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魔女や呪術を信じている人も多い【ガーナのリハビリテーション事情 vol.2】

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前のページ>>vol.1 ガーナ理学療法協会に登録人数を問い合わせてみた結果…

 

私の日々の診療

 私の勤務先であるOrthopedic Training Center(義肢装具リハビリセンター)は新生児~高齢者まで義肢装具を必要とする全ての人を対象に義肢装具を提供しています。

 

私はガーナに来て同僚の女性セラピストがタイトスカートを履いていることに衝撃を受けました。ガーナではいわゆる私達が想像するリハビリ(運動)を一緒に行わないセラピストも多いからです。

 

診察室に座り診断し、カルテを書いて、歩行に対してもっとこの様に歩いてくださいと口頭指示を出す。それで終わりということも少なくありません(もちろん全員ではないです)。

 

当センターには4つの部門があり成人切断、小児入所、母子入所、外来と分かれています。曜日ごとにセラピストがローテーションし各部門を担当する形式をとっています。

 

業務内容としては診断、カルテ・紹介状の作成、集団エクササイズの指導、各部門の個別リハビリ、水治療法、ギプス装着、腱切り術の補助、患者教育講座、カンファレンスへの出席等業務内容は多岐にわたり、法的に整備されていないことと医師不足により日本では完全にセラピストの仕事の域を超えていると思われるところまでやらなくてはなりません。

 

※同僚との仕事でのひとコマ。先天性内反足の腱切り術の補助。

 

ガーナの障害者を取り巻く現状・コミュニティ

 私のJICAボランティアとしての要請内容は勤務型でセンターに来る患者さんの診療と部署の知識技術の向上でした。しかし赴任からすぐにある事に気が付きました。

 

“経済的理由等でセンターに来ることさえ出来ない人がいるにではないか?”ということです。そこでセンター長や同僚セラピストに頼み込んでなんとかわがままを聞いてもらい週に一回のコミュニティ巡回診療を実現することとなりました。

 

更にセンター長の紹介で同地域のクリニックに勤めるコミュニティヘルスナースと共同で巡回させてもらえることとなりました。

 

そこで目にしたガーナのコミュニティの現状とは…

 

私がガーナの良い部分だと感じたところは家族が多いため介助者が多いことです。

 

ガーナの家庭はいわゆる親戚も含めて家族と呼びます。

 

小さく分けられた世帯が集合して親戚同士同じ敷地に住んでいるといった感じです。またたとえ家族でなくてもご近所との関係が近いことから障害を抱える人は常に色んな人に囲まれているのです。

 

コミュニティにおいて改善が必要だと感じた部分は「文化や信仰による誤った知識」「即時的な効果を求める傾向」です。

 

魔女や呪術を信じている人は多く、それにより障害者が危害を加えられたり、逆に治ることを信じて呪術師に大金を渡して治療をお願いすることも珍しくありません。

 

病気の知識がない事、医者へ行っても医師が十分に説明をしない事がから患者や家族は魔法のように1日で疾患が完治することを期待しています。

 

しかし完治しない疾患であった場合は“病院に行っても治らなかった”と言って1、2回で通院を止めてしまうケースが非常に多いと感じます。

 

その結果特に経過が長引き理解されづらい神経疾患患者が治療されずにいる人が沢山いるということに気が付きました。

 

更に子供の場合は深刻で意思表示が出来なかったり、介助が必要な場合十分なケアがされていない事は稀ではありません。巡回診療を始めて1年しか経っていませんが、洋服も着ずに家畜と床に転がっている子や満足に食事を与えられない子、意思疎通できないことで叩かれる子を見てきました。

 

※巡回診療先での一コマ

 

※この一年で巡回診療に賛同して参加してくれる人も増えた

 

ボランティアとしての取り組み~何ができるか?~

 “治療される機会のない障害者を探す”という目的でコミュニティでの巡回診療を始めて約1年が経過し、ガーナのコミュニティの特徴や障害者の置かれる状況が少しづつ見え始めてきました。

 

特に脳性麻痺のような小児の神経疾患患者は親の理解が得られなかったり、通院を中断しているケースが多く深刻でした。

 

そこでそれをまとめて勤務先であるセンターに持ち帰りプレゼンをしたり、長年現地で働くセンター長、広報担当、ソーシャルワーカー、セラピストそれぞれの立場の人がどのように考えているか話しを聞きました。

 

そこで分かった事は「この国にコミュニティワークは合っている」ということ、「特に脳性麻痺に対するケアは需要が多い」こと等が分かってきました。

 

 そこで各立場の責任者が集まりミーティングを行いアイデアを持ち寄ることで、まずは近隣地域の脳性麻痺児のケアを強化していこうという方針を固めました。

 

私達の提示した案は3つ「脳性麻痺クリニックの開設」「小児デイケアサービスの開設」「巡回診療を正式な業務として継続する」です。

 

今まで障害児を抱える親が当センターに来ても1日100程来る患者の対応で、一人一人にかける時間が満足に確保できませんでした。

 

そのためカウンセリングや教育、継続的なリハビリが必要な小児神経疾患は「脳性麻痺クリニック」を別日に分けて一人の患者をじっくり診ていこうという試みです。

 

また同じ境遇の人が集まることで親同士の悩みの共有や励ましあいの機会になることも期待しています。

 

「デイケアサービス」では保育園のように子供を預けに通うことで子供へのリハビリ提供、また親の疲弊の防止や就労への手助けとなると期待しています。

 

そして育児放棄等の様々な事情によりどうしてもセンターに通えない子供達を巡回診療でカバーしていく予定です。

 

私は主に「巡回診療の継続」の責任者として、現在はこれらの計画を2017年9月までに達成する計画で動いています。

 

タイ医療現場見学ツアーのお知らせ

 

【催行日】2017年6月24日~28日

【料金(1名様分)】70,000円 / ホテル4泊

【募集定員】10名様

【申し込み〆切】2017年5月21日

【概要】

日本ではあまり知られていませんが、タイの医療技術は世界的に見てもかなり先進的です 。特に政府主導のメディカルツーリズム推進の効果から、先進医療を求める中東や欧州の富裕層が多くタイを訪れています。


    都市部の私立病院では、高級ホテルと見まごうばかりの内装に最先端の医療機器を取り揃え、JCI認証(医療品質や衛生管理に関する国際医療評価機関)を取得している病院は国内で実に37。これは日本の13を大きく超え、アジア最多の数字です。


    しかし一方で、圧倒的な医療スタッフの不足や資源の偏りにより、公立病院や地方の病院等、タイ人自身が受診する病院では、決して満足な医療サービスが機能しているとは言えない現実もまたあります。


    このツアーをとおして、都市部と地方、私立と公立のそれぞれの病院を見学していただき、実際の格差を肌で感じて頂ければ思います。

 

柴田沙希先生 プロフィール

<略歴>

小関学院 東都リハビリテーション学院 2011年3月 卒業

三喜会 鶴巻温泉病院 2015年8月 退職

青年海外協力隊 理学療法士隊員としてガーナのOrthopedic Training Centerに派遣中

魔女や呪術を信じている人も多い【ガーナのリハビリテーション事情 vol.2】

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