若手が管理職をしている回復期への危惧
錠内先生:人が今一番入職するのって回復期だと思うのですが、ほとんどの病院が5年目くらいの人がリハビリテーション科のトップになって指導をしている。
しかも、何十人ものスタッフを統括しなければいけない。
これはとても危険なことだと思っています。
一番上の方がモチベーション高く、色々な知識を得るような努力をして指導ができているところは新人も育つと思いますが、そうじゃないところがおそらく半分以上なんじゃないかなと思います。
総合病院でも回復期でもどこでも、全体のなかで、一つ一つの施設がどういう役割をもっているのか理解しているOTが上にいるということが、技術面を指導する上でも大切なことです。
治療テクニックとかは後から付いてくるもので、別に指導者じゃなくても外の勉強会とかいけば身につく。
でも、施設の役割がわからない指導者が上にいると、その下にいる人達が自分達がどういう作業療法をしているのか、混乱が生じるんじゃないかないと思います。
回復期でも、その病院がある地域によって、微妙に役割が違ってくると思います。
施設の役割を知るということは重要だと思います。
神奈川県作業療法士会はここが違う
錠内先生:まず一つはホームページが手作りで、あの中のコンテンツは作業療法士が考えています。
その中の一つ、「必見!作業療法士のすご技・アイデア集」というコンテンツの中では、Jブランドというオリジナルの自助具を出しています。
あと、二年に一回臨床作業療法大会という500人くらいが集まる学術集会があります。
普通の学会だと、口述発表や展示など色々な場所に分かれてやっていると思うのですが、それを発表からワークショップまで1つの場所でやる会というのを企画してやっています。
意図的に、一会場でやるので、意図的に活動や考えをアピールしやすい。
かなり有益な啓発活動につながりますよね。
先生にとってプロフェッショナルとは
錠内先生:「生活行為」というのが作業療法の核であって、生活行為に関わる活動はすべて作業療法に含まれる、つまり何をやってもいいんです。
ただ、やったことに理由付けをすること、そこにエビデンスをつけないとプロじゃない。
よく集団でレクリエーションをやったりするじゃないですか。
それは作業療法士が集団でレクリエーションをやる場合は、「集団がどういう集団?一人一人の問題点は?この集団に関わる理由は?」と考えなければいけません。
例えば、風船バレーをしていても、それが目的の方もいればそうじゃない方もいます。
その時にちゃんと理由を言えるのが作業療法士だと思うんです。
適当にやっているんではダメですよね、プロとしての意識をもってやらなきゃいけないません。
*目次
【第1回】理学療法と作業療法の違いとは
【第2回】エビデンスをつけることこそがプロ
錠内先生経歴
昭和41年6月28日 岩手県にて出生
この年は作業療法士の第一回国家試験が実施された年でもある
また父親の命日でもある
平成元年 国立犀潟療養所附属リハビリテーション学院卒 日本鋼管病院入職
平成11年 介護支援専門委員取得(第一回) 放送大学卒
平成15年 神奈川作業療法士会 事務局長
平成19年 神奈川県作業療法士会 副会長
同年 社会法人日本作業療法士会 広報部長
平成27年 神奈川県作業療法士会 会長
現 在
○一般社団法人神奈川県作業療法士会 会長
○神奈川県医療専門職連合会 常任理事(前会長)
■主な書籍
リハビリテーションの新展開(共著)
作業療法における上肢機能アプローチ(共著)
福祉用具・住環境整備の作業療法(共著)