20日財政制度等審議会は来年度予算案の編成に向けた提言にあたる「建議」をとりまとめを鈴木財務大臣に提出。財務省が行った調査では、診療所の経常利益率は 8.8%である一方、 中小病院の経常利益率は 4.3%と大きな違いがある。これを全産業の平均程度(3.1~3.4%)となるよう診療報酬を見直すことで、保険料の負担を総額で2400億円減らせると試算。診療所の報酬単価を5.5%程度(診療報酬の改定率でマイナス1%ほど)引き下げることを提言した。
それに対し日本医師会は、経営状況が良くなった病院や診療所はごく一部だと説明した上で「財務省は現場を知らない。絶対にのめない」と猛反発。15日には日本医師会松本吉郎会長が岸田文雄首相と首相官邸で面会し、直談判するなどしている。
医療界の現場従事者の処遇改善は重要な課題である一方、診療報酬本体をプラス改定すると保険料負担等が増加して全産業で賃上げを進める中で現役世代の手取り所得が減少することになる。過度な利益が生じている診療所の報酬単価を適正化することにより、国民の負担を軽減しつつ、同時に現場の従事者の処遇改善が可能である。あわせて、医療界に対 しては現場従事者の処遇改善に向け、強化される賃上げ税制の積極的な活用も求めたい。