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【連載:認知症ケア 第5回】スプーン操作のポイント−オーラルジスキネジアのある方

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オーラルジスキネジアの食事介助

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佐藤良枝先生:認知症のある方でオーラルジスキネジのある方は、案外多いものです。


オーラルジスキネジアは口腔領域(舌,口唇,下顎)に認められる不随意運動である。口をもぐもぐさせる動き,舌の突出や舌なめずり,顔面のチック様運動を特徴とする。

たとえ、オーラルジスキネジアがあってもご自身で食べている時には「食べにくさ」は案外表面化しにくいものです。


ご自身のタイミングで食べたり話したりできる方だと、職員がオーラルジスキネジアがあることに気がつかないこともよくあります。


けれど、何らかの理由によって全介助が必要になったとたんに「あれ?」と食べさせにくさ、食べにくさに直面することになります。


せっかく口腔内に入った食塊が口の中から出てしまったり、ムセやすくなったりします。


オーラルジスキネジアがあることによって、どんな風に食べ方の困難が現れるかというのは、おひとりおひとりによって全く異なってきます。


「機能」は変わらなくても「はたらき」は変わる


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そこで大切なことは、食事介助の視点と考え方の変換をすることです。


オーラルジスキネジアがない状態を基準点として設定して、そこから現状を差し引きマイナスで捉えて、どのように状態を改善するかという考え方をすることではありません。


そうではなくて、現状でも能力を発揮して何とか工夫して食べようとしている。


結果として合理的な食べ方にはなっていないだけなので、その能力をより合理的に発揮できるような方法を工夫するという考え方の方が効果的です。


たとえば、一度口腔内に入った食塊が出てしまうので食事中に口腔周囲が食塊でベタベタになってしまうという方もいました。


その方の場合には、舌が左方へ回旋していましたのでスプーンを左側から引き抜くとより食塊が口腔から出てしまいがちになってしまいます。


そこでスプーンを右側から引き抜くようにしたところ、舌が口腔内で左側へ回旋しているという機能そのものは変わらないものの、食塊が口腔から外へ出ることなく口腔周囲が綺麗なままで食べられるようになったという方もいらっしゃいました。


「機能」は変わらなくても「はたらき」は変わるのです。


食事介助のコツ


もうひとつ、お伝えしておきたいことがあります。


どのような能力と困難を抱えている方でも共通したスプーン操作のポイントがあります。


それは、オーラルジスキネジアのある方の食事介助では、舌をスプーンの背でしっかりと押すということです。


押してあげた方が舌が安定化しやすくなります。


どの程度、どのあたりを押していいのか…こればかりは実際に体験してみないとわかりにくいと思います。


6月に東京で8月に大阪で株式会社geneさん主催の食事介助の実技があるセミナーが開催ありますので、もしよろしければご参加ください。


6月18日(土)10:00~16:00

「ナースのための認知症のある方への対応の工夫と考え方」

8月7日(日)10:00~16:00 「認知症のある方への食べることへの対応」


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佐藤良枝先生経歴

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1986年 作業療法士免許取得
肢体不自由児施設、介護老人保健施設等勤務を経て2010年4月より現職

2006年 バリデーションワーカー資格取得


2015年より 一般社団法人神奈川県作業療法士会 財務担当理事
隔月誌「認知症ケア最前線」vol.38〜vol.49に食事介助に関する記事を連載

認知症のある方への対応や高齢者への生活支援に関する講演多数

一般社団法人神奈川県作業療法士会公式ウェブサイト「月刊よっしーワールド」連載中

【連載:認知症ケア 第5回】スプーン操作のポイント−オーラルジスキネジアのある方

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