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リハ3団体が緊急記者会見──「疾患別リハ料10%以上引き上げ」「10年で給与倍増」を要望、急性期病棟の多職種配置には慎重姿勢

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理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の職能3団体が12月24日、厚生労働省記者クラブで緊急記者会見を開き、処遇改善に向けた具体策として「疾患別リハビリテーション料の10%以上引き上げ」と「今後10年間での給与倍増」を要望しました。中医協で議論が進む急性期一般病棟への多職種配置については、早期介入への賛意を示しつつも「療養上の世話との混同は不適切」と法令に基づく役割整理を求める声明を発表しています。

「約20年、点数は据え置き」──疾患別リハ料の抜本的引き上げを訴え

リハビリテーション専門職団体協議会(日本理学療法士協会・日本作業療法士協会・日本言語聴覚士協会)は、処遇改善に向けた4つの柱を示しました。

第一に、幅広い職種の賃上げに確実につながる的確な対応。第二に、疾患別リハビリテーション料を総合的に10%以上引き上げること。第三に、令和9年度においても賃金・物価上昇等を踏まえ診療報酬を機動的に調整できる仕組みの構築。第四に、今後10年間で3療法士の給与を倍増することです。

日本理学療法士協会の斉藤秀之会長は、平成18年度に疾患別リハビリテーション料が導入されて以降、技術料は引き下げられたまま「約20年間ほとんど点数が変わっていない」と指摘。現行の人件費率(33.5%)を維持したまま全産業平均年収に届く賃上げを実現するには、疾患別リハ料を10%程度引き上げるしかないと訴えました。

ベースアップ実施はわずか1〜3割──3団体合同調査が示す厳しい実態

3団体が実施した「令和7年度報酬改定に係る賃上げに関する合同実態調査」の結果は、処遇改善の遅れを如実に示しています。

ベースアップを実施した施設は、医療で31%、介護で11%、障害福祉で16%にとどまりました。令和5年6月から2年間で「ベースアップがされていない」と回答した施設は、医療で約3割、介護・障害福祉では約4割に上ります。昇給があった場合でも、その金額は全領域で5,000円未満が最多でした。

現場からは「福祉・介護職員等処遇改善加算の対象としてPT・OT・STの明記がないため、現金給与のアップが望めない」「物価上昇を上回る賃上げの実感がない」といった声が寄せられています。

医療・福祉分野の賃金伸び率は主要産業中で最低の1.7%(2019年比)。平均給与も406万円と低水準にとどまり、全産業平均(431.5万円)との差は約58万円に達します。

急性期病棟の多職種配置──「専門性の発揮」求め4項目の声明

12月12日の中央社会保険医療協議会総会(第635回)では、急性期一般病棟入院料について「看護職員配置(10対1)+多職種配置」で「計7対1相当」とする柔軟な仕組みが検討されました。

これを受け、3団体は以下の4点を声明として発表しています。

高齢の救急患者の多い病棟において、多職種が各専門性を発揮し早期に介入することには賛成。一方で、各専門職の専門性が十分に発揮できるよう、役割分担など詳細な整理が必要であること。各専門職の役割分担を整理する際には、医事法等の法令との照合も踏まえ慎重に議論すべきこと。看護職の担い手不足を補うためのものではなく、その病棟機能に必要な看護職を配置したうえで、多職種が各専門性を発揮し早期に介入すべきこと──。

中医協資料に記載された「食事介助」「口腔ケア」等の項目について、3団体は「リハビリテーション専門職の本来の役割を『療養上の世話』と混同させる、極めて不適切な表現である」と強く批判。リハ専門職は「診療の補助」を担う専門職であり、「療養上の世話」は法的に認められていないと主張しました。

現行の看護体制を前提とした「看護職+多職種」という「合算型」の配置案には「強い違和感がある」とし、「看護基準」とは独立した「リハビリテーション基準(仮称)」や「多職種基準(仮称)」の検討を提言しています。

まとめ・今後の展望

今回の記者会見で3団体は、トリプル改定から2年が経過してもベースアップ施策が達成されていない現状を示し、疾患別リハビリテーション料の10%以上引き上げと、10年間での給与倍増という具体的な数値目標を掲げました。

急性期一般病棟の多職種配置については、早期介入の意義を認めつつも、法令に基づく役割分担の整理を求める慎重な姿勢を示しています。

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▶︎緊急記者会見(リハ3団体)

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