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僧帽筋の起始・停止、支配神経からストレッチ、トレーニング

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Contents

1.僧帽筋は意外と大きい筋肉

2.僧帽筋の栄養血管、支配神経

3.僧帽筋の筋トレ(ダンベル)を紹介

4.自重による僧帽筋の筋トレを紹介

5.肩こり、頭痛となる僧帽筋の影響

6.僧帽筋のストレッチ

7.文献

僧帽筋は意外と大きい筋肉

まずはいつもと同じように基本的な知識から学んでいきましょう。

起始

上部:後頭骨(C2-7棘突起)

中部:T1-4高さの腱膜

下部:T5-12の棘突起

停止

上部:鎖骨外側1/3

中部:肩峰

下部:肩峰棘

支配神経 副神経、頚神経叢
髄節 C2-ーC4
作用

頸部同側側屈、頸部対側回旋、肩甲骨内転、上方回旋、挙上

僧帽筋は3つの線維に分かれます。

 

僧帽筋上部・中部・下部線維

上部は後頭骨~頚椎棘突起から鎖骨に付着しており、頸部を動かす主動作筋の一つです。この筋肉はよく肩こりが起きた時に痛みや重さを感じさせる筋の一つです。

 

肩こりについてはあとで説明します。中部は胸椎上部の棘突起の腱膜から肩甲骨の肩峰に付着しています。この線維は肩甲骨の固定筋として働き、前鋸筋と僧帽筋下部線維のフォースカップル(肩甲上腕リズム第二層)の補助として働きます。

 

第一層:棘上筋と三角筋のフォースカップル。

第二層:僧帽筋による肩甲骨内転、前鋸筋による肩甲骨の上方回旋。

第三層:胸椎伸展によるフルレンジ

僧帽筋下部線維のフォースカップル

下部は胸椎中間から下部の棘突起から肩甲骨肩甲棘に付着します。この筋線維は前鋸筋とのフォースカップルの筋として働き、肩甲骨の動きを安定させます。

僧帽筋

3つの線維を合わせると意外と大きな筋になります。

 

栄養血管、支配神経もついでに覚えましょう。

 僧帽筋の支配神経の特徴は脳神経である副神経と頚神経叢の2種類の支配神経が僧帽筋を動かしています。特徴的なので図をみて覚えていきましょう。

僧帽筋支配神経

僧帽筋の筋トレ(ダンベル)を紹介

僧帽筋上部線維:ダンベルシュラッグ

①両手に重り(500mlペットボトルに素直入れてもOK)をもって、まっすぐ立ちます。

②この状態から、首をすくめるように肩甲骨を持ち上げます。

③この時、十分に肩甲骨を内転させておくと、しっかり上部線維に働きます。

④10回を1セットとして3セット行いましょう。

 

僧帽筋中部線維:ベントオーバーロウ

①両手に重り(500mlペットボトルに素直入れてもOK)をもって、体をやや前(お尻を突き出す)に倒します。

②この状態から、肩甲骨を内転(両方の肩甲骨をくっつけるように動かす)します。

③十分に肩甲骨を内転させたら肘を天井に持ち上げます。

④10回を1セットとして3セット行いましょう。

 

僧帽筋下部線維:デッドリフト

①手提げ袋を2つ(なるべく取っ手の短いもの)用意しましょう。

*取っ手の理想的な長さは、床に置いた手提げ袋を、軽くしゃがんで腕を伸ばして届くくらいの長さです。

*しゃがみ方は、膝をつま先よりも前に出さず、お尻を突き出すようにしゃがみます。

*手提げが一つしかなければ一つでもOKです。一つの場合は、体の前に手提げを置いて取っ手を両手で持ちます。

②手提げ袋の中に重り(ペットボトルに砂を入れたものなど)を入れます。

③重りの入った手提げ袋をしゃがみながら掴み立ってみましょう。

*この時、肩甲骨を十分内転した状態で立ち上がります。

④ゆっくりと立ったら、手提げが床につくまでもう一度しゃがみます。これを1回とします。

⑤10回を1セットとして3セット行いましょう。

*)トレーニングは重さで決まるのではなく、重さと回数の総重量で決まります。つまり、50kgを1回持ち上げるのと、10kgを5回持ち上げるのではトレーニング効果が同じです。怪我予防のためには、少ない不可で多い回数行うほうが安全です。

