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令和8年度改定「疑義解釈その2」発出──離床を伴わないリハの判断基準、実績指数・早期リハ加算の経過措置など実務Q&Aが充実

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厚生労働省は3月31日、令和8年度診療報酬改定に関する疑義解釈資料(その2)を発出しました。6月1日の施行を前に、医科だけで多数のQ&Aが追加され、リハビリテーション専門職の実務に関わる内容も多く含まれています。離床を伴わないリハビリテーションの「特定の患者」に該当する・しない場面の具体例、回復期リハビリテーション病棟の実績指数に関する加点計算や経過措置、早期リハビリテーション加算の起算日の取り扱いなど、届出や算定の実務に直結する論点が並びます。その1が制度変更の骨格を示したのに対し、今回のその2は現場における具体的な運用を補足する内容となっています。本稿では、PT・OT・STおよびリハビリ部門管理者が押さえるべきポイントを項目別に整理します。

離床を伴わないリハビリテーション──「特定の患者」該当・非該当の具体例が6パターン示される(問66〜68)

今改定で新設された「離床を伴わないリハビリテーション」の取り扱いについて、計3問が示されました。

まず、ベッド上から移動せずにポジショニング又は拘縮の予防等を主たる目的とした他動的な訓練のみを行う入院中の患者は「特定の患者」とされますが、1単位の中で他の訓練が適切に行われていれば「特定の患者」には該当しません(問66)。

問68では、具体的な6つの事例について判断が示されました。

「特定の患者」に該当しないケース(①〜⑤):

  1. ①最初の1単位はベッド上で他動的訓練を行い、2単位目の途中から車椅子移乗した場合──「ベッド上のみ」ではなく、「他動的訓練のみ」でもないため非該当。
  2. ②肺炎発症によりベッド上で自ら膝の曲げ伸ばしや排痰訓練を行った場合──「ベッド上のみ」だが、他動的訓練以外を行っているため非該当。
  3. ③ベッド上でギャッジアップし、高次脳機能障害や構音障害に係る言語療法を行った場合──同様に非該当。
  4. ④起立性低血圧の患者に対し離床を目指して座位保持訓練を試みたが端坐位に至らず終了した場合──非該当。
  5. ⑤車椅子に移乗して訓練室に移動し、訓練室のベッド上で他動的な関節可動域訓練のみを行った場合──車椅子に移乗しており「ベッド上のみ」ではないため非該当。

「特定の患者」に該当するケース(⑥):

  1. ⑥ベッド上で拘縮予防や褥瘡予防を目的とした他動的な関節可動域訓練やポジショニングのみを行った場合──「ベッド上のみ」かつ「他動的訓練のみ」のため該当し、100分の90の点数による2単位までの算定対象となります。

「ベッド上のみ」かつ「他動的訓練のみ」のいずれにも該当するかどうかという観点で判断される整理が示されました。言語療法や座位保持訓練など、たとえベッド上であっても他動的訓練以外の内容があれば減算の対象外です。

なお、この判定は1単位ごとに行われます。①の事例が示すように、同じ患者でも1単位目はベッド上で他動的訓練、2単位目以降は車椅子移乗して別の訓練、というケースでは「特定の患者」に該当しません。90%算定や2単位上限は患者単位ではなく、「特定の患者」に該当する単位のみに適用される点に注意が必要です。1日のリハの中で一部の単位だけが該当するケースは実務上多く想定されるため、単位ごとの記録が重要になります。

疾患別リハ──脳血管疾患等の「60日以内」で回復期リハ病棟の運動器リハも9単位算定が可能に(問67)

脳血管疾患等の患者のうち「発症日、手術日又は急性増悪の日から60日以内のもの」について、対象患者は平成18年の疑義解釈(その3)問96と同様の取り扱いです。回復期リハビリテーション病棟において運動器リハビリテーション料を算定する患者が該当する場合、1日9単位を算定できます(問67)。手術は対象疾患に関連する手術であることが要件です。

これに伴い、「疑義解釈資料の送付について(その1)」(令和6年3月28日事務連絡)別添1の問112は廃止されました。

早期リハビリテーション加算──5月入院患者の経過措置を3パターンで整理(問69)

今改定では、早期リハビリテーション加算の起算日が従来の「発症日等(発症日、手術日又は急性増悪の日)」から「入院した日」に変更されました。算定期間も従来の「30日」から「14日」に短縮され、点数体系も1〜3日目(60点)と4〜14日目(25点)の2段階に再編されています。この制度変更に伴い、5月31日以前に入院した患者の取り扱いが3パターンで示されました。

