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令和8年度改定「疑義解釈その1」発出──リハビリ関連で多数のQ&A、総合計画評価料・休日加算・廃用症候群の運用が明確に

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厚生労働省は3月23日、令和8年度診療報酬改定に関する疑義解釈資料(その1)を発出しました。6月1日の施行を前に、医科だけで48問のQ&Aが示され、リハビリテーション専門職の実務に関わる内容も多く含まれています。リハビリテーション総合計画評価料の「初回」「2回目以降」の整理、休日リハビリテーション加算の起算日、廃用症候群リハの入院初日算定の可否など、届出や算定の実務に直結する論点が並びます。本稿では、PT・OT・STおよびリハビリ部門管理者が押さえるべきポイントを項目別に整理します。

リハ総合計画評価料──「初回」と「2回目以降」の線引きが明確に(問41〜44)

今改定の目玉の一つであるリハビリテーション総合計画評価料1・2への「2回目以降の場合」の新設について、計4問が示されました。

まず、転医(転院・退院を含む)した患者への適用です。他院でリハビリテーション総合計画評価料を算定済みであっても、自院で同一疾患のリハビリテーション実施計画書を初めて作成・算定する場合は「初回の場合」として算定します(問41)。あくまで「当該保険医療機関において初めて算定するかどうか」が判断基準であり、前医での算定歴は問わない、という整理です。

次に、疾患の再発・急性増悪によりリハビリ起算日が再設定された場合。たとえば脳梗塞を再発し、脳血管疾患等リハビリテーションの起算日が改めて設定されたケースでは、リハビリテーション総合実施計画書を新たに作成・評価等を行えば「初回の場合」を算定できます(問42)。

一方、改定前の経過措置として、令和8年5月31日以前にリハビリテーション総合計画評価料1または2を算定していた患者が、6月1日以降に再度同じ区分の算定要件を満たした場合は「2回目以降の場合」として算定する旨が明示されました(問44)。5月以前の算定実績がそのまま「初回消化済み」として扱われる点に注意が必要です。

加えて、計画書の写しに説明日・説明者の記載がない場合は診療録に記載することとされましたが、説明内容そのものの診療録記載は不要です。ただし、患者から計画に対する意見等があった場合は記載が求められます(問43)。

休日リハビリテーション加算と週108単位──起算日の運用を確認(問38・39)

新設された休日リハビリテーション加算に関し、2問が示されました。

週当たり108単位の上限における「1週間」の定義は、初・再診料通則と同様、日曜日から土曜日までです(問38)。院内での単位管理の方法について、週の定義と整合しているか確認しておきたいところです。

令和8年5月31日以前に入院し、6月1日以降も入院が続く患者については、起算日に相当する日付が5月31日以前であっても、その日付を起算日とみなし、6月1日以降に算定要件を満たす日から算定可能です(問39)。改定前の入院患者にも遡及的に起算日を設定できる、実務上重要な取り扱いです。

廃用症候群リハ──入院初日から算定可能と明言(問40)

「急性疾患等に伴う安静」は入院後に安静期間がなければ該当しないのか、という問いに対し、厚労省は明確に否定しました。入院前に発症した疾患により、入院までに生じた安静期間によって入院時点でFIM等の要件を満たす廃用を認めた場合、入院初日であっても廃用症候群リハビリテーション料を算定できると回答しています。

ただし、早期リハビリテーション加算の算定可能期間は入院日から14日間であり、廃用症候群リハビリテーション料の算定開始日によらない点に留意が必要です(問40)。

回復期リハ病棟──FIM研修・重症患者割合・高次脳情報提供に経過措置(問27〜30)

回復期リハビリテーション病棟入院料に関しては4問が出されました。

FIM測定に係る研修について、今改定で入院料2・4にも要件が追加されましたが、対象にはFIM測定を担当する看護職員も含まれることが確認されました(問27)。令和6年改定時の疑義解釈(入院料1・3に関する問110)と同様の取り扱いです。

