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【全文掲載】拘禁刑施行とリハ専門職の新たな役割―田中まさし議員が国会で問う

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12日、参議院決算委員会において、理学療法士で参議院議員の田中昌史氏(自由民主党)が、矯正行政におけるリハビリテーション職の関与強化を求める質問を行いました。田中議員は、拘禁刑導入を踏まえ、受刑者の社会復帰支援が「社会的リハビリテーション」であるとの認識を示し、受刑者の自立支援に向けた処遇の質向上と多職種連携の重要性を訴えました。参議院決算委員会で理学療法士でもある田中まさし議員が、拘禁刑の施行に伴うリハビリテーション専門職の役割拡大と介護サービスの経営難という二つの重要課題について質疑を行いました。拘禁刑導入による受刑者の社会復帰支援にPTOTSTが果たす役割に注目が集まっています。

拘禁刑施行と専門職によるチーム処遇体制が本格始動

本年6月1日から拘禁刑が施行されます。令和5年の刑法犯検挙人数は約18万人(前年比8.2%増)、そのうち窃盗犯は98,000人(前年比8.4%増)と増加傾向にあります。再犯者率は47%と依然高い水準で推移しており、再犯防止は喫緊の課題となっています。

田中議員は医療リハビリテーション専門職の視点から「拘禁刑による社会復帰は社会的リハビリテーションそのもの」と指摘。「社会生活に必要な技能習得、相談機関活用、社会資源の有効活用による社会参加促進、そして何より自己決定力を高めることが地域での自立した暮らしには不可欠」と述べました。

これに対し法務省小山矯正局長は、「刑事施設では心理専門官、教育専門官のほか、社会福祉士や作業療法士などの専門スタッフの配置を拡大してきた」と回答。また「受刑者の特性や問題性に応じた適切な処遇対応力を向上させるための研修も実施する」と説明しました。

高齢受刑者支援に作業療法士の役割拡大

刑務所内の高齢化も深刻化しています。刑法犯全体に占める高齢者の割合は平成6年の3.6%から令和5年には22.4%へと急増。「刑務所が特別養護老人ホーム化している」との指摘もあり、高齢者や障害者、認知症患者などへの専門的対応が求められています。

注目すべき取り組みとして、長野刑務所と長野保健医療大学が本年2月26日に締結した包括的連携協定があります。この協定では、作業療法士が高齢受刑者の身体機能や認知機能の維持・向上を支援する「機能向上作業」を実施。共同研究や人材交流も行われる予定です。

小山局長は「令和2年度から作業療法士が定期的に助言や指導を行い、刑務作業に必要な認知機能や身体機能を維持・向上させる取り組みを実施している」と説明。田中議員は「最上刑務所のデータでは、受刑者の1日歩数は同年代の一般人の半分以下。体力・認知機能の低下に総合的支援が必要」と指摘しました。

介護サービス事業所の経営危機に警鐘

後半では介護サービス事業所の経営難について質問。令和5年度介護事業経営実態調査によると、通所リハビリテーションの収支差率は1.8%(月額収支約9.2万円)、通所介護は1.5%(月額収支約8.1万円)と極めて厳しい状況です。

田中議員は「人口減少地域では利用率低下が避けられないが、すぐにサービスをゼロにはできない。この過渡期に何らかの支援が必要」と強調。「地域医療介護総合確保基金を活用した重点支援や人材確保への支援」を求めました。

現場からは「私たちにやめろということですか」という悲痛な声も上がっているといいます。また、書類業務の負担軽減や科学的介護情報システム(LIFE)の入力項目見直しについても要望しました。

これに対し福田厚生労働大臣は「処遇改善加算を一本化するなど事務簡素化を行った」と回答。「現場の声を受け止め、加算取得しやすい環境整備を進める」と述べました。

リハ専門職の研修体制強化を要望

最後に田中議員は障害者権利条約第28条第2項に基づく「ハビリテーション及びリハビリテーションのサービスに従事する専門家及び職員に対する初期研修及び継続的な研修の充実」について質問。野村障害保険福祉部長は「養成施設教員講習会(令和5年度153人修了)や国立障害者リハビリテーションセンターでの研修(延べ2,548人受講)を実施している」と説明しましたが、田中議員は「障害者と接する現場の多くは研修を受けていない。障害者の自立した暮らしを守るため、全国のリハ専門職の意識向上が必要」と研修体制の拡充を求めました。