  1. パターン①:5月中に算定開始、6月1日時点で起算日から14日以内の場合。改定前の起算日をそのまま維持し、6月1日以降も起算日から14日目まで算定可能です。6月1日以降は改定後の点数(4日目以降14日以内:1単位25点)が適用されます。
  2. パターン②:5月中に算定開始、6月1日時点で起算日から15日目以降の場合。改定前の起算日に基づき、既に14日間を超えているため、6月1日以降は早期リハビリテーション加算を算定できません。
  3. パターン③:6月1日時点で算定未開始、改定前後で起算日が異なる場合。改定後の基準により入院日を起算日とします。疾患別リハビリテーションを開始した日から起算日の14日目まで、改定後の点数(1〜3日目:1単位60点、4日目以降14日以内:1単位25点)で算定可能です。

いずれのパターンでも、5月31日以前に既に算定を開始していた場合は起算日を変更しない点が共通のルールです。

回復期リハ病棟──実績指数の加点計算・除外患者・重症患者の範囲(問46〜48)

回復期リハビリテーション病棟のリハビリテーション実績指数に関し、3問が示されました。

FIM運動項目の「歩行・車椅子」「トイレ動作」の加点計算について、各項目ごとに判定し、どちらか1項目のみが入棟時5点以下から退棟時6点以上に上昇した場合でも1点を加えます(問46)。両方が該当すれば、それぞれ1点ずつ、計2点を加える計算です。

重症患者の対象となる「高次脳機能障害と診断された患者」には、重症脳血管障害だけでなく、高次脳機能障害を伴った頭部外傷、脳腫瘍、脳炎、急性脳症も含まれます(問47)。

経過措置として、5月31日以前に入棟した患者は改定前の除外基準を適用してよいとされました。FIM運動項目20点以下で1日平均6単位超の場合に除外不可となる新ルールについても、5月31日以前の入棟患者は6月1日以降に退棟・退室しても適用しなくてよいとされています。一方、FIM「歩行・車椅子」「トイレ動作」の加点計算は、7月以降に実績指数を算出する場合、算出対象期間の全患者に適用して差し支えありません(問48)。

回復期リハ強化体制加算──届出時期・退院前訪問指導の算出方法が明確に(問49〜52)

新設の回復期リハビリテーション強化体制加算に関し、4問が示されました。

届出の時期について、実績指数の算出月以外であっても、届出前月までの6か月間で実績指数を算出した上で届け出ることができます(問49)。この場合、対象期間の全患者について改定後の基準で計算を行います。退院前訪問指導の実績は、算定回数ではなく実施した実績で届け出ます。

退院前訪問指導の実施割合の算出では、1人の患者に入院後早期と退院前の2回訪問した場合でも、分子の患者数は1人として計算します(問50)。

「自宅への退院」の「自宅」には、サービス付き高齢者向け住宅を含みます。一方、障害者総合支援法に規定する障害福祉サービスを行う施設等は含まれず、これらに退院する患者は分子・分母のいずれにも含めません(問51)。

同一医療機関内の他病棟で退院前訪問指導を実施した後に回復期リハ病棟へ転棟し自宅退院した患者は、退院前訪問指導を実施した患者として分子に含めて計算できます(問52)。

回復期リハ病棟──高次脳機能障害の退院後支援、文書提供先はリハ利用先に限定(問44・45)

回復期リハビリテーション病棟入院料の施設基準で求められる高次脳機能障害患者の退院後支援に関し、2問が出されました。

施設基準に規定する「介護保険によるリハビリテーション」とは、訪問リハ、通所リハ、介護予防訪問リハ、介護予防通所リハ又は介護保険施設で行われるリハのうち、高次脳機能障害者に適したものを指します(問44)。

リハビリテーション総合実施計画書等の文書提供先は、医療保険・介護保険・障害福祉サービスによるリハビリテーションを利用する場合のみが対象です。単に受診する予定の保険医療機関やケアプラン作成を受ける居宅介護支援事業所は提供先に含まれません(問45)。

リハ・栄養・口腔連携体制加算/連携加算──転棟時の制限と病棟別届出(問39〜42)

リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算(連携加算)に関し、4問が示されました。

専従の理学療法士等及び専任の管理栄養士が病棟で従事する時間を、看護・多職種協働加算の勤務実績(様式9)に算入することはできません(問39)。連携体制加算の専従・専任者と看護・多職種協働加算の配置要件を同一人物の勤務時間で充足することはできないため、両加算を併算定する病棟では人員配置の見直しが必要になる場合があります。

連携加算は病棟ごとに異なる区分の届出が可能です(問40)。

同一医療機関内で連携体制加算又は連携加算を既に算定している病棟から、連携加算を算定する地域包括ケア病棟へ転棟した場合、転棟後は加算の算定開始日から14日以内であっても連携加算を算定できません(問41)。ただし、ADL・栄養状態・口腔状態の評価や計画は転棟前のものを引き継いで差し支えなく、リスクに応じた定期的な再評価は必要です。

1つの病棟で連携体制加算を算定する病室と地域包括ケア入院医療管理料の連携加算を算定する病室が混在する場合、専任の管理栄養士は当該1病棟に1名の配置で差し支えありません(問42)。

看護・多職種協働加算──リハ職等の配置がなくても算定可能(問36)

