週の真ん中水曜日の江原です。本日は慢性疼痛に見られる過敏性のひとつ化学物質過敏症について書きたいと思います。
化学物質過敏症とは
化学物質過敏症(Multiple Chemical Sensitivity, MCS)は、微量の化学物質に対して過剰に敏感になる状態のことです。
厚生省(当時)の厚生科学研究「化学物質過敏症に関する研究(主任研究者:石川哲北里大学医学部長(当時))」(平成8年度)において、「最初にある程度の量の化学物質に曝露されるか、あるいは低濃度の化学物質に長期間反復曝露されて、一旦過敏状態になると、その後極めて微量の同系統の化学物質に対しても過敏症状を来たす者があり、化学物質過敏症と呼ばれている。化学物質との因果関係や発生機序については未解明な部分が多く、今後の研究の進展が期待される。」との見解が示されています。
なお、最近の厚生労働省室内空気質健康影響研究会報告書では、「化学物質過敏症」の呼称について、「MCS(多種化学物質過敏状態)に相当する病態として示す医学用語として必ずしも適当であるとは考えられない」との見解を示しています。
※環境省は、「化学物質過敏症」を本態性多種化学物質過敏状態と称しています。東京都保健医療局HPより引用
日常生活で触れる化学物質(例:香料、洗剤、塗料、シンナー、工業製品など)に曝露されると、頭痛、めまい、吐き気、呼吸困難、疲労感、皮膚のかゆみや炎症などのさまざまな症状が引き起こされます。
1950年代ごろより報告が散見され始めており、1987年にCullen1)やLevin and Byers2)らにより化学物質過敏症症候群'という定義の整備が進められています。
1989年に行われた89人の臨床医と研究者を対象とした学際的調査において、MCSの5つのコンセンサス基準が決まりました3)。