今回の質疑では、リハビリテーション専門職の活躍の場が医療・介護領域から矯正施設へと広がりつつある現状が明らかになりました。専門職の社会的役割拡大と共に、その専門性を活かした持続可能な制度設計が今後の課題となっています。

▶︎https://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/index.php

全文掲載

*一部修正。

田中まさし議員(以下、田中):

今日は質問の機会をいただきましてありがとうございました。今日はまず法務省の方から質問させていただきたいと思います。かねて法務委員会の方に所属させていただいた公勤刑いよいよスタートということであります。

令和6年の犯罪白書によりますと、令和5年の刑法犯の検挙人数約18万、それから前年比8.2%増えているという状況になっています。そのうち窃盗犯が98,000、前年比8.4%と増加傾向にありまして、さらに再犯者率は47%ということで令和3年から若干下がってはいるんですが、非常に高い状態で推移しているとこういった状況の中で、令和4年4月に成立しました刑法の等の一部を改正する法律案で公勤刑が創設されまして、本年6月1日から施行になるということであります。

この中では、この公勤刑を処せられた者には、改善更生を図るため必要な作業を行わせ、また必要な指導を行うことができるということになっております。この受刑者が本当に真に更生をきちんとしてそして自立した生活を取り戻すということが非常に大事でありまして、この公勤刑による処遇が再犯防止にしっかりと寄与していくということは極めて大事だというふうに認識しておりますが、この法律にある改善更生がされたということは何をもって判断されるのか伺いたいと思います。

法務省矯正局長 小山氏:

委員お尋ねの改善更生とは、自己の犯罪の責任を自覚反省し、犯罪を犯すに至った要因となっている悪い点を改めるとともに、再び犯罪に及ぶことなく社会生活を送ることを意味するものと考えております。

その上で刑事施設におきましては、受刑者の資質及び環境の調査に基づきまして、受刑者ごとにこのような改善更生に加えまして、円滑な社会復帰の阻害となる事情などを総合的に考慮いたしまして、矯正処遇の目標や内容等を設定の上で様々な処遇を実施しているところでございます。

受刑者が改善更生を果たすことができたかどうかは、最終的には出所後に犯罪に及ぶことなく社会生活を送ることができているかによって判断せざるを得ないということと思っておりますが、受刑中におきましてもそれぞれの受刑者ごとに矯正処遇の目標の達成状況を定期的に評価し、改善更生に向けた受刑者の変化を確認し、これを促すこととしているところでございます。

いずれにいたしましても、刑事施設といたしましては、公勤刑施行においてより一層個々の受刑者の特性に応じたきめ細やかな処遇を実施するとともに、しっかりとその評価も行いつつ、受刑者の改善更生の意欲の喚起及び社会生活に適応する能力の育成に努めてまいりたいと考えております。

田中:

ありがとうございます。自分が犯した罪の反省を含めて社会復帰の後の自立した暮らし、それから再犯に至らないという様々な指標が設定されるんだろうと思っています。なんでこんな質問をしているかというと、全国には多くの刑務所があり、多く拘禁刑に対応する方がいらっしゃると思います。この受刑者の方とそれから処遇官の方がやっぱりきちんと目標を共有しながら進めていくということが何よりも大事だということでありますので、ぜひこういった部分を定量的定性的にしっかりと全国の刑務所等で普遍的にしっかりと評価できる仕組みというのを確立をしていただきたいなというふうに思っているところであります。

続きまして、公勤刑とその処遇が進められていくということであります。今お話があったように再犯に至ることなくこの生活を営んで自立した暮らしを取り戻すということであります。私はリハビリテーションの専門職でありますので、まさにこの公勤刑で社会に復帰するっていうのは社会的なリハビリテーションということだというふうに考えております。

