2026年3月24日の参議院厚生労働委員会で、医療関係職種の養成体制の維持が集中的に取り上げられました。18歳人口の急減を背景に、理学療法士を含む医療職の養成校が地方から消えつつある現状に対し、厚生労働省は都道府県の枠を超えた広域連携を含む検討の場を立ち上げる方針を示しています。なお、同委員会の委員長を務めるのは理学療法士でもある小川克巳氏。PT出身の委員長のもとで養成問題が議論された格好です。
養成校の募集停止が突きつける現実——「作る人がいなくなる」
質疑の口火を切ったのは、自由民主党の自見花子議員です。自見氏は、北海道で義肢装具士の養成校がすでに募集停止に至った事例を挙げ、「整形外科や小児科の先生が処方したものを作る人、フィッティングする人たちがそもそもいなくなってしまう」と訴えました。
この問題は義肢装具士にとどまりません。自見氏は「理学療法士をはじめ、他の職種も本当に同じ」と明言し、医療・介護・福祉の提供体制を地域で維持するには「圏域、都道府県を超えた広域連携」の概念が不可欠だと主張しました。
これに対し、森光医政局長は「多くの医療関係職種の養成校の定員充足率は低下傾向にある」と認めた上で、2025年12月の社会保障審議会医療部会で取りまとめた方向性を踏まえ、「具体的に議論するための検討の場を立ち上げるべく、現在必要な調整を行っている」と答弁。都道府県を超えた支援・連携のあり方も含め検討を進める考えを示しました。
「20人に1人が看護師」でも足りない——18歳人口と進学割合の構造問題
続いて質疑に立った自由民主党の石田昌宏議員は、18歳人口に占める各医療職への進学割合を比較するデータを提示しました。
石田氏によれば、医師や理学療法士の割合がほぼ横ばいで推移する一方、看護職は1990年代後半の約3%から現在は5%超まで上昇。「20人に1人以上が看護師になる状況で、やっと今の需給を維持できている」と指摘しました。その上で、「さすがにある意味でちょっと多すぎるぐらいであって」「5%をさらに上げていくというよりも、割合が下がっていくことを前提にして考えた方がよりリアル」と述べ、受験者数の減少を織り込んだシミュレーションの必要性を求めました。
森光医政局長は「少子化の中、養成所における受験者数の減少なども踏まえた推計が不可欠」と応じ、地域ごとの需給状況や働き方改革の影響に加え、「質の問題も含めて検討していきたい」と述べました。
脳卒中・心臓病対策の現場でも——PTの役割拡大と多職種連携
自見氏はあわせて、脳卒中・心臓病等対策基本法に基づく取り組みの進捗にも言及しました。同法のもと設置が進む「脳卒中・心臓病総合支援センター」では、理学療法士、栄養士、薬剤師ら多職種が連携し、慢性期の心不全患者に対する急性増悪の予防体制を地域ぐるみで構築する活動が展開されています。
自見氏は「心筋梗塞などのイベント後に4回ほど急性増悪を繰り返す。その4回を予防できる」と述べ、こうした事実自体が十分に知られていない課題も指摘しました。
まとめ・今後の展望
今回の委員会では、18歳人口の減少を起点とした医療職の養成危機が、理学療法士を含む幅広い職種に共通する構造問題であることが改めて確認されました。厚労省は社会保障審議会医療部会の方向性に基づき、広域連携を含む具体的な検討の場を立ち上げる準備を進めています。検討会の設置時期や構成メンバーについては、今後の動向に注視が必要です。