重症患者割合の基準変更に伴う経過措置として、5月31日までに入棟・入室した患者には改定前の重症患者の範囲・基準を適用してよく、算出対象期間が5月と6月をまたぐ場合は改定後の基準を用いてよいとされました(問28)。

高次脳機能障害の患者に適したサービス情報の提供体制については、地域の全事業所の情報を網羅する必要はないものの、高次脳機能障害患者に適した事業所の情報を把握し、全ての対象患者の退院時に実際に情報を提供できる状態にあることが要件の中核です。留意事項通知でも、実際に情報を提供していることが算定要件として明記されています。地域の情報把握・整理に一定の時間を要することから、令和8年12月31日までは、情報の把握・整理を「現に実施している」状態でも可とする経過措置が設けられましたが、その場合でも可能な限り早期に体制を整え、提供を行うよう準備することが求められています(問29)。

回復期リハビリテーション強化体制加算の届出は、保険医療機関内の回復期リハビリテーション病棟入院料1を届け出る病棟全体で行います(問30)。

リハ・栄養・口腔連携加算──ADL低下患者の除外範囲を拡大(問20)

リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算等の施設基準における、ADL低下患者割合の計算で除外できる「死亡退院及び終末期のがん患者等」の範囲が具体化されました。

がん患者に加え、末期呼吸器疾患、末期心不全、末期腎不全の患者であって、緩和ケア診療加算の対象患者要件を満たす者が該当します。ただし末期呼吸器疾患については、「過去半年以内に10%以上の体重減少」の要件を満たさなくても差し支えないとされています(問20)。

なお、リハ・栄養連携の文脈では、入院栄養管理体制加算における入院前評価の明確化も注目に値します。特定機能病院入院基本料の入院栄養管理体制加算で病棟に専従配置されている管理栄養士は、退院後の外来栄養食事指導に加え、入棟予定の患者について入退院支援部門と連携し、入院前の栄養状態の評価等を行うことも差し支えないとされました(問14)。栄養介入は入院後からではなく入院前から始められる――入院前からの栄養評価・介入を後押しする整理といえます。

摂食嚥下機能回復体制加算──ST「専従→専任」で兼務が可能に(問45)

摂食嚥下支援チームの言語聴覚士が「専従」から「専任」に変更されたことに伴い、疾患別リハビリテーションの専従・専任の言語聴覚士との兼務が可能となりました。条件は「摂食嚥下支援チームの業務に支障がない範囲」です(問45)。

人員確保に苦慮するSTにとって、配置の柔軟性が高まる改定です。なお、この変更に伴い、令和4年7月13日付の疑義解釈(その18)の問1は廃止されました。

嚥下調整食の特別食加算──VF・VE必須ではないが品質管理は必要(問46〜48)

入院時食事療養等に係る特別食加算に嚥下調整食が追加されたことに関し、3問が出されました。

対象となる「摂食機能又は嚥下機能が低下した患者」について、内視鏡下嚥下機能検査(VE)や嚥下造影(VF)は必須ではありません。医師、看護師、言語聴覚士、管理栄養士等の多職種評価により、医師が嚥下調整食の必要性を判断し食事箋を発行すれば対象となります(問46)。

テクスチャーの計器測定も不要ですが、嚥下調整食に係る責任者による品質管理は求められます(問47)。

一方、嚥下訓練のためのゼリー等の提供や経管栄養との併用であっても、1食の献立として常食と同等の栄養量が確保できていなければ算定不可です(問48)。

褥瘡ハイリスク患者ケア加算──入院日数にかかわらず算定可能(問21)

褥瘡ハイリスク患者ケア加算について、重点的な褥瘡ケアが必要な患者に対し、適切な予防治療計画に基づく総合的な褥瘡対策を継続して実施している場合、入院からの日数にかかわらず算定可能であることが明示されました(問21)。

回復期や地域包括ケア病棟など長期入院患者を抱える病棟では、PT・OT・STが離床プログラム、ポジショニング、シーティングを通じて褥瘡予防に関与する場面が少なくありません。入院日数による制限があるのかという点について、日数にかかわらず算定可能であることが明確化されました。

