週の真ん中水曜日の江原です。引き続き、スクリーニングテストについて書きます。本日はSTarT back screening tool(SBST)で評価する利点についてです。
主観に頼りすぎなくなる
患者の問診をしていると、『動いたらまた痛くなりそうで怖い』とおっしゃる方は多いです。慢性腰痛の知識を持っている理学療法士は『動くことに恐怖感を持っている』と運動恐怖について、ひらめき対応するのではないかと思いますがヒューリスティックな側面が強くなりますね。またそのような発言がなかったとしても、運動恐怖の信念であるFAB(=fear avoidance beliefs)を持っていることはあり、SBSTを行うことで点数化し客観的に運動恐怖をとらえることができます。
患者のリスク層化を推定する能力を検証するために検査者の主観とSBSTとの結果を比較した研究では、患者の腰痛のリスクを正確に推定できたのは41%だったそうです。主観的評価での層別化や心理的要因の特定はあまり正確でないことがわかります。医師が行う腰痛治療の意思決定でも、主観・直感が使われることがまだまだ多いようです。
坐骨神経痛治療の意思決定の論文では、診断とその確実性やタイミングによって結果が変化するとしながらも、結局は主治医の主観的な好みで選定されていると結論付けています。客観化できるのは大きいですね。その他にも以下の利点が挙げられます。
・早期介入
・個別治療
・高いコスト効果