何度か記事にもしてきたことだが、糖尿病とは非常に怖い疾患である。進行することで網膜症状、腎不全による人工透析への移行、末梢神経障害により下肢の切断など生命予後にも大きく関わってくる。
この度、欧州の研究グループが、糖尿病男性では半数以上に勃起不全(ED)があるとの研究結果を報告した。
糖尿病患者においてEDがよく見られるが、その頻度は不明である。今回、研究グループは、糖尿病患者におけるEDの相対的な有病率を明らかにするため、2016年11月までに報告された1型および2型糖尿病患者のEDに関する研究から145件を抽出し、統合的に解析した。
145件のうち、アジアでの研究が61件と最も多く、次いで欧州が48件、北米が17件、アフリカが15件となっていた。対象となった男性患者は合計8万8,577人で、平均年齢は55.8歳だった。
詳細を読む(引用元):あなたの健康百科
近年、糖尿病に関しては健康寿命の観点からも予防や治療、リハビリテーションにおいてもその必要性が提唱されてきた。
今回、糖尿病男性の半数以上がEDという研究結果が出たことで、生命予後や健康寿命だけでなく「生活の質」も低下している可能性が示唆された。
EDの有病率は、1型よりも2型糖尿病で有意に高いという結果がある。
2型糖尿病は典型的な生活習慣病であり、糖尿病を予防することは、健康寿命だけでなく生活の質を高めることにも繋がりそうだ。
ちなみに糖尿病患者と健康な男性を比較した研究から、糖尿病によりEDのリスクが3.62倍に上昇することが示されている。
また、研究グループは「EDの男性は、心血管系の病気を発症するリスクや、それによって死に至るリスクが高い。糖尿病の男性患者に対するEDのスクリーニングが、心血管系の病気のリスク評価にもつながるだろう」とコメントしており、今後の糖尿病患者との関わりにおいて定量的なデータだけではなく問診等で生活背景を探ることも必要になるだろう。