この社会生活に必要な技能の習得、それから相談機関の活用、あるいは社会資源をしっかりと有効に活用することによって社会参加を促して、何よりも自己決定力、これをしっかりと高めていくということが地域での自立した暮らしでは非常に大事だというふうに思っております。そのことがこの受刑者の方々が地域に帰っても自分らしい暮らし、生活の質が高いんだということを実感して生きていくことが極めて私は大事だというふうに考えているところであります。

そのためには、この想定される社会の復帰に当たっては受刑者の心理、精神、身体の状況ですとか、日常生活あるいは就労の能力、こういったものを適切に把握して、短期、中期、長期、こういった目標をしっかりと設定して、先ほど申しました通り受刑者としっかり共有しながら適切な処遇が丁寧に行われていく必要があると思います。

この受刑者の持つ複雑な特性、様々な背景があるわけでございますので、こういった特性をしっかり把握して目標設定、処遇決定にあたっては、これは処遇官だけではなくてあらゆる専門家がしっかりと連携しながら当たっていくことが重要だと思います。この処遇あるいは評価に当たるこういった方々の人員体制あるいはこの職員の皆さん方のスキルの向上、これはこの間どのようにしっかりと確保対応されてきたのか伺いたいと思います。

小山局長:

拘禁刑の導入によりまして、刑事施設におきましては受刑者の特性を的確に把握し、処遇への動機づけを行うとともに、個々の受刑者の問題性に応じた処遇を進め、刑務官をはじめとする多職種の職員によりますチーム処遇を実施するなどいたしまして、これまで以上にきめ細やかに対応していく必要がございます。

そのため、委員ご指摘のとおり専門スタッフの確保が一層重要になるものと認識しております。順次社会福祉士や作業療法士などのほか、心理学を専門とする心理専門官、改善指導等を専門といたします教育専門官等の配置を拡大してきたところでございます。今後も引き続き必要な人材の確保の取り組みを進めてまいりたいと思っております。

また法務省といたしましては、拘禁刑の導入に伴う矯正処遇の充実強化にあたりまして、まずは刑務官の能力向上等が求められるものと考えておりまして、受刑者の特性や問題性に応じた適切な処遇対応力を向上させるためのさらなる研修も実施することとしております。

田中:

はい、ありがとうございます。私も教育の方にずっといましたもんですから、まさにスキルの向上だと思うんですよね。過去の経緯をしっかりと踏まえた上で社会生活を送っていくスキルをどうやって高めていくかという部分では、教育にいた人間としては、先ほどおっしゃったように一人一人の特性評価をしっかりとしながら必要な適切な対応を処遇していくってことは極めて大事なんですが、褒めないと人は良くなっていかないですね。

刑務所を拝見させていただきましたけれども、笑顔もなく作業を黙々としている状況の中で、やっぱり共通目標をしっかり設定して、できたことができたって評価してやることが非常に大事ですし、その中で自己効力感が生まれて、また次頑張っていこう、自立していこうというこういったことが芽生えてまいりますので、ぜひ先ほど刑務官のスキルの向上という話がありました。これは対人的な支援スキルという部分ではぜひここをしっかりと伸ばしていただければありがたいなと思うところであります。

続きまして、先ほど様々なスタッフ、チーム処遇をされていくという話がございまして、様々な専門家をしっかりと配置するということであります。この受刑者の高齢化というのは言われてずっと来ているわけでございます。刑法犯全体に占める高齢者の割合、平成6年に3.6%であったのが令和5年はもう22.4%という非常に高い状態になって、ある人に言わせると、刑務所が特別養護老人ホームをお迎えしているんじゃないかと。要は入所して帰るけど生活ができないからまたすぐ犯罪を犯して帰ってくる、これがずっと繰り返されているという状況が指摘をされているわけであります。

この高齢者あるいは障害者、こういった方々も増えている、あるいは認知症の方、高次脳機能障害の方、こういった高齢化をもとに様々な身体的あるいは精神的な背景を持つ方々がどんどん増えている状況が刑務所内にあるというのはかねてから指摘されているところであります。