地域包括ケア病棟の専従PT等──回復期リハ病棟患者への算定に制限(問31)

地域包括ケア入院医療管理料に専従の理学療法士等が、同一病棟が回復期リハビリテーション病棟であった場合に兼務できることが示されていますが、当該専従者が回復期リハビリテーション病棟入院料を算定する患者に疾患別リハビリテーションを提供しても、各疾患別リハビリテーション料は算定できません(問31)。地域包括ケア入院医療管理料を算定する患者に提供した場合も同様です。病棟運営上の人員配置を検討する際、この制限を念頭に置く必要があります。

【その他の注目Q&A】リハ部門管理者が押さえておきたい5問

今回の疑義解釈には、リハビリテーション以外の項目にも、リハ部門の運営に関わる内容が含まれています。

介護支援等連携指導料――「算定不可」でも施設基準の実績には算入可(問24) 介護支援等連携指導料は、退院時共同指導料2の多機関共同指導加算と同日に算定することはできません。しかし、同日に介護支援等連携指導料に該当する指導を行った場合、入退院支援加算1の施設基準で求められる介護支援等連携指導料の「算定回数」には含めてよいとされました(問24)。「算定できない=実績に数えられない」ではない点は、退院支援の実績管理において重要な整理です。

在宅患者支援病床初期加算――5月末時点の区分が6月以降の請求を左右(問32) 地域包括ケア病棟入院料の在宅患者支援病床初期加算について、改定前後で区分の整理が変わる救急搬送されていない緊急入院患者の取り扱いが示されました。令和8年5月31日までに入院し、改定前の①で算定していた患者は改定後も①を、改定前の②で算定していた患者は改定後も②を継続して算定します(問32)。地域包括ケア病棟の請求実務に直結する経過措置です。

入退院支援加算――家族と連絡が取れない患者への対応(問23) 入退院支援加算の算定において、家族・親族との連絡が困難かつ患者本人の意思確認もできない場合の取り扱いが示されました。連絡困難な理由や連絡を試みた経緯を診療録等に記載すれば、「患者及び家族との話合い」や「文書での説明」の要件を満たすとされています。この場合、必要に応じて患者の退院に向けた支援をする者等に説明を行う対応も求められます。退院支援カンファレンスにリハ職が参加する場面でも、この整理を把握しておく意味があります。

看護・多職種協働加算――届出は病棟単位ではなく医療機関全体で(問13) 急性期病院B一般入院料または急性期一般入院料4を算定する病棟に関わる看護・多職種協働加算は、病棟ごとではなく、対象となる一般病棟全体で届け出る形です。急性期病棟でのリハ職の配置・活動と関連する加算であり、施設基準の届出時に確認が必要です。

ベースアップ評価料――派遣職員も賃金改善の対象に(別添2・問2) ベースアップ評価料の対象職員に、一定の要件を満たせば派遣職員も含められることが明確化されました。派遣元と相談・協力のうえ、当該医療機関の職員と同程度以上の賃金改善を行うことが条件です。リハ職の派遣スタッフを雇用する施設にとって、見逃せない内容です。なお、業務委託職員(請負)は対象外です。

まとめ・今後のスケジュール

令和8年度診療報酬改定の疑義解釈(その1)により、6月1日施行に向けたリハビリテーション関連の実務的な取り扱いが多数明確化されました。特にリハビリテーション総合計画評価料の「初回/2回目以降」の判断基準、廃用症候群リハの入院初日算定、摂食嚥下支援チームのST兼務、休日リハ加算の起算日は、届出・算定の現場に直接影響する項目です。

改定施行は令和8年6月1日。高次脳機能障害患者への情報提供体制については令和8年12月31日までの経過措置が設けられています。今後、疑義解釈その2以降で追加のQ&Aが出される可能性があり、引き続き注視が必要です。

▶︎疑義解釈資料の送付について(その1)

令和8年度改定「疑義解釈その1」発出──リハビリ関連で多数のQ&A、総合計画評価料・休日加算・廃用症候群の運用が明確に

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