*)重さは徐々に増やしていきましょう。重りの目安は、10回ギリギリ持ち上げられる重さ(10RM)が理想です。

 

自重による僧帽筋の筋トレを紹介

僧帽筋上部線維

①お腹を下にして寝て、手のひらを下にしたまま手を開きましょう(30°外転)。

②この状態から、肩甲骨を内転(両方の肩甲骨をくっつけるように動かす)します。

③十分に肩甲骨を内転させたら手の甲を天井に持ち上げます。

④10秒力を入れ続け、5秒休憩を1セットとしてこれを1分間(4セット行いましょう)

僧帽筋中部線維

①お腹を下にして寝て、手のひらを下にしたまま手を開きましょう(90°外転)。

*ベッドの上であれば、筋トレする腕はベッドから降ろすと楽にできます。

②この状態から、肩甲骨を内転(両方の肩甲骨をくっつけるように動かす)します。

③十分に肩甲骨を内転させたら肘を天井に持ち上げます。

④10秒力を入れ続け、5秒休憩を1セットとしてこれを1分間(4セット行いましょう)

僧帽筋下部線維

①お腹を下にして寝て、両手を頭の後ろで組みましょう。

②この状態から、トレーニングする腕の肘を伸ばしましょう。

*これは肩関節のゼロポジション(肩関節が安定する位置)と言います。

③さらに肩甲骨を内転(両方の肩甲骨をくっつけるように動かす)します。

④十分に肩甲骨を内転させたら手の甲を天井に持ち上げます。

⑤10秒力を入れ続け、5秒休憩を1セットとしてこれを1分間(4セット行いましょう)

肩こり、頭痛となる僧帽筋の影響

肩こりを生理学、運動学的に考える

 肩こりは諸説いろいろいわれていますが大きく分けると身体的ストレスによるものと精神的ストレスによるものの2種類に分けられます。今回は僧帽筋に関係する身体的ストレスについて考えます。

 

生理学的に考えると僧帽筋の筋緊張や筋硬結が起こると、痛覚受容期が分布する筋肉や筋膜を圧迫すると筋肉の中にある血管の血流が悪くなり循環不全が起こります。

 

血流が悪くなると筋収縮に必要な酸素とブドウ糖が送れなくなり、不完全な燃焼が起きると乳酸が貯まります。乳酸が溜まると発痛物質であるプロスタグランジンが産生され、それが神経を刺激し、疼痛を引き起こします。

 

なぜ筋の緊張が起きるのか。最近ではスマホの普及で姿勢が悪くなり、ストレートネックやForward headが起き、それが原因で肩こりを訴える人が多いと言われています。

 

ストレートネックやForward headは悪姿勢(猫背)でおきやすいといわれています。良姿勢と比べて悪姿勢(猫背)は頭と肩の関係を考えるとモーメントアームが大きくなり、肩にかかるストレス増大し、その分僧帽筋が緊張を高めて支えるため、肩こりのような症状になりやすいと言われています。

 

僧帽筋と頭痛の関係性

 肩こりが起きると頭痛まで引き起こす方もいると思います。頭痛にもさまざまな種類のものがありますが僧帽筋が関わる頭痛は筋緊張性頭痛があります。筋緊張性頭痛は病態や発生機序は未だに不明だと報告されていますが中枢性疼痛メカニズムがより重要な役割を果たしている可能性が高いと言われています。

 

僧帽筋の血流不全が起こると中枢神経系の過活動で交感神経性血管収縮などが起き、中枢神経系の疼痛制御機構の異常が起き、疼痛が発生すると言われています。

 

僧帽筋のストレッチ

僧帽筋上部線維

①伸ばしたい方の筋を後ろに手を回します。もう片方の手は頭の上に腕を置くように反対の耳を触ります。

②耳を触った方の手で引っ張りストレッチを加えます。

 

僧帽筋中・下部線維

①手を組んで肩関節屈曲90度のポジションをとります。

②その状態で手は前に伸ばしながら猫背の方向に背骨を動かしてストレッチを加えます。

参考文献

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7115121/

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28131688/

僧帽筋の起始・停止、支配神経からストレッチ、トレーニング

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