本年の2月に長野刑務所と長野保健医療大学、これが協定を結ばれたというニュースを見ました。大学に所属されている作業療法士などが高齢などで刑務作業が難しい受刑者をサポートする、あるいは処遇がどの程度効果があるのかといった解析もしっかりしながら、より良い処遇をしっかりと確立していくと思っておりました。大変素晴らしいことだなというふうに思っております。

こういった高齢者の受刑者の高齢化あるいは身体精神的な背景が様々ある状況の中で、今回のニュースでも挙げられました作業療法士や言語聴覚士などの専門職、こういった専門職の支援は今後も非常に重要だというふうに思っておりますが、こういったリハビリ専門職の皆さん方の公勤刑施行に対応できる支援体制の状況と今後の取り組みはどのようにやっているか伺いたいと思います。

小山局長:

委員ご指摘のように高齢受刑者等の中には認知機能や身体機能に低下が認められ、また受刑期間中にこれらの機能が低下するなどをいたしまして、出所後の自立した社会生活に支障が生じる恐れがあるものも少なくございません。

そこで、刑事施設におきましては、令和2年度からこのような受刑者に対しまして機能向上作業といたしまして、作業療法士が定期的に助言や指導を行い、刑務作業に従事する上で必要となる認知機能や身体機能を維持・向上させる取り組みを実施しております。

例えば委員からご指摘のございました長野刑務所におきましては、令和6年度からこの機能向上作業を開始いたしておりまして、長野保健医療大学から職員を派遣いただき機能向上作業に対します助言等の支援を受けておりましたが、この度同大学から共同研究や作業療法に携わる人材の交流育成等を内容とする連携のご要望を頂戴いたしまして、今年の2月26日、長野刑務所と同大学との間で包括的な連携協定を締結するに至っているところでございます。

今後とも長野刑務所の先進的な取り組みなどを参考といたしまして、引き続き高齢受刑者等の再犯防止のため作業療法士等の専門スタッフの支援を受けながら、機能向上作業をはじめとする身体機能や生活能力等の維持向上に資する取り組みの充実を図ってまいりたいと思っております

田中:

ぜひ積極的に進めていただきたいなと思っています。最上刑務所なんかの話も聞きますと、だいたい受刑者の方々が1日に歩く歩数っていうのは一般の同年代の方々の半分以下っていうデータです。結局体力の低下がある、あるいは認知機能低下があって、総合的にしっかりと支援をしていかないとならないということだと思います。

社会に帰った時にどんな能力が求められるかっていうところがまずゴールとして設定されなきゃいけませんので、こういった部分をしっかり専門家の方活用されて適切に対応できるような形でしっかりと刑務所に入っている間から万全の体制で進めていただければありがたいなと思っております。

できるようになると、私も聞きました、できるようになると刑務官に頼らなくなってくるって言うんですね。どんどん自分ができることが増えてくるので依存傾向がどんどんどんどんなくなっていくと聞いております。ぜひそんな自立あるいは能動的な受刑者の方がどんどん増えていっていただけることを私は大いに期待していきたいと思いますし、それが最終的には再犯の防止につながっていくものだというふうに思いますので、ぜひそこはしっかり進めていただきたいなと思っております。

ここからは厚生労働に関係して質問させていただきたいと思います。かねてからいろいろ出ておりますが、もう介護サービスが極めて厳しい状況で、この間ずっと全国を回っておりましたがもう幾度となく聞かれております。令和5年度の介護事業経営実態調査これも出ておりますが、通所リハビリテーション、これ収支差率1.8%、1ヶ月の収支プラス9.2万円。通所介護の収支差率1.5%、収支月額8万1000円。1ヶ月一生懸命頑張ってこれしか利益出ないです。人件費当然上げられません。物価高騰に対応できない。もういつ潰れるかっていうことを本当に危機感を持ちながら経営されてる事業所がもういっぱいあるということであります。

人口減少がこれからどんどん進んでいく地域も出てくる状況の中で利用率が下がりますけど、いきなりゼロにすることはできません。利用者がいますから。当然集約化は必要になってきますけれども、こういった事業所のこの過渡期においてですね、私は何らかの支援をしていく必要があるのではないのかなというふうに思っております。

