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【骨太方針2025閣議決定】医療・介護・障害福祉従事者へ向けた重要ポイント解説

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13日、「経済財政運営と改革の基本方針2025」(以下、骨太方針2025)を正式に閣議決定しました。今回の基本方針は、「賃上げを起点とした成長型経済」への転換を鮮明に打ち出しており、医療・介護・障害福祉分野の従事者にとっても、今後の処遇や現場環境に大きな影響を及ぼす内容となっています。本記事では、医療・介護の現場で働くすべての職種に向けて、骨太方針2025の要点をわかりやすく解説します。

プログラム詳細

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賃上げを軸に「脱コストカット型」へ転換

骨太方針2025では、「賃上げこそが成長戦略の要」と明示され、デフレからの脱却と国民の実感を伴う経済成長を目指すとしています。その中で、医療・介護・障害福祉分野は特に重要視されており、「コストカット型からの転換を明確に図る必要がある」と強調されています。

政府は、物価上昇や2025年春闘での賃上げ実績を踏まえ、「経営の安定や現場で働く幅広い職種の方々の賃上げに確実につながるよう、的確な対応を行う」と記載しています。これにより、看護職、リハビリ職、介護職、福祉職といった多様な専門職において、今後の診療・介護報酬改定などを通じた処遇改善が期待されます。

また、過去の報酬改定等の成果と課題を検証した上で、2025年末までに今後の対応方針を取りまとめるとされており、現場の声を政策に反映する重要な機会となります。

DX推進で業務負担の軽減と生産性向上へ

限られた人材資源の中で質の高いサービスを提供するため、骨太方針2025では医療・介護・福祉分野におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の加速が打ち出されています。

  • 医療・介護DXの迅速な実装
    全国規模で質の高いサービス提供を可能にするため、政府が中心となりデジタル基盤の整備を推進します。

  • ICT・介護テクノロジーの導入
    介護ロボットやICTを活用することで、業務の省力化や質の向上を図り、職員の負担軽減を目指します。

  • マイナ保険証の普及・全国医療情報プラットフォームの整備
    マイナ保険証の本格移行(2025年12月以降)を見据え、電子カルテ情報共有サービスや電子処方箋の利用拡大、PHR(パーソナル・ヘルス・レコード)の活用が進められます。

各分野での具体的施策

看護分野

特定行為研修を修了した看護師の活用、訪問看護におけるICT導入、在宅医療の多機能化などが盛り込まれており、地域での看護職の役割拡大が期待されています。

介護分野

介護テクノロジーの社会実装に向けた導入・伴走支援、外国人介護人材の確保・定着支援、事業者連携の強化、介護保険外サービスの充実といった多角的な取り組みが明記されています。

歯科分野

国民皆歯科健診の推進、歯科衛生士・技工士の人材確保対策、歯科技工所の質担保やICT活用、地域における適切な配置の検討が記されています。新材料や新技術の保険導入も推進される方針です。

リハビリテーション分野

「自立支援・在宅復帰・社会復帰に向けたリハビリテーションの推進に取り組む」との記載は維持されました。2022年以降続いた診療報酬新設に向けた流れに比べると、今年は政策的前進が見られず、いわば「踊り場」にある状況です。

中長期の視点:2040年を見据えた「全世代型社会保障」構築

現役世代の人口が急減し、高齢者数がピークを迎える2040年頃を見据え、骨太方針2025では「全世代型社会保障」への転換が不可欠であるとしています。年齢にかかわらず能力に応じて支え合う仕組みの構築が求められており、医療・介護・福祉の持続可能なサービス提供体制の実現が急務とされています。

まとめ

骨太方針2025は、医療・介護・福祉現場で働くすべての職種にとって、処遇改善と働きやすい環境づくりに向けた転換点となる可能性を秘めています。特に「賃上げ」「DX」「持続可能な制度改革」という三本柱が、今後の報酬改定や政策議論において中核となる見通しです。

2026年の診療報酬・介護報酬同時改定を前に、各職能団体や現場の声がより一層政策形成に反映されることが期待されます。医療・介護・障害福祉の現場がより希望を持てる環境となるよう、今後の動向に注視していく必要があります。

▶︎https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/honebuto/2025/2025_basicpolicies_ja.pdf

【合わせて読む】

2024年骨太方針

2023年骨太方針

2022年骨太方針

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