revealed the worst scenario for the progression of osteocartilaginous damage in cases of juvenile discoid lateral meniscus withperipheral tear.

【著者】

Yusuke Hashimoto, Kazuya Nishino, Shinya Yamasaki, Yohei Nishida, Tomohiro Tomihara,Hiroaki Nakamura.

【掲載URL】

https://doi.org/10.1007/s00402-022-04747-0

 

詳細▶︎https://www.omu.ac.jp/info/research_news/entry-04527.html

注)プレスリリースで紹介している論文の多くは、単純論文による最新の実験や分析等の成果報告に過ぎました。 、さらに研究や実験を進める必要があります。 、専門家の指導を受けるなど十分に配慮するようにしてください。

若年者の外側円板状半月板損傷治療に光明 後節半月板の亜全摘は軟骨変性が最も進行 ~形成縫合術による半月板温存がカギ~ 

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