例えば地域医療介護総合確保基金、こういったものを活用してやっぱり地域の中で必要とされる事業者への重点的な支援ですとか、人材確保に要する費用あるいは人件費用支援など、地域で必要なサービスを提供し続けられるように現場で多くの対応が求められると思いますが、見解を伺いたいと思います。

厚生労働省 黒田老健局長:

お答え申し上げます。先生ご指摘のように在宅での療養が必要な高齢者の生活を支えるため、介護サービスが中山間地域も含めて安定的に提供されることは大変重要でございます。

令和6年度の介護報酬改定では、介護現場で働く方々の処遇改善を一つテーマにいたしまして、改定率は介護報酬全体でプラス1.59%、通所リハビリテーション及び訪問リハビリテーションについては基本報酬の引き上げが行われたところでございます。

同時に地域医療介護総合確保基金におきまして、介護人材の確保につきましては、離島や中山間地域等に地域外から就職するために必要な費用の助成、介護テクノロジーを活用した生産性向上の推進による現場の負担軽減、職場環境の改善、介護の仕事に対する理解促進や魅力発信などの支援策をご用意して、地域の実情に応じた人材確保対策が実施されているところでございます。

介護サービスが安定的に提供されますよう必要な対応を引き続き検討してまいります。

田中:

はい、いくつかのメニューは今ご紹介いただきましたけど、それを駆使してでもですね厳しい状況にあるという現場の実態であります。施設を利用されている、サービスを利用されている方々がよく聞くのは、「ここがあるから私この地域で暮らしていけるんだ」という声は本当に数多く聞くところでありまして、何としてもそういう事業者がなければ家で一人っきり寝たっきりですから、そうすると家族がこれ見なきゃいけないになれば当然労働力に影響が出るって話になるので、そのサービスを提供する収支がプラスマイナスということのみだけではなくて、全体的な波及効果ということもぜひご利用検討しっかりご考慮いただきたいなと思っております。

これは大臣にもそっと聞いていただきたいんですけども、現場の人から言われるのは「私たちにやめろってことですか」。ここまで正直言われます。いや当然そんなことはないですよとしっかり頑張りましょうという話をさせていただきますけれども、そこまで今追い詰められている。福祉医療機構の融資、これもですね検討されている事業所非常に多いんですけど、将来性があるから融資受ける、将来性見えないのに融資受けたらどういうことになるかっていうのはそれはもう知るべしだと私は思いますので、ぜひ未来に向けた安心感を事業所の皆さん方にしっかりと示していただけますようにぜひお願いをしたいなと思っております。

それからもう一つですね現場の皆さんから本当に多く聞かれるのは書類業務であります。これに謀殺されて何とかしてくださいという悲鳴が本当に多く聞かれているところであります。専門職ですから確かにその業務をしっかり実施した証拠としての書類としての意味もありますし、良質な医療介護を提供したということをしっかりと示す指標でもあります。

この書類の必要性は十分によく理解しているつもりでありますが、やはり多すぎる。加算が出るたびに書類が出てくる。これを省力化、効率化、統合化していくことは非常に重要だというふうに思っております。いくつもある書類をいかに効率的にしていくのかということが大事だと思います。ぜひどの書類を効率化させながら、これはしっかりと何の目的にきちんと書いていただくのかということは示していく必要もあろうかなというふうに思っておりまして、ぜひ書類の優先順位をご考慮いただきたいなということと、LIFEに活用されている項目についても現場の方から、これどこまで本当に必要なのかという声もあります。LIFEに活用されている項目についても研究等に必要な項目ですとか、フィードバックの活用事例、こういったものに基づいてぜひこの項目対象者もしっかり検討しながら進めていくべきだと思いますが、お伺いしたいと思います。

福岡厚生労働大臣:

事務手続の煩雑さについては本当に様々なところからご指摘をいただいているところでございまして、書類作成の負担を軽減することは大変重要な課題だというふうに認識をしております。

例えば令和6年度改定におきましては、処遇改善加算につきまして従来の3種類の加算を一本化するなど事務の簡素化の観点を踏まえた改定を行いましたほか、一本化した処遇改善加算のさらなる取得促進に向けて本年2月の申請受付から取得要件の弾力化であったり申請様式の簡素化を行っております。