看護・多職種協働加算の25対1配置では、看護職員、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、管理栄養士又は臨床検査技師のいずれかを配置することとされています。この点について、看護職員のみの配置で他職種を配置しなくても算定できることが確認されました(問36)。

急性期病棟でのリハ職の配置が加算の要件として必須ではないという整理です。一方、リハ・栄養・口腔連携体制加算の専従PT等の従事時間は看護・多職種協働加算の勤務実績(様式9)に算入できない(問39)こととも関連しており、両加算の人員配置を検討する際には併せて確認が必要です。

リハ実施計画書・総合計画評価料──情報通信機器の活用と算定タイミング(問70〜72)

リハビリテーション実施計画書と総合計画評価料に関し、3問が示されました。

医師の指示を受けた理学療法士等が計画書の説明を行う場合にも、情報通信機器等を用いてよいとされました(問70)。

リハビリテーション総合計画評価料は、総合実施計画書の作成と多職種による評価を行った月が異なる場合、評価を行った月に算定します(問71)。

回復期リハ病棟以外では、計画書の説明を「医師の指示を受けた看護師、理学療法士、作業療法士若しくは言語聴覚士」が行えるようになりましたが、医師の指示は文書又は口頭で行い、診療録への記載は必ずしも要しません(問72)。これに伴い、「疑義解釈資料の送付について(その1)」(令和4年3月31日事務連絡)別添1の問201及び「疑義解釈資料の送付について(その1)」(令和2年3月31日事務連絡)別添1の問121は廃止されました。

【その他の注目Q&A】リハ部門管理者が押さえておきたい5問

嚥下調整食の特別食加算──責任者・調理師等の研修要件が具体化(問142・143) その1(問46〜48)で嚥下調整食の特別食加算の対象患者や品質管理について示されましたが、今回のその2では責任者に求められる研修の具体的要件が明確になりました。責任者となる管理栄養士には、摂食嚥下リハビリテーション栄養専門管理栄養士に係る研修、又は10時間以上の研修(うち実食や調理方法を含む実習5時間以上)の修了が求められます。研修には摂食嚥下リハビリテーション栄養専門管理栄養士が監修・講師として関与していることが要件です(問142)。調理師等についても5時間以上の研修(うち実習2時間以上)の修了が望ましいとされました(問143)。STが関わる嚥下評価・訓練と連動する領域であり、多職種連携の体制づくりに関わる内容です。

入退院支援加算──退院困難要因に「家族との連絡困難」を追加(問24) 退院困難な要因として「患者の意思決定支援や退院後の生活に向けた調整を行うに当たって、家族や親族との連絡が困難であること」が追加されました。家族・親族の特定に努力したにもかかわらず特定できない場合や、本人・家族が相談を拒んでいる場合が該当します。退院支援カンファレンスにリハ職が参加する場面でも、この取り扱いを把握しておく必要があります(問24)。

ベースアップ評価料──派遣職員の取り扱いを詳細化(別添2・問2) その1で示された派遣職員の対象化がさらに詳細化されました。派遣元と相談・協力のうえ当該医療機関の職員と同程度以上の賃金改善を行うことが条件です。区分計算では派遣職員も対象職員に含め、月額賃金の算出では派遣元から賃金情報の提供を受ける必要があります。派遣元に支払う費用をそのまま月額賃金として記載することはできません。業務委託職員(請負)は引き続き対象外です(別添2・問2)。

DPC対象病院──回復期リハ病棟の算定対象外患者は包括評価の対象外 DPC制度に関する疑義解釈では、DPC対象病院において回復期リハビリテーション病棟入院料を算定する一般病棟に入院している患者のうち、当該入院料の算定対象外となる患者については、入院している病棟で判断するため包括評価の対象とはならないことが示されました。回復期リハ病棟を有するDPC対象病院の請求実務に関わる確認です。

まとめ・今後のスケジュール

疑義解釈その2では、その1に続き6月1日施行に向けたリハビリテーション関連の実務的な取り扱いが多数明確化されました。特に離床を伴わないリハビリテーションの「特定の患者」の判断基準、早期リハビリテーション加算の起算日に関する経過措置、回復期リハビリテーション病棟の実績指数の加点計算と除外患者の取り扱い、強化体制加算の届出要件は、届出・算定の現場に直接影響する項目です。

改定施行は令和8年6月1日。その1で示された高次脳機能障害患者への情報提供体制の経過措置(令和8年12月31日まで)と併せて準備を進める必要があります。今後、疑義解釈その3以降で追加のQ&Aが出される可能性があり、引き続き注視が必要です。

【合わせて読む】

令和8年度改定「疑義解釈その1」発出

▶︎ 疑義解釈資料の送付について(その2)(厚生労働省)

令和8年度改定「疑義解釈その2」発出──離床を伴わないリハの判断基準、実績指数・早期リハ加算の経過措置など実務Q&Aが充実

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