また令和6年度改定の審議報告でも報酬体系の簡素化であったり関係者の負担軽減を引き続き検討していくこととしておりまして、現場の声をしっかりと受け止めながら加算を取得しやすい環境を整備していきたいというふうに。

また科学的介護情報システムLIFEは高齢者の状態やケアの内容のデータを収集し、そのデータを活用しながらケアの質の向上を目指す仕組みですが、今後この活用事例等の実態把握も含めまして、現場の負担軽減の観点、入力項目の見直しなどを検討してまいりたいと思います。

田中:

ぜひお願いをしたいと思います。できればしっかり現場の人たちの皆さん方ともやっぱりその項目を含めた整理について、あるいは統合についてはしっかり議論していただきながら進めていただきたいなというふうに思っています。

データを取るってことはより良い医療をこれからもしっかり提供していくために何が必要なのかということが一番最重要な事項だというふうに思っておりますので、それに資するような書類かつ簡素化をしっかりしていくということが大事かと思いますので、ぜひお願いをしたいなと思います。

最後に質問させていただきます。障害者の権利条約、これは障害者の権利を実現するために国がすべきことを定めたものでありまして、これについて我が国は批准をしているところであります。障害者の人権あるいは基本的自由を守るための国際的な約束でありまして、この条約に批准した国はこの約束を守ることが求められているところであります。

この障害者の権利に関する条約の第28条第2項に「締約国はハビリテーション及びリハビリテーションのサービスに従事する専門家及び職員に対する初期研修及び継続的な研修の充実を促進する」というふうに明記をされているところであります。

また2016年の我が国政府が行った報告でも、障害者基本法において国及び地方公共団体に対して専門的技術職員その他の専門的知識また技能を有する職員を育成する努力を課しているという報告もなさっていらっしゃるようであります。

この障害者権利条約にしっかりと批准をしている我が国として、先ほどございましたハビリテーション及びリハビリテーションのサービスに従事する専門家及び職員に対する初期研修継続的な研修、これについてこの義務的な事項についてこれまでの取り組み状況はどんな風になっているかお伺いたいと思います。

厚生労働省 野村障害保健福祉部長:

お答え申し上げます。ご指摘の障害者権利条約のリハビリテーションに従事する方の研修に関する事項ということで、これはの障害者基本法に基づく障害者基本計画に基づいて取り組みを進めているところでございます。

その中で理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などのリハビリテーションに関する専門的な技術知識を有する方々の人材の確保を図る所という観点では、これらの資格を有する方を養成する施設の教員の方々に対し、より高度な知識技能を習得していただいて、それを教育内にフィードバックをしていただくという意味で、養成施設等教員講習会というのを毎年開催しておりまして、令和5年度は153人が修了していただいております。

併せまして国立障害者リハビリテーションセンターにおいて、この理学療法士、作業療法士、言語聴覚士を含む障害者自立支援の専門職を対象とした各種研修を計36項目開催しておりまして、延べ2,548人受講していただいたところでございます。このようにリハビリテーションを充実する方々に係る研修の質の向上に努めてまいりたいと考えております。

田中:

先ほどのお話が答弁ありました教員講習会、私も受講しておりましてよく存じ上げておりますが、障害者と接する現場の皆さん方にはこの研修を受けられている人はほとんどいないんじゃないかなと私は思います。また養成教員がそれを養成校でしっかりと伝えるということもじゃあしっかりと普遍的にされているかというと、それもされてない状況の中で、やっぱりこれからやっぱり障害者の方を含めて、この方々が社会の中でしっかりと自立した暮らしをしっかり守っていくためにも、これはハビリテーション、リハビリテーションすべての皆さん方、あるいは言い換えれば全国の皆さん方がこの障害者の生活をしっかり守っていくという意識を持つことが非常に大事だと私は思っていますので、この研修について頑張っていただきたいなというふうに思っておりまして、以上で質問を終わります。ありがとうございました。

【全文掲載】拘禁刑施行とリハ専門職の新たな役割―田中まさし議員が国会で問う

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